南福岡駅すぐ。朝から飲める家族経営の酒販店『福岡屋酒店』。いわゆる「角打ち」営業の店。缶類や瓶ビールだけでなく、グラス売りの地酒や焼酎が豊富に揃っているのが特長です。なんと朝9時30分から12時間通しで営業しいます。
車両基地とともに歴史を刻んできた角打ち
JR南福岡駅から徒歩2分の場所にある福岡屋酒店。かつて南福岡駅が国鉄雑餉隈(ざっしょのくま)駅と呼ばれていた頃からこの地で営業をしてきた老舗の酒販店です。
駅を挟んだ西側には、広大な鉄道車両基地が広がっており、さらにその先には自衛隊の駐屯地があるなど、南福岡は社会基盤を担う人々が昼夜を問わず働く街でもあります。
夜勤明けのいわゆる「明け番」の日は、早くからお酒が飲みたくなるというもの。福岡屋酒店は、そうしたインフラを守る人が朝から利用できる、9時30分に開店する角打ちです。
南福岡に限らず、大宮や吹田など、国鉄の企業城下町の要素が強い街には、昔から明け番職員御用達の角打ちや酒場があるものです。
外観
立派な酒屋さんです。建て替えた今はマンションの一階で営業中。正面左側の小さな入口が角打ちコーナーです。右は小売スペース。それでは、左側のドアからお邪魔します。
内観
店内は典型的な角打ちの構造です。小売スペースとはカウンターで仕切られており、イスはなく立ち飲みのみとなっています。
店の前は駅に続く生活道路。行き交う人は、お酒や角打ちに興味がなければただ通り過ぎるだけですが、時折、お酒好きのベテランさんが吸い寄せられるようにやってきます。
かつて、規制が厳しい時代の酒販店というのは、街の名士がはじめることが多く、福岡屋酒店も店内には往時を伝える品が多数飾られていました。
マンションに建て替える前の福岡屋酒店。瓦屋根に酒の倉庫を完備した立派な店舗だったようです。
品書き
缶・瓶ビールのほか、角打ちらしい地酒のコップ売りもあります。
出水酒造(鹿児島県出水市)の本格焼酎 木桶蒸留 赤鶴コップ:200円、半分:100円。
日本酒は永井酒造(群馬県川場村)の水芭蕉 純米大吟醸:730円、林龍平酒造場(福岡県みやこ町)九州菊 純米吟醸:580円、小林酒造本店(福岡県宇美町)萬代 博多の森 超辛口純米:490円、喜多屋(福岡県八女市)の喜多屋本醸造:420円など。
おつまみは、おでん:110円、ししゃも:320円、手羽味つけ:380円、焼めざし:80円など。
コップは飲みごたえ十分な200mlサイズ!
喜多屋 本醸造(420円)
コップ酒は、嬉しい200mlサイズ。グラス売りでは一合未満で提供することのほうが多くなってきた昨今、1合以上というのは、さすが九州の角打ち。九州の地酒をもらって、ぐっと一口。静かな店内で、心落ち着くひとときです。
乾き物おつまみ
親子で店を切り盛りされているご様子で、このときは息子さんがお店に立たれていました。昔ながらのあったかい雰囲気に癒やされます。
味のりをつまみに、二杯目をすっと頂いていい気分。
樽詰めの焼酎も気になりますが、角打ちでは飲みすぎない程度がちょうどいいので、ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 福岡屋酒屋 |
住所 | 福岡県福岡市博多区元町1-6-22 |
営業時間 | 9:30~21:30(日定休) |
開業年 | 1930年 |