名護「オリオンビール名護工場」 沖縄の星、オリオンがつくられる場所。

名護「オリオンビール名護工場」 沖縄の星、オリオンがつくられる場所。

沖縄うまれ、沖縄育ち、三ツ星マークの「オリオンビール」。

戦後、沖縄の復興の中で立ち上がり、創業60余年。沖縄県内において圧倒的なシェアを誇るオリオンは、沖縄の飲酒シーンに欠かせない飲みものです。単なるビールとしての価値だけでなく、沖縄文化全体においても、もはや、なくてはならない景色のような存在、それが、ウチナー自慢のオリオンビール。

こんな状況で旅に出掛けられない今だからこそ、沖縄に想いを寄せて、オリオンビールで乾杯しませんか。飲みたくなる読みものとして、今日は、オリオンビールの唯一の工場である「オリオンビール名護工場」をご紹介します。

※2020-05-28現在、休館しています。

 

沖縄本島北部、人口6万2千人の名護市。オリオンビールはここでつくられています。

アクセスは、那覇中心街から路線バスで1時間30分、名護城入り口バス停下車。万座毛などで知られる沖縄本島西海岸沿いを走る路線バスは、行程の約半分がオーシャンビュー。

沖縄の移動は自家用車が便利ですが、自由気ままに飲み歩けるバスの旅もおすすめです。せっかくオリオンビールの工場に行って、オリオンドラフトが飲めないのは非常にもったいないですから。

 

名護城近くに構えるオリオンビール名護工場。同社の創業時から続くオリオンビール生誕の地です。工場敷地内には、「オリオンハッピーパーク」という見学施設兼レストランが併設されており、誰でも立ち寄ることが出来ます。

 

創業時の仕込釜が飾られたロビー。ビール工場特有の麦汁のまろやかな香りが漂っています。

工場見学は事前予約制。当日でもよいので、名護へ向かう前にWEB・電話で予約をしましょう。

 

工場見学は35分、その後20分の試飲タイムがあり、合計約60分のツアーです。試飲があるにも関わらず、見学ツアーの参加費は無料です。

本土ビール4社の工場同様に、原料の紹介、仕込み、発酵、そして貯酒タンクを眺めて、最後は容器詰めという流れで紹介されます。

 

ビールの主要原料となる麦芽(モルト)とホップ。

 

オリオンドラフトなどでは、米、コーン、スターチを加えています。

 

まずは仕込釜から。ビールづくりの最初は、お粥づくりとよく言われます。粉砕したモルトをここで加熱することで、デンプンが糖分にかわり、糖化液ができます。

これをワールプールなどで濾過し、麦汁を抽出します。

 

何基も似たような形状の釜が並ぶビール工場ですが、それぞれ役割が異なります。順に次の釜へと送り込まれます。最後はホップを加え煮沸し、この工程は完了。

同社では工程はすべてコンピューター管理がされていますが、最後は人の五感で味を決めています。

 

熱を加えてきたビールの素を、今度は5℃程度まで冷やし、ビール酵母を加えタンクで約7日寝かせます。すると、麦汁の中にある糖分をビール酵母が食べるように活動し、アルコールと炭酸ガスに分解していきます。これで若ビールの完成。

さらに貯酒タンクで十数日の時間をかけゆっくりと熟成させ、ビールの出来上がり。製造工程で必要とする水は名護の軟水。ここに工場を建てた理由も、この水があるからだったそう。

 

ビールは酵母などを濾過し、最後は容器詰めの流れにのります。

 

ここはビン詰めのレーン。リターナブルのビールビンが、軽快にカラカラと音を建てて流れる様子はいつみても圧巻です。

 

こちらに並ぶのは、ビールの空樽。これから洗浄されて、再びビールを詰められ、飲食店のサーバーの元へと送られていきます。

 

こちらは「缶詰め機」。空の缶が送り込まれ、装置の中を回転する間にビールが充填され、そのまま蓋までついて、次を目指してコンベアに流れていきます。

 

缶に詰められ完成したビールは、各種検品の上、最後はケーサーにはいり、6缶入りのパックにされ、24缶入りのダンボールに包まれ、完成となります。

 

さぁ、お待ちかねの試飲タイム。工場で飲むビールは、至高の味わい。飲食店で飲む楽しさとは全く別の方向性で、どちらもともにたまらなく好きです。

 

星座の名前、一般公募で決まった「オリオン」の名のビール。沖縄の味で、あり乾杯!

ビール酵母をつかったビアナッツがおつまみです。

 

見学の試飲だけでは物足りない!という筆者は、併設のビアホール「やんばるの森」へ。

 

時間がなくて見学ができない方も、見学なしでここで一杯だけ飲んでいくことも可能。気軽に利用できます。お馴染みオリオンドラフト(460円~・以下取材時の値段)のほか、ノンアルコールビール(ビールテイスト清涼飲料)「オリオン・クリアフリー」も置いています。

 

二度目のあり乾杯!

※写真は中ジョッキ(435ml 500円)

 

ビールにあうおつまみを豊富にそろえています。北海道がジンギスカン推しなのに対し、沖縄はステーキ推し。サーロインステーキ1,400円など、施設内のレストランとしては手頃な値段なのも嬉しいです。

 

スティックチキンのパン粉揚げ(600円)。広々とした空間で、窓越しに強い沖縄の日差しを眺めて飲むビールは格別です。

沖縄本島を訪れた際はぜひ一度、名護まで足を伸ばしてみてはいかがでしょう。名護までくれば「美ら海水族館」も遠くはありません。

今日は、オリオンビールを飲んで、味覚で感じるバーチャル旅行に出掛けてみては。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ ※外出自粛要請以前に取材)

 

オリオンハッピーパーク
https://www.orionbeer.co.jp/happypark/