宮古島「なみ吉」 島の一軒目に。魚が美味しい地元密着の店。

宮古島「なみ吉」 島の一軒目に。魚が美味しい地元密着の店。

沖縄本島から南西におよそ290キロ、サンゴ礁の島「宮古島」。東京羽田からANAの直行便で2時間45分で結ばれるなど、本土からのアクセスがよく、年間を通じて多くの観光客が訪れるオーシャンリゾートです。

観光開発が進んだのは最近のことで、昔からの主な産業は漁業と農業です。漁業は浮魚礁(パヤオ)を使ったパヤオ漁業やカツオ・マグロの一本釣りなどが盛んで、南国の漁師町という側面もあります。

「魚が美味しい島には、美味しい飲み屋さんもある。」ということで、飲み屋好きとしては、肴を目当てのオーシャンリゾートを楽しみたいと思います。

島の中心街は、「平良(ひらら)」という地区に集中していて、居酒屋からスナック、〆のステーキまで勢揃い。そんな平良で島人で賑わう居酒屋「なみ吉」を訪ねました。

 

梅雨の沖縄。雨の予報でしたが、雲の合間から青空が見える宮古島に到着。エメラルドグリーンの海と広大なサトウキビ畑が広がっています。

 

人口約5万1千人の宮古島市。中心街の平良の町並みは那覇とさほど変わらないほど発展していますが、バスに5分も乗れば美しい海辺が見渡す限り広がっています。

 

海もいいけれど、お酒もね。ということで、沖縄の酒・泡盛をご紹介。宮古島市では6つの酒造所があります。平良の飲み屋街の真ん中にたつ菊の露株式会社は、本島や遠く東京でも見かける馴染みのある銘柄「菊之露」などをつくっています。ほかに、池間酒造(ニコニコ太郎)、多良川、沖之光、渡久山酒造(豊年)、宮の華(豊見親)があります。

 

なみ吉は菊之露のすぐ近く。一帯が飲食店街で、夜涼しくなってくるとたくさんの人で賑わいます。

 

創業から30余年。石垣島の大衆飲み屋では歴史が長く、地元の皆さんが贔屓に通う密着系のお店です。

 

板場、焼き場に向いたカウンターが6席、あとは小上がりが広がるつくり。

 

三線の生演奏や沖縄民謡が流れる郷土料理店ではありませんが、地元の人が普段から集まる酒場もまたいいものです。

 

ビールはもちろんオリオンビール(500円)。強い日差しを浴びたあとに飲むこの一杯は格別です。では乾杯!

 

樽生オリオンに加え、瓶のオリオン(500円)も。シークワーサーサワー(サワーは380円)やさんぴんハイなどもあります。泡盛は地元の銘柄のボトル(2,500円~)がずらりとあります。

 

実は沖縄は日本一の車海老養殖出荷県。宮古島も盛んで、そんなこともあって看板料理のひとつは車海老。塩焼き(560円)もあるけどクリームを塗って焼くアメリカテイストなクリーム焼(600円)もあります。

地元の人が使う大衆居酒屋ですので、焼鳥やじゃがいもバター、イカの姿焼きなどの定番な顔ぶれも並んでいます。

 

お刺身はマグロ、カンパチ、白身、カツオと書かれていますが、ご主人が選んでくる魚介類や地元の人が差し入れしてくる地魚が加わるのでバラエティ豊かです。こちらを教えてくれた地元の酒類関係者も刺身がイチオシとのこと。

テビチ、ジーマミ豆腐、ヘチマ味噌など郷土料理も用意あり。

 

刺身の盛り合わせ(800円)。カンパチ、カツオ、マグロ、あーがい(ぶだい)に海ぶどう添え。

 

カンパチは脂が濃厚なので炙りで。あーがいは皮霜造りで。沖縄の定番、青い鯛のいらぶちゃのひとつ、「あーがい」。一度食べるとあの美味しさは忘れられません。クセなく旨味ありな魚です。

 

新鮮な赤身が美味しいマグロやカツオもなかなか。

 

島の魚には、島の酒。ボトルでは飲みきれないので1合でもらうことに。銘柄は多良川がつくる「琉球王朝」。古酒ベースのブレンド酒でバランスが良く、料理を引き立てます。

 

時間は19時をまわり、飲み始めが遅い地元の人が次々とお店にやってきました。だんだん賑やかになっていく店内を、野球の中継をBGMにして眺めます。そしてまたきゅっと一口、泡盛を。

 

地の車海老、せっかくなのでクリーム焼きでお願いしました。かなり大ぶり、鮎より大きそう。クリームチーズと甘辛いタレの味が混ざった和風な味付けです。

 

可食部が多く、ぷりっぷり。歯ごたえは”ぶりぶり”とした感じで、満足感いっぱいな一品です。

 

島ハイグラスに入ったシークワーサーサワーといっしょに。濃厚な酸味が昼間の疲れを癒やしてくれます。

 

もう一品。お願いしていたマース煮(820円)ができあがりました。塩水と泡盛で煮込むマース煮は、本土の煮魚と同じくらい沖縄では定番の調理法です。

魚は、琉球列島の特産魚、「イトヨリ」です。本土のとは魚種が違うと、以前石垣の漁師さんに教わりました。こっちでの呼び名は「アマンフヤ」なのだそう。一尾まるごと煮込み、生姜で引き締めています。小骨があって骨は硬いのですが、いつまででもしゃぶっていられるような、繊細な旨味がやみつきになります。

 

わいわい賑やかになってきた店内。地元の人だけの会話から聞こえてくる方言に旅情を感じつつ、美味しいお酒と美味しい魚でいい気分。定番の老舗酒場で飲みたい方に、おすすめしたい一軒です。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

大衆居酒屋 なみ吉
0980-72-6949
沖縄県宮古島市平良字西里231-2
17:30~2400(日定休)
予算2,500円