東京・羽田から航空機で2時間30分。日本有数のビーチリゾート・宮古島。白い砂浜にエメラルドグリーンの海、自然豊かでキレイな景色を楽しんだあとは、じっくり、そしてこっての、濃厚な島の酒場を楽しみましょう。
宮古島の中心街は徒歩で移動できる範囲にまとまっていますので、ホテルに荷物をおいてふらふらと赤ちょうちんを尋ねるのに最適。怪しいネオンが入り交じるイーザト界隈を歩いていると漂ってくる美味しい香り、人気のおでん屋からです。
今日ご紹介する酒場は、1957年創業の「島おでん たから」。長年変わらぬ味で地元の人を惹きつけてきた名店です。名物はトロトロに煮込まれた豚足、沖縄の言葉で言う「テビチ」が看板料理。
沖縄の人は飲み始めが遅いという話を聞いたことはありますか。実際にそのようで、17時からやっているお店は早いうちはあまりお客さんは多くなく、夜が深まるにつれ賑やかになります。そのため、開店時間が本土に比べて遅いことが多く、ここ「たから」も提灯に明かりが灯るのは19時になってから。
人気のお店で、確実に入りたいならば予約をされるほうがよいです。ただここは楽しい沖縄の離島。近隣の飲食店をだらだら梯子をして、タイミングを見計らって覗いてみるくらいの余裕が私は丁度いいかなとも思います。きっと深夜になると空きますから。
泡盛はいろいろ。でも、やっぱり一杯目はビールで喉を整えたい。王道のオリオンドラフト(500円)で乾杯!
ビールはオリオンの中瓶(600円)も。酎ハイはさんぴん茶ハイ(450円)など、泡盛は基本ボトルで頼むのが地元流。
食べもは悩んだらおでん盛り合わせ(1,300円)。沖縄の〆メシの定番、ステーキだってあります。だちょっと高級で1,200円から。店名に冠した島おでんの屋号の通りおでんが名物ですが、チャンプルはじめ沖縄の酒場おつまみ定番は一通り揃っています。
おでんだけ食べていくわけにもいかないですよね。細く、それでいてコクぶかいもずく酢をおつまみに。
女将さんがニコニコ顔で渡してくれました。これがおでん盛り合わせ。厚揚げを下に敷き、玉子やソーセージ。そしてテビチ、最後に軽く汁をくぐらせた菜っ葉を載せた一皿。旨味がつよく醤油味はしっかり、それでいて甘さも強くメリハリのある味付けです。
菜っ葉を避けるとみえてくるテビチ。じっくり時間をかけて煮込んでいるそうで、丁寧な下ごしらえも店のこだわりとのこと。美容やコラーゲンという言葉を使うのはなんですが、この”とぅるとぅる”な食感は好きな人にはたまらないでしょう。
だってこれですよ。これで主張がしっかりした泡盛が待ち構えているのならば、それはもう頬張るしかないでしょう。ややシツコイくらいの旨味ですが、そんな余韻こそが泡盛を引き立てます。甘く軽く塩っぱく旨味つよいこの味は、現地へ訪ねないと食べられない味です。
そんなテビチの旨味を吸ったおでんダネもどれも酒の肴にぴったり。
沖縄といえば〆に食べるのはステーキ。でも、このコテコテな島おでんもいいものですよ。ご主人や女将さんの素朴な接客のなか、楽しんでいってね!と応対されれば、誰だって宮古島が好きになるものです。
60余年守られてきた味は格別でした。そして、なにより泡盛を心ゆくまで飲むひとときは大都市では味わえない至高の時間です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
島おでん たから
0980-72-0671
沖縄県宮古島市平良字西里172
19:00~27:00(不定休)
予算2,000円