札幌市電から見える魅惑の黄色い看板。札幌市民に大人気の大衆中華(街中華)、『布袋本店』。一日3,000個は揚げるというザンギが名物。中華食堂ですがなんと飲み放題もあり、お昼から飲める札幌の定番昼飲みスポットでもあります。
目次
1998年創業。当初は焼鳥店だった
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南1条通沿い、札幌市電がゴトゴトと行き交う電車道沿いにある一軒の大衆中華は、ザンギ好きの札幌市民では知らない人がいないくらい、有名な店です。店名は『布袋本店』。札幌市中心街には他の街同様、日常的に使える大衆中華やラーメン店が多いですが、なぜ『布袋本店』が有名になったのでしょうか。その理由を、実際に“お昼飲み”しながら探ってみました。
外観
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『布袋本店』の創業は1998年。半世紀営業する老舗も多い札幌で、布袋は意外と新しいのです。しかも、創業時は中華料理店ではありませんでした。創業の頃から通っているという知り合いによると、当初は夫婦が切り盛りする小さな焼鳥酒場だったそうです。
その後、サイドメニューだったザンギが人気となり、それに引っ張られるように中華料理が増えていき、いつのまにか大衆中華(街中華)へと業態がスライドしていきました。
大人気になった『布袋本店』は支店を増やし、現在は本店のほかに6店舗を展開しています。中には、「寿司と中華」という普通ならば両立しない2ジャンルが融合した店もあり、その展開は非常に興味深いです。
内観
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すすきの駅から札幌市電に揺られて10分。西8丁目電停で下車。店はレトロなオーラ漂う戸建てで、しかも電車沿いなので迷いません。店先から漂う美味しい香りに、思わず生唾を飲み込み店内へ。
カウンター6席に、テーブルが25席ほどでしょうか。こぢんまりとした家族経営らしい雰囲気です。2階は座敷になっており、早い時間からすでに宴会の予約が入っているようです。
大変な人気店で、お昼時は相席になるほど混雑します。さらにテイクアウトのお客さんと、出前サービスで料理を受け取りに来る業者がひっきりなしにやってきて、ランチタイムの厨房はまさに戦場です。
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使い込まれた雰囲気ですが隅々まで掃除がされています。北海道らしい乾いた空気も加わり、パリッとした印象です。
品書き
お酒
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樽生ビールは、キリン一番搾り:500円とサッポロクラシック:500円。瓶ビールはキリンラガー中瓶:550円とサッポロクラシック中瓶:550円。小瓶ではアサヒスーパードライ:430円。
酎ハイ、ハイボール類は、スコッチハイボール(ホワイトホース):400円、ドラゴンハイボール(紹興酒のソーダ割り):500円、ウーロンハイ:400円、午後ティー無糖ハイ:400円など。日本酒は宝酒造の松竹梅豪快:400円。紹興酒(花彫 陳三年):400円。
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さすが札幌。飲み放題が人気の街ですので、中華料理店である同店でも飲み放題メニューがあります。飲み放題 120分(90分ラストオーダー):1,500円。宴会予約用というわけではなく、一人でふらりと来ても利用可能です。
料理
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点心・単品メニューは、名物のザンギ3個:420円、5個:700円や、自家製シュウマイ:530円、自家製春巻き5個:500円、手包み蒸し餃子5個:630円、弁財天焼餃子3個:570円も人気。
その他、エビチリ:1,050円、酢豚:830円、麻婆豆腐:770円、マーボー焼きそば:850円など。
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曜日限定メニューもあり、日々通うお客さんが飽きないよな工夫もされています。常連さんが多いことがわかりますね。レバニラ炒め:880円、青椒肉絲:880円、回鍋肉:880円など。
ザンギだけじゃない!マーボー焼きそばでビールが進む
キリン一番搾り(500円)
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「店に入って最初に味わうものは、料理よりも先に生ビール」ということは多いです。この一杯目が予想以上に美味しいと、このあとの料理への期待がぐんと高まります。まさか中華料理店の生ビールで、そんな体験をするとは!
『布袋本店』の生ビールは、びっくりするほど提供品質が良いです。キリンとサッポロ、2つの樽を揃えているのもこだわりを感じます。
それでは、北海道・千歳づくりの一番搾りで乾杯!
ザンギ3個(420円)
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ザンギは一日になんと3,000個も揚げるといいます。定食だけでなく、昼飲みにもまずは頼みたくなる料理です。
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低温からはじめて仕上げは高温で揚げているようで、表面はザクザクとしたクリスピーな食感。
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揚げたてなので、酸味のあるオリジナルのタレにひたしてもザクサクのまま。ヤケドに気をつけてそっと噛めば、下味がしっかりついた鶏肉から口いっぱいに肉汁が滲み出てきました。老酒の風味がわずかに感じられます。
北海道はスーパーのお惣菜売場でもザンギが必ず並んでいますが、それでも、わざわざ『布袋本店』から出前をとる人が多い理由がわかります。
スコッチハイボール(400円)
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口の中が美味しさでいっぱいになったところで、ビールを飲みきり、ホワイトホースのハイボールへ。
マーボー焼きそば(850円)
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もうひとつの名物が「マーボーメン」です。ですが、汁物は麺が伸びる心配から、落ち着いて飲みながらはつまめませんよね。そこで、「マーボー焼きそば」の出番です。
軽く揚げるように焦げ目をつけた柔らかく一部がパリパリの中華麺に、たっぷりのマーボー豆腐をかけた料理です。期間限定メニューから、つまみになる麺類として定番に昇格したという一品。
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見た目ほど辛くなく、それでいてしっかり体を芯から温めてくれる、北海道の中華店らしい料理です。もやしからはわずかにカレーの風味が感じられ、これがハイボールと非常によくあいます。
ボリュームがありますが、ザンギとマーボー焼きそば、両方とも美味しくいただけました。(夜まで満腹でしたが…)
もともと酒場としてはじまった経緯からか、中華料理店なのにどこか飲み屋の雰囲気。中華飲みがお好きでしたら、ぜひ訪ねてほしい一軒です。
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 中国料理 布袋 本店 |
住所 | 北海道札幌市中央区南一条西9-1 |
営業時間 | 11:00 〜 22:00(不定休)※15:00~17:00は提供メニューに制限あり |
開業年 | 1998年 |
公式サイト | https://zangihoteigroup.com/ |