秋田「北洲」川反で60年。名物きりたんぽ鍋は一人前から楽しめます。

秋田「北洲」川反で60年。名物きりたんぽ鍋は一人前から楽しめます。

今日は秋田県最大の歓楽街・川反から、寒い冬に”はふはふ”と頬張りたいきりたんぽ鍋をご紹介します。もちろん、秋田といえば高清水に太平山。地元消費の定番酒を燗酒にして、お鍋をおつまみに酒場時間を楽しみます。

川反へはJR秋田駅から路線バス(170円)が便利。複数の系統が乗り入れる川反、秋田駅間は5分間隔でやってきます。ただ、終バスがとても早いので飲んだ帰りは徒歩20分か、タクシーでワンメーター程度の距離です。

余談ですが、武家屋敷からみて川(市内を流れる旭川)の反対側にあることから「川反」だと飲み屋の大将に聞いたことがあります。

そんな川反で60年以上続く老舗、現在三代目が暖簾を守る酒場「北洲」が本日の酒場です。

 

魚と鍋料理が看板料理で、鍋は通年で楽しむことができます。食事を中心とした鍋料理店ではなく、ここはお酒のおつまみとしての鍋料理店。

 

グループ利用は座敷になり、地元の会社帰りのお父さんたちが宴会中。お一人様歓迎なのも酒場のよいところで、4席あるカウンターは思わず溶けてしまいそうなあったかいムード。板場を眺めながら飲めるので、お店の方との会話も弾みます。

 

暖かい酒場にくれば、やっぱり最初はビールが欲しくなります。キリンラガー中瓶(580円)をもらって、では乾杯。

 

樽生はアサヒスーパードライ、瓶ではザ・プレミアム・モルツも用意されています。酒処・秋田の地酒が揃っているので、ここはやはり日本酒でしょう。まんさくの花、刈穂、高清水、雪の茅舎、飛良泉、太平山。燗酒用の高清水と太平山は二合700円とお手頃価格。

 

お通しから地味をだされると、いつもより一杯多く飲んでしまいます。お通しはミズの実のおひたしと姫サザエの甘煮。秋田市に近い男鹿半島はサザエ漁が有名です。ミズも秋田らしい食材です。

 

日替わりメニューは手頃な値段で種類が豊富。今日の目玉はヒラメ刺し(650円)でしょう。鯨とナスの鍋(980円)など、定番鍋に加え、差し込みでも季節もののハタハタ鍋などが登場しています。

 

看板料理のきりたんぽ鍋(1,500円)にはじまり、しょっつる鍋、イカ鍋も気になります。秋田らしいホルモン煮込みや馬刺し、通年でハタハタ塩焼きなど、あれもこれも食べたくなってきます。

 

看板料理の鍋の準備が進む中、まずはお酒のおつまみにと、ヒラメ刺し。かなり立派な鮃だったようで、厚みがありぷりぷり。エンガワはコリコリとして鮮度の良さを感じます。濃いめの醤油をつけて頬張れば、ビールから日本酒へシフトしたくなります。

 

健康のためにトマトもね!

 

酒は天下の太平山。八郎潟近くにある小玉醸造がつくる全国区のお酒。秋田・川反の酒場で飲むお燗をつけた太平山は、滲みる美味しさです。

 

おまたせしました。気になるお鍋の登場です。一人前1,500円から注文可能ですが、鍋はさらにハーフサイズ(700円ほど)もあります。一人で秋田旅なんていうときに、お酒片手にお鍋をつまみたいならば、北洲はぴったりのお店です。

 

地元食材にこだわっていて、鍋に入る具材の多くが秋田県産です。透き通った鶏ガラ出汁から漂う心地よい香りに誘われて、鍋が煮える前から徳利が乾いてしまいます。

 

ねぎ、舞茸、ごぼう、たっぷりのセリ。そしてしっかりとした食感の旨味がつまった鶏肉がきりたんぽを囲んでいます。きりたんぽは鍋の注文が入ってから準備が始まります。軽くすり鉢でつぶしたご飯を棒に巻きつけ、これを炭火で炙ってから鍋に沈めます。

鶏だしながら上品な味で、コク深い余韻に日本酒がよくあいます。

 

秋田市内、川反から歩いていける場所にある秋田酒類がつくる「高清水」。地元の定番酒場で、地元のお酒。このシチュエーションを楽しむために秋田にやってきましたが、大変に心地よいひとときとなりました。

お鍋とお酒で体はぽかぽか。お腹もいっぱいになりましたし、〆は川反にある老舗オーセンティックバーを目指します。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

喰処 北洲
018-863-1316
秋田県秋田市大町4-1-11
17:30~23:00(日定休)
予算3,500円