JR中央線沿線はどの街も非常に魅力的です。とくに中野から三鷹から中野にかけての総武線並行区間は単なるベッドタウンではなく、駅周辺にそれぞれ異なる文化があります。どの街もお酒好きが多いのか、駅周辺に酒場が密集しているのも中央線の個性と言えるでしょう。
中野北口の繁華街は特に規模が大きいです。かつては陸軍や警察学校があったことから、関係者や家族が暮らす街として発展し、それとともに形成されたと言われています。
大正時代創業の居酒屋や定番の焼鳥店、若者が集まる立ち飲みなど、バラエティ豊かな中野は、お酒好きや飲み屋好きならぜひ通い詰めたいエリアです。
今回はそんな中野で明るい時間から飲める「昼飲み」できる飲食店をご紹介。王道の老舗から低価格チェーンオシャレなカフェ・バルまで揃っています!
目次
1,『第二力酒蔵』
『第二力酒蔵』は、中野北口を代表する老舗居酒屋のひとつ。創業は昭和37年ですので60年以上の歴史があります。
開店は14時と、こうした老舗の店としては非常に早いです。それでも口開けから中央線沿線の食通が集まり、カウンター席はいつものお客さんで埋まります。
店は非常に大きく、一階のテーブル席や座敷、二階の宴会広間を含めると200席にもなる大箱です。それでも歓送迎会シーズンなどは予約必須なので、その人気ぶりはおわかりいただけるかと思います。
店頭から見える冷蔵ケースには、その日に豊洲から仕入れてきた魚がずらりと並んでいます。まずこの魚をチェックしてから店に入り、刺身、煮魚、焼き魚を注文するというのが常連さんの注文の流れ。
お酒は地酒に力を入れています。定番の銘柄は伏見の「キンシ正宗」で、普通のお燗酒も十分に美味しいです。お燗はちゃんと湯煎でつけてくれるのも嬉しいポイント。
品書きは仕入れ次第で日々変わります。店内には手書きのメニューが貼られており、その中には通常の品書きには載っていない料理もあるため、注文は慎重に選びましょう。特に、白い品書きには期間限定のオススメ品が載っているので要チェックです。
「第二力酒蔵」には50回以上訪れたことがありますが、その度に驚くほど美味しい刺身を提供してくれます。特定の地域に偏らず、全国各地から旬の魚が集まっているのは、東京の老舗酒場ならではの魅力です。
ここで鱧を食べないと夏を迎えた気がしません。
煮魚が名物のひとつで、真鯛やカサゴ、イサキなど、どれも絶品。ただし少々値が張るお店ですので、予算を抑えめにしたいときは「あら煮」を選んでいます。付け合わせの飴色になった豆腐は中まで旨味が染みていて、これも絶品!
故・藤子不二雄Aさんが通った店として知らています。各分野の著名人も、ここでは普通のお客さん。
住所 | 東京都中野区中野5-32-15 第二神谷ビル 1F・2F |
営業時間 | 営業時間 14:00~23:00(L.O.22:00) 定休日 日曜日 |
開業した年 | 1962年 |
2,『NAKANOブリック(BRICK)』
中野のトリスバー『ブリック』が、営業制限下で臨時休業に陥り、そのまま閉店していましたが、2年半の沈黙を経て復活しました。店名はそのままで、2022年11月1日に再オープンしました。
『ブリック』は、トリスバーの一つとして、1964年に開業した名店であり、中野北口飲み屋街のランドマーク的存在でした。全国のトリスバーは飲酒シーンの多様化や感染症対策などの逆風の中でつぎつぎと閉業するなか、56年続いた中野の『ブリック』も閉業。
再開はないかと諦めていたところで、奇跡の復活となりました。運営は変わり、メニューも居酒屋寄りになりましたが、再びブリックで飲めることが嬉しいです。
内装は修繕された箇所があるものの、基本的には変わっておらず、トリスが飲めることに感慨深いお客さんも多いようです。
運営が変わってからはカフェ営業も始めており、日中から利用することができます。カフェタイムでもお酒を注文できますのでご安心ください。
住所 | 東京都中野区中野5-61-3 |
営業時間 | 営業時間 [カフェタイム] 12:00~16:00 [バータイム] 16:00~23:00 日曜営業 定休日 無休 |
開業年 | 2022年11月1日(初代は1964年創業) |
3,『鳥やす中野店』
