那覇から路線バスに揺られて一時間。沖縄市の中心街・コザへやってきました。沖縄の伝統芸能・エイサーや、基地の街の歓楽街として栄えた歴史からJAZZも盛んで、伝統と異国が入り交じる音楽の街として知られています。
かつての繁栄を感じる昭和レトロの街に、さらにアメリカテイストが加わり、まさに「チャンプルー」な雰囲気がありますが、それは飲食店でも同じです。
街一番の老舗食堂「ミッキー」は、コザで約半世紀(1970年創業)にわたって愛される店です。食堂飲みも、コザにくると文化のチャンプルーを感じることができます。
昼間は静かなコザの街。これが夜になると老若男女が繰り出してきて大にぎわいになるのだから不思議です。沖縄の人の飲み出しは比較的遅めと言われています。
「コザゲート通り」と「中央パークアベニュー」が街のメインストリート。日本食の割烹もあれば、日本語表記がほとんどないアパレル・テーラーもあります。街を歩く人も様々で、会話も日本語とは限りません。そこに、さらに加わる広島弁。
多くの店で米ドルが使え、両替センターまで営業中です。
パークアベニューを歩くと目的の店「ミッキー」はすぐに見つかります。コザの人には日常的に利用するお店なので、地元の人は入りやすいようですが、旅行者は不思議なオーラに身構えてしまうかも。
でも、心配することはありません。優しい女将さんが切り盛りするとっても明るく素敵な食堂ですから。テーブルのベンチはプラスチック製で、北米のファーストフード店を思わせるもの。$¥OKの文字といい、融合っぷりが食堂好きの心をくすぐります。
カウンター席のほうは、純日本風の飲み屋の雰囲気。厨房に向いたL字カウンターは常連のノンベエさんの姿がよく似合います。貼られたサイン色紙は、広島カープの選手だったり、沖縄出身のミュージシャンのもので、プライベートでふらっと飲みに来る著名人も多いそうです。
料理は壁の写真から選びます。外国人も多いから写真があるほうが喜ばれると女将さん。チャンプルーにソーキそばと沖縄料理もあれば、フィッシュアンドチップスやバッファローウィングといった海外の酒の肴も揃っています。先代のお母さんの時代から、すべて注文を受けてからつくる手料理にこだわられていて、逸品ずつ丁寧に調理してくれます。
AからGまでの値段別構成で、Gの1,000円料理は沖縄らしくステーキがドンと掲げられています。飲んだ〆はステーキ、沖縄の基本です。
お酒は各自、自分で冷蔵庫からボトルを取り出す方式。これもまた海外のファーストフード店のよう。でも、飲むビールは沖縄ですから、やっぱりオリオンビール。沖縄で飲むオリオンはやみつきの美味しさ、乾杯!
先客のご高齢の女性とお話が盛り上がり、頻繁に食堂ミッキーにきては、揚げ物などのパワフル料理を食べていらっしゃるとお聞きし、コザンチュの長寿の秘訣にふれられたような気がしました。私も真似をして、ガーリックチキン(650円)を注文。
ビネガー、スイートチリソース、ケチャップも揃えて完璧です。
おろしにんにくを載せるのが味の決め手。ワイルドな味にビールが進むこと間違いありません。
ビールはビールでも、A&Wのルートビア(ソフトドリンク)は、沖縄ではおなじみの飲み物。ナツメグ、アニスなどの風味はクセになり、湿布薬のニオイなんて形容されることもあますが、皆さんはお好きですか。
お昼間から通しで営業、人種も年代もことなる人々が集い、おいしい食事とビールを楽しむミッキーで、沖縄のチャンプルー文化に触れてみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
大衆食堂ミッキー
098-939-9663
沖縄県沖縄市中央3-1-6
11:00~22:00頃(日定休、ただし元気があれば日も営業)
予算2,000円