那覇・安里『島寿司』人懐こい常連さんと大将がつくる空気感が最高!

那覇・安里『島寿司』人懐こい常連さんと大将がつくる空気感が最高!

2022年8月16日

島寿司といえば伊豆諸島の郷土料理ですが、沖縄は首里城の近くにも『島寿司』があります。来間島(宮古列島)出身の大将が寿司屋を開こうと、東京・浅草で修行したのち開いた店です。寿司といっても居酒屋料理が中心で、沖縄特有の海鮮料理を手頃な価格で楽しませてくれます。

スポンサーリンク

わざわざ路線バスで向かう価値ある、リアルな沖縄の大衆店

旅先では、街の有名店はとりあえず立ち寄っておきたいですが、それだけではつまらないのも事実。その土地の人々が日々の暮らしの中で利用している、地域に根づいた酒場を訪ねたいものです。ご当地ならではの料理やお酒が現地価格で楽しむのも酒場巡りの醍醐味です。そしてなにより、地元の人との交流が旅の思い出にもなります。

近所に住んでいる人が仕事帰りに一旦帰宅して、サンダルとTシャツに着替えてからくるような店。それも早い時間からカウンターが埋まっているような酒場があれば尚の事良いです。

那覇市松川、首里城から安里を結ぶ坂下通りに店を構える『島寿司』は、まさしくそうした居酒屋です。モノレールの駅からはやや離れていますが、坂下通りは那覇バス(路線バス)の大幹線で数分間隔でバスがやってきます。店から5mの場所に停留所「ノボテル沖縄那覇前」バス停があり、バスを使いこなせば中心街・国際通りからもあっという間です。

外観

冒頭にも書きましたが、島寿司といえば八丈島の郷土料理の名称ですが、同店は八丈島料理の店ではありません。島の寿司屋なので『島寿司』なのです。宮古島から橋でつながる来間島(くりまじま)出身のベテラン大将が切り盛りしている店で、店名の通り寿司もだしています。

大将は青年時代に寿司職人を目指して内地・東京にやってきて、浅草の老舗寿司店の門をたたきました。その後、独立し那覇市に現在を店を構えたという背景があります。東京下町で修行した腕と沖縄特有の魚介類の組み合わせは、地元の人達に評判です。

ただ、常連さんの多くは完全に飲み屋使いをしており、大将も基本的にはつまみをメインに準備しているので、筆者的には同店のカテゴリーは悩むことなく「酒場」です。

内観

宮古島のグッズやポスターが張られた店内、コーレーグースーがテーブルに置かれた店内は寿司屋というより沖縄の料理店です。

板場にむいたL字カウンターは常連さんが集まっており、対面には畳敷きの小上がりという配置になっています。早い時間なので小上がりは空いていますが、夜20時ころになると、お隣さん同士も仲良くなって宴会状態になることもあるそうです。グループ利用なら念のため予約されたほうが良さそう。

品書き

お酒

生ビール:500円、瓶ビール:600円ともにオリオン ザ・ドラフト。酎ハイはオリオンビールのサワーWATTA(ワッタ)のシークァーサーサワー:400円、パッションフルーツ:400円。泡盛はボトル:2,000円から。1合売りもいろいろありす。

さしみ・寿司

近海白身刺:800円、イカ刺:800円、刺身盛り合わせ:1,500円、上寿司:1,500円、特盛海鮮丼:1,900円、うなぎ巻鉄火巻:各300円など。

おつまみ

近海魚の唐揚げ:800円、魚のアラ汁:500円、イカ天ぷら:700円、野菜ニンニク炒め:500円、蒸しナマコ:580円、島らっきょう浅漬け:350円、ウナギ串焼き:600円など。

食べたい量を伝えれば、いい感じにやってくれる

生ビール オリオン ザ・ドラフト(500円)

なにはともあれ、沖縄生まれのミツボシビール、オリオンビールで乾杯!

いい感じのお手軽コース

飲みたくてやってきたこと、それほどお腹は空いていないけど魚がたべたい旨などを伝えると、あとは大将が会話しながらいい感じにだしてくれます。「一人で飲みにきいるので、少しずつ色々食べたい」、そんな要望にも柔軟に応えてくれる大将なのです。

まずは、突き出しのかわりに、近海白身魚のアラ煮を。沖縄の煮魚の定番、マース煮(海水で煮る料理)ではなく、みりんと醤油で味付けをした甘めの煮付けです。

美ら燦々(ちゅらさんさん)

となりの常連さんとの会話もはじまり、和気あいあいとした雰囲気のなか、お酒は進み泡盛へ。瑞穂酒造の美ら燦々がおすすめとのことで、言われる通りのいただきます。甘くまろやかな味わいです。なんでも、同社の営業さんがよく飲みに来るのだそう。

沖縄の魚といえば、やはりマグロでしょう。近海でとれるため、そのほとんどが生マグロです。大将が「美味しいよー」といいながらだしてくれたマグロは、鮮やかな赤身が美しい生本マグロ。しかもスジの少ない上等な部位です。一緒に盛られた近海の白身魚は沖縄らしい脂控えめで上品な味わい。

刺身のつまが海ぶどうというのが素敵です。

近海魚のフライ

ささっと揚げてくれた白身魚のフライ。沖縄の近海魚は馴染みのない魚が多いですが、タイやヒラメなどとはまた違った美味しさがあります。とくにフライや天ぷらにすると泡盛のベストパートナーになります。

自家製ハブ酒

カウンターに鎮座する泡盛の漬け込み容器の中にとぐろを巻いたハブの姿があり、さっきから気になっています。名札もついていて、どうやらマイケルと呼んでいるらしい…。自家製ハブ酒は飲んだことがありませんが、大将のキャラクターもあってチャレンジしてみることにしました。これはまた、なかなかワイルドな味です。

常連さんの皆さんとワイワイやっているとあっという間に時間が経ってしまいました。沖縄はフレンドリーな方が多く、酒場で一期一会の乾杯をすることは結構ありますが、これほど地元の人と交流したのは『島寿司』がはじめてです。

酒場の一体感とご当地の魚で楽しませてくれる店。ご興味がありましたらぜひ。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名島寿司
住所沖縄県那覇市松川444-1
営業時間17:00頃~25:00頃(火定休)
開業年1980年代
公式サイトhttps://sashiba.net/