中野には、高田馬場で人気の老舗焼鳥店『鳥やす』の支店があることをご存知ですか?本店は1967年に創業し、高田馬場で愛され続けている店ですが、中野でも本店と同じ味を楽しむことができます。
串は今の時代も1本100円未満から。鮮度がよくぷりっとした串は非常に美味しく、「安くて旨い鳥やす」は中野でもかわりません。
平日は17時に開店しますが、土曜日や祝日は12時から営業しています。100席ある大箱で、休日の中野で店選びに悩んだら、まずは鳥やすを訪れることをおすすめします。
住所 | 東京都中野区中野5-59-12 中島ビル 1F |
営業時間 | 営業時間 [月~金]17:00~23:30 [土、祝日]12:00~23:30 定休日 日曜日 |
開業した年 | 2014年(鳥やす本店は1967年) |
4,『魚の四文屋』
新井薬師発祥で、都内や北海道などに複数の支店を構える『四文屋』。とくに中央線沿線に店が多いので、杉並・中野区民にはおなじみの酒場です。焼鳥、やきとん、串揚げのイメージが強い同店ですが、都内には中野、高円寺、三鷹の3店舗が『魚の四文屋』として刺身を中心とした料理を提供しています。
四文屋といえば手ごろなお店というイメージがありますが、魚料理の場合も同じです。日本酒と刺身をいろいろ食べても2,000円から3,000円程度で楽しめます。
もつ焼き店の別業態とは思えないほど本格的な料理の数々。雰囲気的には、大衆割烹や海鮮酒場というよりは、漁師料理の店といった感じです。
手頃な価格で提供される料理の質の高さが、多くの人々に支持される理由の一つです。特に、1,500円で楽しめる5点盛りの刺身は、舟盛りにて提供されるという贅沢な演出が魅力的です。
住所 | 東京都中野区中野5-56-15 金井ビル 1F |
営業時間 | 営業時間 平日 17:00〜24:00 土日祝 12:15〜24:00 日曜営業 定休日 元旦のみ |
5,『珉珉中野店』
大阪千日前発祥「珉珉本店」の系列店のひとつで、浜松町や錦糸町にあるのと同じグループの餃子店です。生ビールはサッポロ黒ラベルだけでなく、中野店は中野に本社を構えるキリンの一番搾りもあり、珍しく2社の味が楽しめます。
看板料理の焼餃子はしっかりした大きさで7個盛られて410円と大変リーズナブル。
ワンタン風スープ餃子は510円で丼なみなみに出てきます。土日祝日はお昼から通しで営業しており、コストパフォーマンスの良さを知る常連さんたちでいっぱいです。
生ビールと焼き餃子、そして中華お通しのついたお得なビールセット(750円)がオススメです!
住所 | 東京都中野区中野5-55-17 平井ビル 1F |
営業時間 | 営業時間 【月~金】 11:30~15:00(L.O14:30) 17:00~22:30(L.O22:00) 【土・日・祝】 11:30~22:30(L.O22:00) 日曜営業 定休日 無休 |
開業した年 | 2002年 |
6,『大衆酒場神田屋 中野北口店』
『神田屋』は、居酒屋天狗を運営するテンアライドの低価格業態です。都心を中心に既存店を神田屋に切り替えることで店舗数を増やしており、中野店もその一つです。
この店の最大の特長は、なんといってもその安さです。立ち飲みならば1,000円台で、最大で10杯もレモンサワーなどが飲めてしまいます。
運営は安心安全の老舗飲食企業ですから、食材や接客、衛生面は心配ご無用。安くても居心地はなかなかてせす、こだわりの自社生産の餃子やつくね、写真映えするトロたくタワーが人気です。
サッポロ生ビール黒ラベルが今でもジョッキ1杯319円と非常に嬉しい価格設定なのも通いたくなるポイント。
住所 | 東京都中野区中野5-56-15 三京ビル 1F |
営業時間 | 営業時間 月~土曜日 14:00~23:00 日曜日・祝日 12:00~21:30 日曜営業 定休日 12月31日/1月1日 |
開業した年 | 2019年 |
7,『ほていちゃん中野店』
新小岩で創業し、上野で店舗数を増やした新進気鋭の低価格居酒屋チェーン『ほていちゃん』が、中野にも進出しました。JR中野駅北口から飲み屋街の目抜き通り「ふれあいロード」へ行く入り口のような場所にあり、土日祝日は14時から営業しています。
