旭川『炉端のユーカラ』昭和25年創業の大箱炉端焼き酒場。一人なら特等席のカウンター!

旭川『炉端のユーカラ』昭和25年創業の大箱炉端焼き酒場。一人なら特等席のカウンター!

2021年1月24日

アイヌ語由来の店名「ユーカラ」は、1950年(昭和25年)創業の旭川を代表する老舗酒場のひとつ。途中で経営母体がかわるも、昭和ムード全開に、北海道の幸と地酒を楽しませてくれる定番の一軒です。

炉端焼きを看板に掲げる郷土料理店ではあるものの、観光客と同じくらい地元の人も多く訪れる店で、親、子、孫と世代をこえて通う常連さんもいらっしゃるのだそう。

界隈きっての大箱の老舗。宴会対応もできるお店ですが、一人飲みならばより臨場感を味わえる炉端前のカウンター席に通されます。

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ネオン看板とロッジ風の店内

周囲を山々に囲まれた上川盆地につくられた、札幌市に次ぐ道内第2位の人口約33万人が暮らす旭川市。駅や商業地、飲み屋街はいずれも徒歩圏で、旭川の夜はぜひ街に繰り出してほしいです。

ロッジ風の看板建築が特徴的なユーカラ。

外観

夜になるとネオン管が灯り、一層レトロ感が増します。雪道を歩いてたどり着く、赤い文字のユーカラの光に、思わずほっとします。

内観

掘りごたつになった入れ込み座敷をメインに、厨房周辺はL字のカウンター席を配したつくり。炉端や厨房から立ち上る美味しい香りを含む水蒸気が、店内をポカポカに満たしています。

炉端の上にはオヒョウの骨が吊るされています。とくに食材用に燻製しているわけではないのだそう。目の前の冷蔵ケースで出番を待つ活ホタテ貝は、時折となりの海老のケースを揺らすほど、元気に動いています。

炉端料理は海鮮だけじゃない(品書き)

樽生はサッポロビールの北海道限定「クラシック」。びんでは大手4社揃えでサッポロヱビス、赤星ことサッポロラガー、サントリー ザ・プレミアム・モルツ、キリン一番搾り、アサヒスーパードライ(品書きの記載順)の5種類。

酎ハイ類は420円均一で、ハスカップなどのご当地割材も選べます。ハイボールのアイスキーは北海道つながりでやっぱりニッカ。

飲み物の品揃えがかなり充実しています。ワインは北海道のおたるワインなど。焼酎もご当地がいろいろ。甲類はオエノン(合同酒精)のワリッカですが、同社は旭川が発祥なのでこれもまた土地のアルコール飲料ですね。

朝来川の3蔵をはじめ、根室の北の勝、増毛の國稀と、道内各地からお酒が集められています。

続いて料理を見ていきましょう。なにを頼もうかと品書きとにらめっこしつつ、ときおりビールを口に含み、献立を組み立てていくこの時間が実に楽しいのです。

日替わりの差し込みメニューは、刺身は紋別の八角(トクビレ)刺しを筆頭に、サロマのウニ、積丹のひらめ、根室のおひょう、羅臼の青ソイ(クロメヌケ)など。どれも良さそう。

冬はおでんやシチュー、タチ天ぷらに、自家製わらじあげ(さつま揚げ)も美味しそう。さっきからネタケースでホタテに突かれている海老は、厚岸の北海しまえび(590円)ですね。

メニューブックが分厚い。そして情報がすごく多い。蝦夷鹿に、地場のソーセージ、豚のあたりめでワリッカをちびりとやるのも良さそうです。

定番のお刺身も種類が多く、カンパチ、しめ鯖、海老にホタテ、活ツブに、銀聖(日高地域の天然秋鮭)のルイベなど。

看板料理の炉端焼きは、一番の名物は「ユーカラ」専用サイズの巨大なしまほっけ(980円)だそう。一人では食べきれるか心配。

カレイにニシン、ししゃも、姫きんきなども焼いてくれます。

これでも、紹介する料理は一部省略しています。ご当地食材のオンパレード、これは人気になるわけです。

北海道らしいオヒョウ刺しが食べられる

寒い北海道でも、お店に入った途端に飲みたくなるのはやっぱりビール。寒暖の差で緊張していた心がほぐれる中で飲むビールは格別ですから。それでは樽生のサッポロクラシック(530円)で乾杯。

お通し(380円)は、甘い味噌ベースの煮込み。寒いときには、あったかい小鉢が嬉しいです。

目の前で板前さんが繊細な包丁さばきで盛り付けてくれました。

活〆ひらめとオヒョウの2点刺身盛り合わせ(890円)。オヒョウも漢字でかけば「大鮃」で、その名の通り、巨大なヒラメ(顔は右を向く)。この盛り合わせは、つまりは北海道のカレイ目食べ比べというもの。

ヒラメは旨味、甘味が上品で心地よく、オヒョウの脂ののり方もなかなか。どっちもそれぞれの個性があって美味しいでしょう、という板前さんの話の通り。なかなか食べ比べる機会はなく、貴重な経験です。

そんな彼らは炉端でいぶされています。

美味しいお刺身には地元のお酒を合わせたい。選んだ銘柄は、旭川の高砂酒造の代表銘柄「国士無双」の佳撰。国士無双のなかで最もポピュラーな商品で旭川の酒場の定番酒のひとつ。お燗にすると淡麗辛口、すっきりとした印象です。

蝦夷鹿のロース

炉端料理は、蝦夷鹿のロース(790円)を注文。北海道名産の山わさびを薬味としていただきます。滋味あふれる美味しさ、身は予想以上に繊細です。

あわせるお酒は十勝生まれ、北の麦焼酎「十勝無敗」(470円)をロックで。甘く香り高い飲み心地のよい焼酎です。

ごちそうさま

お店の人は実にサービス熱心で、料理やお酒のことも丁寧に説明してくれます。お手洗いでは昭和歌謡が流れていて、なんと曲を推薦することができる面白い仕組みあり。

「大箱の酒場で、そっと景色の一部に染まりたい――」出張のときにそう思うことはありませんか。ユーカラはまさしくそんな一軒です。

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名炉端のユーカラ
住所北海道旭川市4条通7
営業時間営業時間
16:00~24:00
日曜営業
定休日
無休
開業年1950年
WEBで予約ホットペッパー