東十条『杯一』地域コミュニティの場として半世紀。癒やしのコの字。

東十条『杯一』地域コミュニティの場として半世紀。癒やしのコの字。

2021年6月6日

昭和47年から続く東十条の老舗酒場「杯一」。この街で働く人にはおなじみの一軒で、ちょっぴり怖い目が光る大狸が目印。コの字カウンターだけの空間に、連日地元の黒帯飲兵衛さんが集います。

京浜東北線の東十条駅周辺は「ヒガジュウ」の愛称で親しまれています。個性的な酒場が多く、同じ北区の赤羽や十条駅界隈とはまた違った魅力を持つ地域です。

杯一はそんな東十条で、とことん王道をゆくスタイル。350円ほどのおつまみとお酒が並び、派手な料理はないものの、ほっこりと飲ませてくれる内容が魅力です。

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開放感あるコの字が魅力

お店に入るとコの字のカウンターが正面にどーんと広がり、その内側で女将さんたちの姿が。カウンターの客席には遮るものがなく、お店の方や他のお客さんの顔もよく見え、箱全体で一体感があります。

はじめての人はやや常連さん率が高くて緊張するかもしれませんが、別け隔てなくもてなしてくれるのでご安心ください。

カウンターの角にはお姉さんが時間をかけて仕込む煮込みの鍋があり、つねにポクポクと湯気を立てています。

今夜は酎ハイ気分。レモンサワー(350円)で乾杯。なお、樽ハイ倶楽部のグラスではあるものの、ビールサーバーからだした樽詰のチューハイではありません。

品書きは短冊をチェック

壁の短冊で品書きをチェック。樽生ビール(中生500円)はサッポロ黒ラベル、瓶ビール(大びん550円)も黒ラベルです。ホッピー(セット450円)は白・黒選べます。珍しいのはホッピーのベースに甲類をいれるのではなく、芋焼酎でつくる芋ホッピーという提案の存在。

日本酒はお燗用が菊正宗(350円)、冷酒は菊水のふなぐち缶(600円)です。

料理は炒めものを筆頭に、比較的すぐ出るものが中心。揚げ物はコロッケが人気。ホワイトボードにはお刺身(取材時はぶり刺し550円)が加わります。

手料理をつまみにのんびり過ごす

こういう酒場にきたら、冷やしトマト(300円)がいいんです。もちろん人気の煮込みや女将さんがつくる炒めものもよいのですが、こういう雰囲気は冷やしトマトをつまみに、スロースタートで始めたいのです。

豆乳割り(350円)があります。最近、チェーン店でも提供することが多く市民権を得てきたように思う酎ハイのひとつ。筆者の大好物です。ここ杯一は約10年前にお邪魔した頃から豆乳割りがあり、もしかしたらここでハマったのかもしれません。豆乳が甲類の甘さを引き出すいつもの美味しさ。

冷やしトマトを食べている間に注文ラッシュも終わったようで、女将さんの手が一旦落ち着きました。それでは私も…と、ニラ玉(400円)をお願いしました。

中はほどよく半熟で、とろとろの玉子がニラを包みます。ちょっぴり濃い目の味付けに、さらに追いがけしたケチャップが味を引き締め、いい塩梅。ビールや酎ハイをよく進ませます。

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ちなみに、ここの肉豆腐はこうした鍋ででてきます。少し甘めのタレで煮込まれた豆腐一丁とネギ、豚バラがたっぷり。ほかにも、チーズベーコンポテト(450円)というグラタン風の料理も常連さんに人気です。

ウーロンハイ(350円)を頼んだら、麦茶ハイかのように色が薄い。つまりとっても(甲類焼酎が)濃いということ。下町のコの字酒場はしっかり酔いを楽しませてくれます。使用している氷は製氷機によるものではなく、なかなか溶けないのも嬉しいポイント。

ふらっと立ち寄りたい、癒やしの一軒です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名杯一
住所東京都北区東十条4-2-14
営業時間営業時間
15:00~21:30
日曜営業
定休日
火曜日
開業年1972年