釧路「釧路和商市場 / 市場食堂 | 竹寿司」 漁師町の市場で季節の魚介とクラシック

北洋漁業の拠点、釧路港を中心に17万人が暮らす釧路市。日本有数の漁師町として、同時期に成長した第二次産業とともに、道東経済を牽引してきました。

釧路駅前には、そんな港町を身近に感じることができる釧路和商市場があります。1949年頃より露天商が集まったのが始まりで、現在約60軒が営業中。札幌二条市場、函館朝市、そして釧路和商市場が、北海道三大市場と言われています。

釧路市民の台所であることは言うまでもありません。また、JR釧路駅前の広場から大通りを渡ってすぐという立地から、道央からの特急列車が到着すると観光客の姿も増えるにぎやかな市場でもあります。

「勝手丼」 食べたいものを少しずつ

和商市場の名物「勝手丼」。

飲食店・家庭向けの販売店とはいえ、やはり市場といえば鮭やタラは一尾単位、毛ガニも1杯単位でボリュームが多いことがほとんど。旅行者がその場で買って食べるには難しいものです。そんな悩みから始まったのが勝手丼。お刺身一切れ単位、カニやいくらも一人前のおつまみサイズで売ってくれるお店が何軒もあります。

200円ほどのごはん（酢飯）を惣菜店で購入して、あとは鮮魚店から好きなお刺身などを買い集めて、”勝手に”つくる丼です。安く済ませようとすれば1,200円ほどで収まります。

といっても、花咲蟹も千円台からなので、ここは豪勢にカニをまるごと頬張るのも全然OK！市場内にお酒もあります。

市場のイートインにある、会議机とパイプ椅子って、不思議とテンション上がりませんか。

「市場亭」 通しで営業、旅の一軒目に最適

市場に入ってすぐの場所、市場亭と竹寿司という二軒の海鮮料理店があり、こちらで食べるのもおすすめです。落ち着いてお酒を飲みつつゆっくり過ごせます。

営業は市場と同じ、朝8時から18時（冬季は17時）まで通しで開いています。これがとても丁度いい時間で、飛行機でたんちょう釧路空港から空港連絡バスで釧路駅に着いても、JR特急スーパーおおぞらで釧路駅についても、降りてすぐに土地の海鮮が味わえます。

喉の乾きを潤す、北海道限定銘柄・サッポロクラシック（中びん480円）で乾杯！

いくら・うにの二色丼などが店頭に掲げられていますが、お刺身や焼き魚も用意があって、お昼酒にぴったり。釧路駅から中心街までは路線バスに乗るような距離。駅周辺でさくっと飲むならば選択肢は多いとは言えず、自然とここにたどり着くことになります。

日替わり定食やイカ刺し定食は700円からと地元の人が食べる手ごろな定食も。

ごはん少なめでお願いした「おまかせ丼」。ホタテ、カニ、つぶにマグロなどが盛々です。おおぶりなボタンエビのインパクトがすごい。お椀は花咲蟹で出汁をとったもので、カニの甘味に誘われてお酒が進みます。

「竹寿司」 創業41年、たこの卵と福司

和商市場の竹寿司は釧路で1978年（昭和53年）創業の寿司店。ベテランの大将と温厚な女将さんが笑顔で迎えてくれるほっとするお店です。

市場内の小さな店舗のため苦労もあるそうで、ご自宅で在庫の保管や下ごしらえも行っているとのこと。

テーブル席はありますが、やはり寿司屋といえば大将の前が特等席。

和商市場とともに長く続くお店ですが、隅々まで手入れが行き届き、パリっとした印象。ネタケースには旬の道東・海の幸が並びます。

大瓶のサッポロクラシックをもらって乾杯！

土地のものを少し切ってもらいました。メヌケやサケ、肉厚のホタテ貝柱、立派なとり貝、釧路の甘海老など。

こうなると、欲しくなるのは日本酒です。釧路の酒蔵・福司酒造の「福司本醸造」と、最東端の酒、根室の北の勝の2種類のみ。一升瓶から豪快に注いでもらったら、水飲み鳥のようにお迎えに。

どちらも淡麗辛口。からっとした北海道の気候に溶け込むすっきりした後味は、繊細な味のお刺身によくあいます。

ここに来たらぜひおすすめしたい逸品、たこの卵。軍艦巻に載せるのもよいですが、ノンベエならばぜひそのままつおまみとして。濃厚でコク深く、旨味だけで何杯も福司が空になるような魔性の肴です。

最後に軽く、いくらを握ってもらって、大満足。

広い空と海、自然豊かな都市「釧路」。ここには都会では味わえない食の体験がたくさんあります。

ごちそうさま。

（取材・文・撮影／塩見 なゆ）

釧路和商市場
0154-22-3226
北海道釧路市黒金町13-25
8:00～18:00（日定休※繁忙期臨時営業あり）
勝手丼予算2,000円
市場亭予算3,000円
竹寿司予算3,500円