天神『藤よし』焼とりと活魚が名物、屋台から始まった老舗居酒屋

戦後、屋台として創業し、1961年より西中洲で営業を続けている歴史ある居酒屋『藤よし』。天神・中洲エリアを代表する老舗居酒屋のひとつです。玉ねぎを挟んだ福岡式の焼とりが看板料理ですが、カワハギの活造りや郷土料理のごまさばなど魚介類も豊富。

一人飲みから宴会までおまかせ！大箱の老舗

屋台文化が今も残る福岡には、屋台で創業し、やがて実店舗を構えるようになった飲食店がいくつも存在します。競争の厳しい屋台で成功を収め、その後も続々と実店舗を開業したこれらの店舗は、総じてレベルが高く、福岡の食文化を牽引する存在といえるでしょう。

1949年に焼とりの屋台として創業し、やがて箱崎（本店※閉業）と西中洲に実店舗を構えた『藤よし』は、福岡の焼とり好きには知られた一軒です。

外観からは広い店舗とは思えません。二重の扉を開けると目の前に二代目大将や板前さんが立つ調理場があり、そこを囲む18席ほどのカウンターと畳敷きの小上がり5卓が配置されています。人気店のため、カウンター席まで満席になることが多いのですが、実は二階にもカウンターが用意されています。

老舗らしいどっしりとした雰囲気は初めての人でもきっと落ち着くでしょう。こうした店を訪れると、旅先の夜がより充実したものに思えます。

今日は生け簀料理はカワハギとあわび、車海老にミル貝。刺身はシマアジ・赤貝・イカ。どれも気になりますが、まずはビールをお願いします。キリンクラシックラガーで乾杯！

もともと焼鳥店ですが、広く福岡の郷土料理を揃えていますし、2代目による鮮魚料理も充実しています。

焼とりは「べんてん」や「ぺた」などの珍しい部位を注文したい。久留米や東松山同様、福岡も「焼とり」と呼びつつ、鶏だけでなく豚肉やホルモンも使われています。ネギではなく、玉ねぎを挟んでいるのが特徴。

二階のカウンターは目の前が焼き台の特等席。座敷だけでなく2階全フロアが畳敷きになっていて靴を脱いであがるのですが、これが温泉旅館にいるかのようなほっこりとした雰囲気で、抜群に居心地いいです。

（取材・文・撮影／塩見なゆ）