日本蕎麦店として創業し、約半世紀前に中華料理店となった『成光』。3代目が暖簾を守る家族経営の大衆中華です。本と学生の街・神保町らしい常連さんでいつも賑わっています。ラーメンや中華丼だけでなくおつまみ・お酒も充実した”飲める町中華”です。
さくら通りの角にある、昭和の中華屋さん
神保町で用事を済ませて時計を見ると、13時30分。出版社や大学が多いこの街は、昼食時、どこも大混雑でランチ難民になりますが、そろそろ定食にビールをつけてゆっくり食べても迷惑にならない頃合いです。
「さぼうる」でナポリタンをつまみにハイボールを飲むか、「ボンディ」でカレーとビールというのも良さそう。そんなことを考えて雉子橋通りを歩いていると、さくら通りに植えられたおかめ桜の鮮やかなピンク色に目が止まりました。そうだ、春だしさくら通りの角にある『成光』で飲もう!
『成光』はこの界隈で働く人々なら知らない人はいない老舗の大衆中華(町中華)です。
再開発が進む神保町に残る貴重なレトロな建物にたなびく「中華料理」の暖簾がたまりません。
ランチタイムの営業時間は15時までと長く、14時頃になればランチピークを乗り切った安堵感が漂っています。
大きなお店ではなく、赤い化粧板を貼った4人テーブルが4卓、2人テーブル2卓と、カウンターが数席というコンパクトなつくりです。
年季の入った店ですが、とても手入れが行き届いており煤けた感じは皆無。中華屋さん特有の油の染み付き・ベタつきはなく、非常にキレイにされています。
品書き
お酒
- 生ビール キリン一番搾り:450円
- キリンラガービール大瓶:800円
- サワー(レモン・うめ):400円
- ウーロンハイ・緑茶ハイ:400円
- ハイボール:550円
- 日本酒:500円
- 紹興酒小:650円
料理
- 餃子 5個:480円
- 焼売 5個:500円
- 砂肝正油煮:360円
- ガツいため:650円
- 焼豚うす切り:480円
- 味付け玉子:100円
- ピータン:350円
- ニラレバ炒め:800円
- チャーハン:750円(半分チャーハン370円)
- 焼きそば:750円
シンプルなチャーハンに、王道のキリンラガーが合う
キリンラガービール大瓶(800円)
瓶ビールはもちろん、生ビールや酎ハイ、紹興酒とお酒の種類が多く、飲んでも許してもらえる雰囲気なのが『成光』の好きなところ。早めに仕事を終えて、その町で長く続く中華屋さんに行き、キンキンに冷えたビール飲む。平日のお昼酒は小さな贅沢です。
ビアタンではなく、”ヒヤタン”にキリンラガービールを注ぎ、それでは乾杯!
チャーハン・ワンタンスープ
典型的な東京の醤油ラーメンに半チャーハンをつけるのが人気の組み合わせで、グルメ雑誌でもそのように紹介されているようです。ですが、私は断然チャーハン派。ここのチャーハンはキリンビールと非常によく合うのです。
中華スープはサービスランチのときだけワンタン入りになります。カツオ、昆布、そして鶏ガラの合わせ出汁の香りが食欲をかきたてます。これぞ典型的な日式中華ですね!
厨房から「カラコロ カラコロ」というリズムが数分聞こえたら、チャーハンの完成です。黄色く輝く、見事な混ざり具合。具は玉子、ネギ、チャーシューとシンプルなのですが、味わいが豊かでビールを誘います。けして塩が濃いわけではありません。
ふっくら炊き上げた米粒のひとつひとつをラードが包み、ホクホクなのにパラパラ。しっかりふられた胡椒が実にいいアクセントになっています。
ごちそうさま
街の中華屋さんといえば本棚に置かれた漫画や雑誌ですが、ここ『成光』にもありました。そういえば、お店の斜向いは集英社ですもんね。
北の丸公園や千鳥ヶ淵もすぐそこ。皇居周辺散策のあとや、書店巡りの合間に立ち寄られてみてはいかがでしょう。
神保町の老舗中華
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 成光(なりみつ) |
住所 | 東京都千代田区神田神保町2-23 |
営業時間 | 営業時間 [月~金] 11:15~15:00 17:00~21:30 [土] 11:15~15:00 定休日 日曜日・祝日 |
開業した年 | 1977年 ※中華業態になった年 |