同店は、立ち飲みと着席で値段が異なり、立ち飲みではサッポロラガービールの大瓶がなんと約410円で飲むことができます。色々値上げした令和の時代に、この価格で大瓶が飲めるのは驚きの安さです。
独自の仕入れルートによって、割烹で提供するような稚鮎や昆布締めを300円台で提供したり、数量限定でスーパーの店頭よりも安くソーセージを提供したりと、興味深い取り組みが行われています。1人でも4~6人でも、普段は1人で飲みに行かない人でも安心して利用できる『ほていちゃん』は、居酒屋のコンビニ的な存在です。
住所 | 東京都中野区中野5-62-6 |
営業時間 | 営業時間 [月~金] 17:00~23:30 [土・日・祝] 14:00~23:30 日曜営業 定休日 不定休 |
開業年 | 2021年12月2日 |
8,『永世屋』
中野にも角打ちがあります。中野駅北口の明治大学中野キャンパス近くに店を構えていた永世屋(ながせや)かさい商店です。店頭のベンチで日中からビールやお酒が飲める店として親しまれてきましたが、2022年に再開発に伴い仮店舗へ移転中。仮店舗でも角打ち利用が可能なので、ふらりと訪ねてみてはいかがでしょう。
住所 | 東京都中野区中野4-20-6 |
営業時間 | 10:00~19:30(不定休) |
9,『vivo daily stand 中野本店(ビーボデイリースタンド)』
バルスタイルの店で、代々木や新橋、荻窪、赤坂など都内直営15店舗を構える今人気のバルチェーンです。本店は中野のレンガ坂上にあり、営業時間は11時から深夜2時までと、この街で働く人にとっては頼りになる存在です。
主にフレンチデリを扱っており、カウンター前の冷蔵ケースから好きなものを選ぶスタイルとなっています。レバーペーストや自家製パテ、キッシュなどが名物で、どの料理も495円均一とわかりやすい価格設定が特長です。
お酒はビールがハートランド、スパークリングを含むワインやシェリーは550円~。お昼はカフェラテを飲むなどカフェ使いをする人が多いですが、お酒もフルラインナップ。明るくてキレイな昼飲みスポットです。
※現金使用不可。キャッシュレスのみ。
住所 | 東京都中野区中野3-35-6 |
営業時間 | 営業時間 [月~金]11:00~26:00 [土日祝]11:00~26:00 日曜営業 定休日 年中無休 |
開業した年 | 2007年 |
10,『GOOD MORNING CAFE 中野セントラルパーク』
キリングループ各社の本社機能が集まるセントラルパーク サウスの1階にあるカフェ。目の前には緑が多い大型公園「中野セントラルパーク」が広がり、テラス席からは公園の風を感じながら過ごせます。こちらは、キリン関係者御用達のお店です。
名物は窯焼きのナポリピッツァ(1,250円)やアヒージョ(1,000円~)などです。
キリンビールの本社直結ということもあり、ビールは当然キリンで、しかもちょっと嬉しいハートランドも置いています。ハウスワイン(500円)などもあり、朝・昼・晩いつでも注文可能です。
住所 | 東京都中野区中野4-10-2 中野セントラルパーク サウス 1F |
営業時間 | 営業時間 MORNING / 8:30~10:30(l.o.) LUNCH / 11:00~15:00(l.o.) DINNER / 17:00~21:00(l.o.) CAFE&BAR / 8:30~21:00(l.o.) CLOSE 22:00 日曜営業 定休日 不定休 |
開業した年 | 2012年 |
気になるお店はありましたか?
予算が5,000円あれば、中野昼飲みの代表格「第二力酒蔵」はおすすめです。リーズナブルな価格の店をハシゴするのでしたら、四文屋などからブリックへ流れるのがスムーズなコースだと思います。
また、今回ご紹介しきれなかった下記の酒場や寿司店も安定のお店ですので、こちらも候補に入れてみてはいかがでしょうか。
- 鮨 割烹 三河屋(中野南口)11:00~22:00
- 松栄寿司(ブロードウェイ内 )12:00~21:00
- 赤ひょうたん(1964年創業の老舗)15:00~21:00
- 一軒め酒場 土日は12:00~24:00
- 立ち寿司横丁 中野サンモール 11:30~22:30
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)