札幌「古典家」人よし、酒よし、肴よし。すすきのの深夜メシ

札幌「古典家」人よし、酒よし、肴よし。すすきのの深夜メシ

2017年11月11日

北日本最大の歓楽街を持つ札幌。朝までやっている飲み屋も多く、一日を通して飲み続けられる楽しい街です。

たとえば、豊水すすきので小腹がすいたら「古典家」がおすすめ。せっかくのすすきの、チェーン店はちょっと避けたい…そんな個人酒場好きに知ってほしい1985年創業の大衆酒場です。営業は日祝を除いて翌朝4時まで。

お店はすすきのの東端にあり、これより向こうは人通りもなく寂しいですが、お店は地下鉄の終電時刻を越えてもなお笑い声が絶えません。

もともとは小さなカウンター酒場としてスタートした古典家。海の幸、山の幸、北海道の料理はなんでもごされではじまった手作り料理のお店。人懐っこい店主と良心価格でおいしい料理が人を呼び地元の人気店へと成長。

もとのお店の裏にも拡大し、しまいには借家だった店舗を建物ごと購入したというすごい店。壁だったところを開通させて、店の裏にも店があるという忍者屋敷のようなつくり。

でも、温もりある木の優しさと、店を手伝うスタッフの皆さんの楽しませようとする明るい接客から、どの席についてもほっとします。

ただ、やっぱり特等席は焼台を前にしたカウンターです。すすきのを行き交う人々を眺めつつ、「今日はつかれちゃったよ」なんて話をしながら飲むサッポロクラシックがおいしいのです。

では乾杯!

ビールは生がサッポロクラシック。瓶では赤星。サッポロがつくる樽詰めチューハイ「氷彩サワー」は400円。そして、後ほど飲みますが、ここの名物は1メモリ110円の自家製コーヒー焼酎です。

目の前では炭火でもくもくと鶏、魚、野菜が焼かれていきます。焼鳥だけでなく、ホッケなどもここで焼くので、ろばた焼きというほうが正しいのでしょう。

料理の種類はたいへん豊富。道内食材がほとんどで、焼鳥や釧路発祥のザンギ(唐揚げのようなもの)、室蘭風の豚串など様々。

いもとチーズと塩辛と解説された「ちお辛ポテト」なんて、いかにも北海道的ですし、あれもこれも食べたくなっちゃう。でも、いつもお店にたどり着くのが遅くてすでに満腹。とほほ。常連さん曰く「ピザせんべい」が人気らしい。

ご飯物も充実していて、近隣の夜のお仕事の人たちのめし処になっています。豚汁はありませんが、深夜食堂のような雰囲気もあり。

お酒好きはウコンが欲しい!古典家に流れ着いた梯子族から圧倒的な支持をうけるカレールー(420円)。札幌らしく郷土料理のスープカレー…というわけではなく、家庭のカレーのような丸くてほっこりしたもの。具がほろほろに溶け込んでいるので、味は見た目以上に複雑で、ビールが進みます。

進む、といえばこのコーヒー焼酎です。北海道は旭川生まれの合同酒精がつくる「ワリッカ」。そして、甲類の度数は全国的には25度が標準ですが、北海道はなぜか20度が大人気。

この20度のワリッカにコーヒー豆をいれて出したのが自家製コーヒー焼酎というわけ。メモリが貼られていて、1メモリ110円で「飲み放題・払い放題」というおもしろいルール。なみなみ入れて、4メモリ。まぁまぁ安いかな。

ロックで飲むのもよいですが、牛乳割りも人気です。

深夜にコーヒーを飲むとか、寝る気あるのかというツッコミは置いといて。

料理生もの・汁もの以外はテイクアウト可能。店内で軽く夜食としてつつきつつコーヒー焼酎を飲んで、残りは翌朝の朝食に。飲み屋のおつまみを翌朝食べると、昨日のぼんやりした思い出が蘇ってきませんか(笑)

深夜1時過ぎ、真夜中とは思えないほど明るく楽しい空間で、のんびり酎ハイ。あぁ、もう明日の午前中は寝て過ごそう。

もちろん、一軒目としての利用もおすすめ。一人で飲むならカウンター、人数が多いなら念のため予約されると安心かなと。

郷土料理の店ではなく、あくまで北海道の定番酒場である「古典家」。ガイドブックに載っていないリアルなすすきのの夜が過ごせます。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

古典家
011-512-3535
北海道札幌市中央区南五条西2 豊会館
17:30~28:00(日祝は25:00まで・無休)
予算2,600円