東十条駅近く。ビルの二階にある『大衆酒蔵 酒だる』は、この場所で30余年。市場に勤めていたこともある大将が豊洲から仕入れてくる新鮮な魚介類は、安くて新鮮と評判です。サービス満点で、お通しだけでも結構なボリューム!
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夫婦で営むいぶし銀の酒場
東十条は不思議な街で、ターミナル駅ではないものの酒場の数は大変豊富。飲み慣れた人ならば、観光地化が進んだ赤羽飲み屋街よりも、むしろ東十条のほうが落ち着くかもしれません。業態はもつ焼き、やきとり、からし焼き(十条のソウルフード)など肉料理が多いのですが、鮮魚系ならば強烈な店が一軒あるのです。
それが、今回ご紹介する『酒だる』。JR東十条駅南口からは3分ほど。十条で知らない人はいない「黒松どら焼き」が名物の和菓子屋の角を曲がってすぐ。大きな「大衆酒蔵酒だる」の電照看板が目印です。
店はビルの二階。階段を登るとなかなか渋い雰囲気の暖簾がみえてきました。創業は1991年と平成の店ではあるものの老舗の風格が漂っています。
現在の場所で店を始める前から大将は店をやっていたそうで、そう聞けば納得のムードです。現在は奥様と二人で営業されています。住宅街ということもあってお客さんは地元の方が多いようで、この日もカウンターは通い慣れた感じの一人客が一人、また一人とやってきて、居合わせた方同士の会話が盛り上がっていました。
カウンターの向かいは、座布団を敷いた小上がりで、ちょっとしたテーブル席もあります。ずらりと掲げられた短冊に目をやると、まるで一昔前の価格。安いので、あれもこれも食べてみたくなりますが、『酒だる』が人気の理由は盛りの良さもあるので、注文のし過ぎには注意が必要です。
お酒
- 樽生ビール アサヒスパードライ:600円
- 瓶ビール サッポロ黒ラベル大瓶:600円
- ハイボール:400円
- チューハイ・レモンハイ・青リングサワー・梅サワー・ウーロンハイ:各300円
料理
- 刺身盛り合わせ:1,200円
- マグロ中トロ・カンパチ造り・カツオ造り:各700円
- あじ造り・ワラサ造り・イカ造り:各600円
- イワシ造り・たこ造り:500円
- カニクリームコロッケ・メンチカツ・牛スジコロッケ:各400円
- アジフライ・エビフライ:各600円
- 牛すじ煮込み・だし巻き卵・とり唐揚げ:各400円
- あら煮・肉豆腐・はんぺん挟み揚げ・サケハラ身・カレイ塩焼き・ブリカマ塩焼き・イカバター焼き:各500円
- しもふり馬刺:1,000円
料理を頼むと、主役級のサービスが1品ついてくる!?
サッポロ黒ラベル大瓶(600円)
さあ、まずはビールから。サッポロ黒ラベルで乾杯!
お通し
料理で人を喜ばせるのが大好きな大将。盛りの良さが店のウリなので、今回はグループで利用しました。なにせ、お通しからドンときます。
根菜とさつま揚げの煮物。しみじみ美味しい。これだけならば、よくあるお通しなのですが――
なんと、巻きずしも登場。梅かっぱ、サラダ巻き、鉄火巻の3種類。魚介類が店の推しということもあり、鉄火巻が美味しい。でも最初から巻物とは驚きます。
さらに、白和えとオクラごま和えまで登場。さっそく『酒だる』大将のパワーが炸裂しました。
刺身盛り合わせ(1,200円)
安さと量だけではありません。どうですか、このピンとしたカンパチ、スジのすくないマグロ赤身。刺身盛り合わせはボリュームもさることながら、ものがよく、包丁の入れ方も素晴らしいです。市場経験を活かし、いまも豊洲市場で仕入れてくるという大将。きっと仲卸さんとの良い関係があるのでしょう。
※写真は2人前
つぶ貝造り(刺身単品は650円前後)
刺身の良さに感動し、さらに追加で単品のつぶ貝を注文。これまた大正解。氷水で締めているようで、非常に歯ごたえがよいです。クセがなく、噛むほど旨味がでます。
帆立バター焼き(600円)
次に注文したのは、帆立バター焼き。濃いめのバター醤油がたまりません。それはそれとして、なにやら唐揚げが添えられています。これはサービスだそう。ソテーの付け合わせに唐揚げとは驚きます。
アジフライ(600円)
アジフライを頼むと、今度はカキフライがついてきました。アジだって、三枚にした肉厚のもの。皿からはみ出すほどの大きさと、なかなかの上物です。
だし巻き卵(400円)
だし巻き卵は、付け合わせがありませんでした。ですが、この量で400円はやっぱり安いですし、大根おろしを載せた丁寧な盛り付けが嬉しい!
牛スジコロッケ(400円)
コロッケも、これまた大きいです。肉たっぷりで濃厚な旨味がビールや酎ハイを進ませるのですが、付け合わせがどうしたって気になります。コロッケにゲソフライをつけてくれる大将。もう、同席いただいた皆さんと笑ってしまいました。
チューハイ(300円)
チューハイ類が1杯300円なのも嬉しいじゃないですか。
〆のお椀(サービス)
お会計時に、サービスでお椀をだしてくれました。こういうときの椀ものは一般的に一口サイズだと思うのですが、『酒だる』は、しっかりとしたお椀に、なめこ、お揚げ、豆腐、三つ葉をたっぷりです。もう最後の最後まで、想像以上でした。
ごちそうさま
盛りが良いけど丁寧な料理の数々。大将の熱心さに感動しました。さ物価高騰でこうしたインパクトある老舗個人店が少なくなった昨今、とても貴重なお店です。満腹になって、二軒目に行けません(笑)圧倒的なコストパフォーマンス!
魚好きの方は、ぜひ一度訪ねてみてください。
近くの酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ Special Thanks/Syupo酒場部のみなさん)
店名 | 酒だる |
住所 | 東京都北区東十条2-4-10 |
営業時間 | 営業時間 17:00~23:00 定休日 日曜日 |
創業 | 1991年 |