秋田県最大の歓楽街、「川反」。ここに秋田市最古のバー「レディ」があります。創業は1964年(昭和39年)。
店の長い歴史から、3代にわたって通われるご家族もいらっしゃるという、秋田の夜になくてはならない存在です。
オーセンティックバー好きはもちろん、普段あまりバーにはいかないという方にもぜひオススメしたい、秋田の〆の一軒です。秋田市に宿泊するときは、必ず立ち寄ります。
冬の川反、雪道を歩いき、二重扉の前でコートに積もった雪を払いつつ、「こんばんは」と入っていくのは、小説の世界に迷い込んだような気分にさせてくれます。もちろん、陽気に何軒も居酒屋をはしごしたあと、フラフラと訪ねるのもよいものです。
半世紀以上、秋田の人々を迎えてきた店内は、時間がとまっているような雰囲気。年輪を重ねどっしりと構えた風格が迎えてくれます。
旅先の飲み屋街めぐりは楽しさ半分、緊張半分。その緊張をあっというまにほぐしてくれる空間です。
いらっしゃい、と迎えてくれるマスターは90歳をまえに今も現役。お弟子さんに店を譲った現在も、ときどきカウンターに立たれています。
川反はおいしい郷土料理でもてなしてくれる老舗酒場が数多。レディに着く前にいつもお腹はいっぱい。だからこそ、ここはペルノーで。甘い香りがクセになる、ペルノウォーターでまずは乾杯。
ハムサンドとチーズの盛り合わせが、レディのおきまりのチャーム。プロセスチーズの懐かしい味、ハムサンドの素朴な味が嬉しいです。
冬季には、チャームとしてビーフシチューを頂けることがあります。しょっつる鍋などを食べてきた後なのに、ぺろりと食べられる美味しい一品。
カクテルは900円から。映画の主人公の名を冠したオリジナルカクテルや数多のシングルモルト、レガシーカクテル、そしてコンペティションカクテルと種類は豊富。200種類ほどの洋酒を揃えるほか、日本酒も用意があり、日本酒とトリプルセック、ほんのり桜リキュールで色をだした「秋田美人」など日本酒カクテルも魅力です。
ビールは樽生でサッポロヱビス(600円)、ビンで各種揃うほか、地ビールも用意があります。
沈む夕日はマンハッタン島ではなく、男鹿半島だって素敵です。カクテル、「マンハッタン」。正統派のカクテルが美味しいお店です。
日本海から吹く強い風に雪が舞い上がる冬の秋田。そんな中でも川反を楽しむお酒好きは皆さん元気です。お燗酒、焼酎お湯割り、そしてカクテルもホットで。
ウイスキーを軽くフランベをして、ホットコーヒー、ブラウンシュガー、生クリームを注ぎ完成。コーヒーと生クリームを用意する必要があるため、アイリッシュコーヒーの提供をされていないお店も多いですが、バーレディは人気カクテルの一つです。
今日はこれで一日おしまいですか?おつかれさまでした。
遠すぎず、近すぎず、程よい距離感でお客さんの一日のストレスをさっと流してくれるような接客が心地よいです。そこに甘くあったかいカクテルがあれば、もう秋田の夜は大満足です。
北東北の歓楽街にある老舗バーは、まるでタイムカプセルです。飲食店は、その街を写す鏡。そして、往時のひとびとの記憶をとどめている場所です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
Lady (レディー)
018-863-6855
秋田県秋田市大町3-1-11
18:30~26:00頃(日祝は24:00まで・不定休)
予算3,000円