2017年8月のオープンからずっと気になっていた西新宿の「大衆ビストロ ジル」へ取材という名目で楽しんできました。行きたいと思いつつ、どうしても大衆酒場を優先しがちだったのですが、そんな気持ちを察してくださったのか、いつもお世話になっているサッポロビールさんから「飲みに行きませんか」とお誘いを受けました。
いやいや、わかっていらっしゃる。
そもそも「ジル」とは、というところから説明しますと、創業5年目、目黒の駅前ビルではじまった大衆酒場とフレンチをかけ合わせたようなお店です。大衆酒場の気取らなさと、ちょっとオシャレな料理が楽しめて、値段は居酒屋価格というスタイルが評判となり、一躍大人気の飲み屋となりました。
その後、中目黒に二号店を開き、三店舗目がここ、西新宿となります。
その後開いた目黒や自由が丘で人気の「大衆酒場シナトラ」(Syupoでも掲載)もジル(経営:ジリオン)と言えば、「あー!」となる人も多いのでは。
新宿の飲み屋街の中でも、やや知る人ぞ知るといえる小滝橋通り、税務署通りに囲まれたエリアに出店し、しかも飲食店ビルの地階になるので、隠れ家的な立地と言えるでしょう。
ジルの特長であるオープンキッチンのカウンターを中心にしたつくり。
調理風景が丸見えで、それこそ最大の魅力に思います。厨房機器は舞台装置で、料理が主役。料理の様子って見ていて楽しいですよね。ボックス席やこっそり飲める場所もあるので、デートで利用するのもあり。
ジルはお店によってビールの銘柄がかわります。西新宿ではサッポロ黒ラベルです。ジルの人気の生レモンサワーやハイボールは変わらず魅力的。こんなオシャレ空間でもハイボールやお茶ハイは380円からと大衆価格を維持しているのもポイントです。カツレツに麦焼酎・和ら麦なんて組み合わせもいいんじゃない?
ジルの生ビールの注ぎ方はどの店舗も本当に丁寧。キレイに注いで泡を整えて。しっかりこだわった生は、その分だけ美味しいです。では乾杯!
食べたくなる料理がいっぱい。価格もスペシャルやメインディッシュを除けば千円未満。二人でシェアして食べるとちょうどいい内容なので手頃感があります。
目黒のお店で一人ちょいと飲みたいときは、なめろうとキャロットラペなんて組み合わせを頼んでいます。フレンチになめろう?よく見ればギョウザもある!と驚くかもしれませんが、この適当さが楽しいんです。
まずはカリフラワーのムース(480円)。ズワイガニが載ったジュレ仕立て。アラカルトで好きなように頼めばよいのですが、一応コースの流れで頼んでみました。
続いて、やっぱり気になるなめろう。鰆酢じめ菜の花、金柑のなめろう(880円)。よくある酒場の鯵なめろうを想像すると全然異なるカルパッチョのようでしょ。これがレモンサワーと相性抜群なんです。
このレモンサワーは皮まで絞った渋みのあるより大人な味で、とっても爽快。くせになります。
豚カシラをつかった春巻き(680円)は、柚子と生姜をすりおろしたウイスキーコーク、新宿ハイボールといっしょに。ベースがデュワーズなところにこだわりが感じられます。バランスの良いデュワーズに各種風味が混ざり合い、るつぼ的な新宿らしいといえば、そんな気がします。
カシラの春巻きは珍しいですね。しっかり肉々しい味にお酒が進みます。
さてさて、せっかくのジルですしワインを飲みましょうか。グラスでは赤、白それぞれ3種類ずつ用意され680円から。
ボトルでは2,800円からバランスよく揃っています。価格もそこそこですし、ワインで飲むぞと決めていればビールのあとはすぐにボトル1本お願いしたいところ。
ネダバーグ・カベルネ・ソーヴィニヨン、南アフリカステレンボッシュのワインです。果実味とタンニンがバランスよく広がりました。
合わせる料理は、肉類もよいのですがアヒージョも案外いいのでは?とオーダー。熱々、グツグツと音をたてて登場です。日替わりですが、この日は桜えび、小松菜、椎茸でした。バケットをつけて食べれば、思わず「うんうん」と頷く美味しさ。
和食の食材を使い、フレンチのテイストで調理をし、酒場とビストロの飲み物が入り交じる「ビストロジル」。カウンターの楽しさと、気になる料理しかいないオール主役な内容にテンションが上がりっぱなしでした。
春の取材でしたが、ビストロジルのようにメインの飲み屋街から一本ずれた地下の店は夏にこそぴったり。広い空間でエアコンの効いた中、ざっくばらんに摘んで飲むなんていいでしょ。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/サッポロビール株式会社)
大衆ビストロ ジル 西新宿店
03-6279-2559
東京都新宿区西新宿7-15-17 東光ビルB1F
17:00~24:00(金土は26:00まで・日祝は23:00まで・基本無休)
予算3,500円