札幌『蛯天 分店』おつまみ充実!昭和38年から続く大衆天ぷらの名店

札幌『蛯天 分店』おつまみ充実!昭和38年から続く大衆天ぷらの名店

2022年10月5日

札幌のすすきの・大通で天ぷらを肴に飲むならば『蛯天 分店』がおすすめ。お昼から通しで営業しており、観光の合間の昼飲みにも便利です。看板料理の天ぷらだけでなく、北海道食材をつかったおつまみも充実しています。創業から約60年、安定感のある一軒です。

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老舗で、大衆価格。続いてきた店には理由がある

食の宝庫、北海道最大の都市札幌には、全国的にはまだ知られていないものの、地元の人に長年親しまれてきた名店が山ほどあります。新進気鋭の派手な店も良いですが、Syupoでは積極的に地域密着の老舗を取り上げていきたいです。

今回は、大通・すすきのエリアから、気軽に飲める天ぷら料理店をご紹介します。

1950年、戦後復興の中で一軒の和食店が誕生しました。店の名は『蛯天』。

店名の通り、エビなどの天ぷらが看板料理です。人気店となった『蛯天』は、創業家の家族が独立するかたちで暖簾分けが行われ、1963年(昭和38年)、『蛯天分店』が開業しました。ほかにも『蛯天駅前店』もありますが、それぞれ独立した関係です。なお、蛯天本店は2018年に残念ながら店を畳んでしまいました。

蛯天分店は本店の弟さんがはじめた店です。開業後に一度だけ店舗移転しており、その理由が札幌オリンピック開催にあわせた都市整備の一環だったというのですから歴史を感じます。

最寄り駅は、札幌市電の狸小路電停、または西4丁目電停。すすきの駅からもすぐの場所です。

外観

独特な書体の『蛯天』の文字や、懐かしい赤星デザインのサッポロビールのPOPなど、なかなか味わいのある店構え。

内観

店内も年季が感じられますが、平成に入り一度リニューアルしているそうです。少し引っ込んだ場所にあるので事前に知らないと素通りしてしまいそうな立地ではあるものの、次々と近隣の会社員や、通い慣れた馴染みのお客さんがやってきます。

カウンターは、目の前で天ぷらが揚がる様子を楽しめる特等席。奥に広く、落ち着けるテーブル席が並びます。宴会に対応できる座敷もあり、合計50席ほど。家族経営の店ながら、なかなかの大箱です。

品書き

お酒

樽生ビールサッポロ生ビール黒ラベル):550円、瓶ビールサッポロ黒ラベル)中瓶:530円、お酒(大雪の蔵上撰:400円、精撰:480円、冷酒:800円、焼酎:450円、サワー類:450円など。

おつまみ

天ぷら盛り合わせ:2,000円、かき揚げ天ぷら:1,300円。

刺し身:時価、卵焼き小:500円・大:1,000円、ホッキバター焼き:1,000円、ホタテバター焼き:1,000円、おっき塩焼き:1,000円、鮭てり焼き:1,300円、いか姿焼き:1,300円、かに蒸し:700円、とりわさ:550円、鶏卵:300円、めふん:500円、自家製いか塩辛:400円、鰊の切込:500円、納豆のいなり揚げ:550円など。

天丼など

上天丼:950円、特上天丼:1,800円、蝦天丼:1,000円、かき揚げ天丼:1,000円、蝦カレー天丼:950円、天茶:700円、ぼたん蝦天丼:1,800円など。

天ぷらはもちろん、常連さんに人気の卵焼きも楽しみたい

サッポロ生ビール黒ラベル(550円)・お通し(100円)

お昼から夜まで休みなく営業しており、日中でもフルラインナップでお酒や料理を提供してくれます。それを求めて飲みに来る黒帯飲兵衛さんもいらっしゃいました。

早い時間から飲むビールはいつも以上に美味しいですよね。私も樽生ビール(サッポロ生ビール黒ラベル)をいただいて乾杯。

昔ながらのたっぷり入るサッポロストレートジョッキで提供されるのが嬉しい!お通しのポテトサラダは、「さすが北海道」、いい味です。

卵焼き小(500円)

自家製イカ塩からやカニ茶碗蒸し、ホッキ焼きなど、地元食材をつかったおつまみが充実しています。そうした中から選んだのは、あえて「卵焼き」です。

みてください、この美しいフォルム。分厚くフワフワに仕上がっています。出汁が効いており、醤油は風味付け程度で十分。こうなると生ビールだけでなく、日本酒が欲しくなります。

大雪の蔵 上撰(400円)

蛯天分店の日本酒銘柄は『大雪乃蔵』一筋。ビールはサッポロ、日本酒は合同酒精と、老舗ららしい安定感たっぷりの顔ぶれです。

大雪乃蔵は電気ブランやビッグマン、鍛高譚などでおなじみ、大手総合酒類メーカー・オエノングループの合同酒精がつくる日本酒。旭川工場で製造されているのが「大雪乃蔵」です。原料米は100%北海道産。南部杜氏のノウハウを原点に、現在はオートメーションで製造されています。

上天丼(950円)

卵焼きを肴に上燗の日本酒をちびちびと飲んでいたところで、注文していた上天丼が出来上がりました。「天丼はお酒をお飲みになったあとにお出ししましょうか」とお気遣いいただきましたが、トッピングの天ぷらもおつまみにしたかったので、一緒に用意してもらいました。

食材は北海道産が中心。毎日、店主自ら札幌市中央卸売市場に買い付けに行っているそう。エビが二本に、キス、イカ、海苔、春菊、海苔という豪華な内容で、価格は1,000円未満。なんと良心的なのでしょう。

タレを弾くほどカラッとしたザクザクの衣。甘辛く、それでいてしつこさのないタレとのバランスがとてもよいです。ごはんを少なめにすれば、天丼も立派なおつまみです。

老舗の天ぷら店と聞けば身構えてしまうかもしれません。ですが、『蛯天分店』は親しみやすく、飲み屋利用もできる安心・安定の1軒です。ふらっと飲みに行ってみませんか。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名蛯天 分店
住所北海道札幌市中央区南二条西4
営業時間11:30~22:00(基本無休)
開業年1963年
公式サイトhttp://www.ebiten.co.jp/