北海道のご当地焼鳥チェーン「串鳥」はご存知でしょうか。札幌を中心に北海道内に30店舗ほど展開しています。すすきののような中心部だけでなく、千歳駅前や恵庭、岩見沢、旭川には2店舗あるなど、北海道・道央民にとっては馴染み深い「いつもの焼き鳥屋」的存在です。調べてみると、なんと東京にも2店舗、荻窪と吉祥寺に出店しているようで驚きました。
仙台以北最大の歓楽街すすきのの真ん真ん中、すすきの交差点。お酒メーカーの看板の大きさが、この界隈の飲みパワーの大きさと比例しているように思えます。
道央のいつもの焼鳥屋「串鳥」の本店はこの交差点角の地階にあります。札幌市営地下鉄すすきの駅から地下でつながっていることもあり、極寒の季節もなんなく飲みに立ち寄れる定番処です。他店舗展開をしている店の本店とは思えないこじんまりとした造り。それでも、賑わいはひときわで、周辺の立ち飲み店などと合わせて、すすきのチョイ飲み特区のような盛り上がりです。
店先でつぎつぎ焼き上げる焼鳥はボイルしたものではなく、オーダーが入ってから丁寧に焼き上げます。
コの字カウンターのつくりで、壁と椅子の間が狭く、奥へ入るには手前のお客さんに「すみません」と言いながら進むないといけない感じ。席間も狭くて最初は落ち着かないかなと思うも、実は計算されているような一体感があり、飲み始めるとこじんまりとした酒場の風景の一つになったような気分になります。
お酒が安い。サッポロ黒ラベルが320円(税込み)。焼酎は290円から、酎ハイは260円と立ち飲みよりもリーズナブルです。突き出しはでてきますが、これもサービスなので、滅多な飲み方をしない限り、千円代で満足できる価格設定です。まさに、すすきの版せんべろ飲み屋。
まずはサッポロ黒ラベルの生ビールで乾杯!
320円だからといって侮るなかれ、ちゃんと435ワイド(435ml入るジョッキ)を使って飲みごたえは十分です。北海道・恵庭でつくる黒ラベルは東京で飲む千葉工場のと味が違うという熱心なサッポロファンもいらっしゃいますが、私はこの変わらぬ美味しさで十分満足。
焼鳥は岩手産「あはん鶏」を使用。一本120円から。料理の種類は少なく、ほとんどが串料理で完結するような品書きです。
季節限定メニューは、さすがチェーンだけあってメニューはキレイ。
ご当地サワーの夕張メロンやあまおうが気になります。
突き出しはサービス。大根おろしと鳥スープはおかわり自由のサービス品。※東京の店舗など一部では200円ほど席料がかかります。本店はサービス。
このサービス2点セットは串鳥ファンにはおなじみで、なんとお代わり自由。焼鳥では大根おろしがついてくる店が多いですが、せんべろ酒場でこのサービスは嬉しい。
丁寧に串打ちされている焼鳥。炭火でじっくり焼き上げるので、外はかりっと、なかはしっとり肉汁感があります。2本単位での注文になりますが、美味しいのでぺろりと食べられてしまいます。今年で36年目、道央民馴染みの味はやっぱり美味しい。
北海道に来たら海産物を楽しむ郷土料理屋やジンギスカンなどもいいけれど、串鳥に行かなきゃだめ。定番中の定番なんだから。そう話す北海道出身者も多いです。とくに、私の周辺ではこのつくね愛好家がいらっしゃいまして、「つくねのあとに黒ラベルをぷはーってやれば一日の疲れが吹っ飛ぶ」のだそう。
変わり串もサイズが大きいわりに価格は100円台と良心的。山芋やポテマヨなど季節ごとに変わるバラエティ豊な串が並びます。
うれしいのがこの、ポッカサッポロの緑過ぎる(いい意味で)業務用玉露緑茶をつかった緑茶割りが260円!
この業務用の濃い口のお茶、1Lで203円(アマゾン調べ)と高級品です。東京の老舗大衆酒場でも愛されているロングセラー商品。割材が高いのにこんな値段で飲めるんだ、なんて喜ぶのはマニアくらいかもしれませんが、しっかり甘渋い味で、串鳥にきた際は、ぜひビールの後に味わってみて欲しい一杯です。
明るくきれいにリニューアルされた本店ですが、やはりどこか懐かしいコテコテ大衆酒場の雰囲気が残っていて、飲んでいて「居場所」を感じました。一軒目、ゼロ次会、チョイ飲みにぴったりのせんべろ焼鳥です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/サッポロビール株式会社)
串鳥 本店
011-512-2988
北海道札幌市中央区南四条西3丁目 ススキノビル B2F
15:00~0:00(無休・年末年始休)
予算1,600円