東十条『たぬき』活アジ刺身など品数200種類!謎のチャレンジ豆腐とは

東十条『たぬき』活アジ刺身など品数200種類!謎のチャレンジ豆腐とは

2021年3月29日

東十条駅徒歩10秒、駅直結の大箱大衆酒場「たぬき」。フレンドリーなご主人を中心に切り盛りする創業35年以上の個人店です。品数は多く、なんと200品もあります。一人飲みから宴会まで幅広く使えます。

スポンサーリンク

駅直結のいい酒場

北区の飲み屋街といえば赤羽が有名ですが、十条だって負けてはいません。知る人ぞ知る名店街で、地元の皆さんが昔と変わらず老舗の個人店でワイワイやっている雰囲気がたまりません。

例えば、東十条駅北口から雨天でも傘をささずに行ける場所にある「たぬき」もいい店です。街に一軒こういうお店があれば生活がちょっぴり豊かになりそう、そんな一軒です。

関西風串かつやきとりを看板に掲げています。これらの串料理はもちろんあるのですが、それ以上に料理は多く、串カツ店と思って暖簾をくぐるとびっくりしそうです。

若い板前さんとベテランスタッフの皆さん、一代で30年以上店を続けてきたご主人が明るく迎えてくれます。入るとすぐに自慢の鯵が泳ぐ生簀があり、奥へ進むと座敷が広がっています。

お店はJR東北本線(京浜東北線)のすぐ脇にあり、座敷の窓側の席はトレインビュー。鉄道ファンや、近隣の鉄道マンの姿もありました。鉄道だけでなく、近隣のエッセンシャルワーカーの皆さんのオアシスにもなっています。

昭和の旅館の大広間のような座敷、いまこういう酒場は少なくなりました。

一人飲みならば、ご主人や板前さんががちょいちょい話しかけてくれるかも。常連さんが多いのも納得です。

ビールは昔からキリン。樽生はキリンラガーで、瓶は昔の味を今に伝えるキリンクラシックラガーです。トクトクと注いで、それでは乾杯。

お通しは日替わり。この日はポテトサラダです。

品書きを隅々みるために5分は必要!

とにかく品数が豊富。たくさんメニューがテーブルに置かれているほか、店内の掲示物もチェックしないとイチオシを見逃してしまうかもしれません。

まずは飲み物から。瓶ビールが580円(以下税別)は今の御時世、良心価格です。日本酒は沢の鶴を定番酒に、一の蔵七笑などの地酒が揃います。500円前後と、やはり少しリーズナブルに思える価格設定。

幼児教育用のめくれる本のような、不思議なカタチの品書き。カラフルで手作り感たっぷり。しかも多くが500円未満と庶民派なこともあり、ついつい1品多く頼んでしまいそうです。

鯛のかぶと焼の値段、書き間違えですか?え、本当にこの価格なんですか(笑)

いち押しメニューというのは、だいたい6品くらい売れ筋やこだわりの料理を紹介してくれるもの。そういう考えをいい意味で裏切ってくれる、たぬきのいち推し。これだけで普通の居酒屋1軒分の品揃えではありませんか。

さらに定番メニューが加わります。

いち推しや”めくれる絵本”と内容は一部違うので、結局すべて眺めて悩むことになります。悩みながら、ちびちびビアタンを口に運んでいると、気づいたときには品書きだけで大瓶が1本空になる…。

さらにブックメニューが登場。この頃には、最初に見た品書きを忘れ始めています。

悩んだらご主人やベテランのお姉さんにオススメを聞くに限ります。たぬきの全容を知るにはボトルで「たぬき焼酎」を入れ(ボトルキープは1ヶ月)、本格的に通い詰めないといけませんね。

ご主人のオススメをいただきます

活アジの刺身(580円)

ご主人が鮮度にこだわり、お客さんが激減した時期でも仕入れ続けてきた活アジ。比較的大きいものが水槽を元気に泳ぎまわっています。これをご主人がタモ網でさっと掬い上げ、1分もかからず活造の完成です。

たたき、もしくは刺身が選べます。これで580円は安いのですが、「あじ祭り」で480円と嬉しい値段になっています。

盛り付けが美しく、刺身の包丁の入り方も美しい。身が厚く食べごたえがあります。

あわせるお酒は、たぬきのオリジナル日本酒(300ml・640円)。すっきりとした秋田のお酒です。

チャレンジ豆腐(410円)とは!?

東十条といえば、ローカルフードの「からし焼き」という豆腐料理が名物ですが、「チャレンジ豆腐」もなかなかに個性的。大きな丼ぶりにたっぷりの絹豆腐と豚バラ肉が入り、とろみのあるピリ辛の餡で包んだ一品です。

筆者は辛い料理が苦手ですが、それでも食べられる辛さ1倍。特別なスパイスがあり、最大で100倍まで辛くすることができることから「チャレンジ」の名前をつけたそうです。ちなみに5倍で「限界」だそうなので、冒険はほどほどに。

辛さではなく、和風だしの麻婆豆腐のような味も個性的で箸がすすみます。

ご主人は京都出身、だから関西の串かつ

京都の料理屋の家で生まれたと話すご主人。

東京にでてくるときに看板料理を考えた際、今ほど東京は串カツ店が多くはなかったため串かつを選んだと話します。看板料理で、長く常連さんに親しまれてきた料理だからと、今も何十年も価格据え置き、1本60円という安さを貫いています。

串かつはこだわりの豚と玉ねぎの1種類のみ。まるくふっくらとした、何十年も変わらない作り方です。ご主人こだわりのソースにどぼんと漬けていただきます。

城北エリアなどでみかける「たぬき」の看板。実は系列店で、箸袋にも記載あり。聞くと各店は皆さんご主人の親戚なのだそう。「チャレンジ豆腐」を置く店もあります。

こだわりながらも価格を抑えた60円串かつに、ボリューム満点の料理、活アジ刺しなど、ご主人のこだわりがつまったお店「たぬき」。いま、大箱の店はお客さんが減って大変な時代です。ただ、利用する立場としては、お客さん同士の距離をとって安心して楽しめるという、いま求められているメリットもあります。良いお店です、ぜひ東十条で下車して訪ねてみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名たぬき
住所東京都北区中十条3-36-16
営業時間17:00~(日・祝月定休)
開業年1985年
公式サイトTwitter