石垣・川平「公園茶屋」 創業から58年、愛され続ける浜辺の食堂

石垣・川平「公園茶屋」 創業から58年、愛され続ける浜辺の食堂

石垣島の絶景スポット・川平湾。ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで沖縄県唯一の三ツ星評価をされたことでも話題になりました。八重山列島に来たならば一度は訪れたい景勝地です。

ガラスの船底から海中を眺められるグラスボートや、ダイビングを楽しむ人達が集まる川平湾ですが、自然体験だけを目的にするのはもったいないです。川平は泡盛を作る高嶺酒造がありますし、八重山料理でもてなしてくれる食堂もあります。

川平公園近く、展望台の裏手にある「公園茶屋」は、その名の通り、ずばりな観光地の食堂。ですが、ここはあったかい雰囲気のご主人、女将さんが迎えてくれて、お昼から地元の泡盛で飲める素敵な一軒なのです。

 

川平公園へは、石垣バスターミナルから路線バスで40分ほど。南の島の素晴らしい海岸線が続く中を、意外にも都市型の路線バスで走り抜けていきます。

 

一面の青い空と青い海。川平へ向かう車窓だけでも、石垣島にきた甲斐があります。

 

日中は定期観光バスや旅行代理店のツアーバスも次々やってくる川平。観光バスがつくと、ぞろぞろと皆さん海中散策の船へ向かいますが、個人旅行でふらりと巡って気になる店でオリオンビールを傾けるのもいいものです。公園乗り口にはいくつかの食堂が並びます。

 

バス停の前には八重山桜。取材時、東京は冬の気候でしたが、石垣は半袖がちょうどいいくらい。

 

バス停から売店の脇を抜け、海へ降りていくとすぐにこの景色。グラスボートの乗り場も兼ねているこの浜辺は、ため息が出るほど美しい。

 

川平公園はそんな浜辺を見下ろす高台にあり、展望台から穏やかな川平湾が一望できます。

 

展望台の後ろにあるのが公園茶屋。バス停や駐車場からは奥まったところにある一軒家。16時までの営業ながら、樽生も泡盛や地元の泡盛を傾けてのんびり過ごすことが可能です。

 

夢見心地になれるこの店内。BGMはなし、しずかに風が吹き込む南国の食堂。静かにゆっくりとした時間が流れます。都会の酒場とはまた違った、癒やし空気に包まれます。

 

決まったらどうぞー、とのんびりしたご主人。写真がご趣味で、店内にはご主人が撮影された動植物や風景の写真が飾られています。「風景を撮影にきたのですか?」とご主人に聞かれ、苦笑いしながら「お酒と料理を…」と(笑)

 

まずは、なにはともあれオリオンビール(中500円、小300円、中瓶500円)。おじー自慢のミツボシビールで、あり乾杯!

泡盛(500円)ももちろんあって土地の酒でしっかり酔えます。

 

料理はゴーヤちゃんぷる、ふちゃんぷる、とうふちゃんぷる、パパイヤちゃんぷる、野菜ちんぷる(各800円)、ポークたまご(800円)、みそ汁(本土の味噌汁とは異なる丼ぶり600円)、焼きそば(700円)など。食事で訪れる方の人気は八重山そば(600円)だそう。

ちゃんぷるにもお椀サイズのそばがつきます。(写真)

 

注文をすると、厨房から心地よいリズムで炒める音が聞こえてきて、熱々で登場の「ゴーヤちゃんぷる」。八重山そばと同じ豚ベースのダシの香りやコクがビールを誘います。

 

八重山そばは麺の断面がスパゲティのように丸いのが特長。豚肉がチャーシューのように平べったく乗っているのではなく、細切れがはいるのも違いです。沖縄本島とも異なる、八重山諸島ならではの味に舌鼓。地元の泡盛でつくるコーレーグースが味の決め手です。

 

ラーメンはおつまみにならない、私の考えは今も変わりませんが、沖縄そばはまた違うんです。ちびちび麺をつまみつつ、オリオンや泡盛の水割りを飲んで過ごせば、お昼はあっという間に1・2時間経過します。

 

地元のお父さんも食べに来る川平の食堂。風景同様に心もぱっと晴れ渡ります。のんびりビール片手に昼食を過ごせば、きっと素敵なバカンスになるはずです。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

公園茶屋
0980-88-2210
沖縄県石垣市川平934-37
11:00~16:00(不定休)
予算1,500円