【閉店】保谷「海ほたる」 うちなんちゅーの酒場で夜光貝つまみにかりーさびら

【閉店】保谷「海ほたる」 うちなんちゅーの酒場で夜光貝つまみにかりーさびら

2017年11月9日

ここは東京・保谷。毎夜賑わううちなんちゅうの酒場「海ほたる」をご紹介します。

沖縄の酒場は何度となく経験していますが、料理やお酒は同じでも独特なあの現地感を感じるお店は沖縄県外には少ないと思います。ですが、保谷の「海ほたる」はまさに沖縄の大衆酒場そのものでした。

沖縄の郷土料理の店ではなく、沖縄本島のありふれた大衆酒場をそのままもってきましたという雰囲気。だから三線の生演奏もないし、シーサーが見守っているわけでもありません。

 

店に流れる時間は沖縄時間。のんびり、たのしく、明るく行こうよというムードがお店の方だけでなく、常連さんたちからも漂い、そのゆるさも沖縄感ばりばり。

 

ビールは生樽がアサヒスーパードライ、瓶ビールではもちろんオリオンドラフト(中びん550円)です。オリオンビールは戦後復興真っ只中の1957年に創業した比較的若いビール会社。沖縄県でのシェアは半数をこえている県民愛飲ビールです。資本関係のあるアサヒと業務提携をしているので、生樽がアサヒで瓶がオリオンという組み合わせは沖縄を含めて定番の並び。

気分はすっかり那覇の大衆酒場。オリオンで「かりーさびら」(乾杯!)

 

瓶詰め酎ハイは中外別で、セットで450円。注目はやはりパッションサワーやグァバサワーでしょう。ベースは甲類ですが、お店の人に沖縄の本物の酎ハイを、と話せば泡盛たっぷりでつくってくれます。

シークワーサーサワーなどの定番だけでないあたりもテンション上がります。

 

おつまみは300円から。らっきょの天ぷらとは。そして、なんとポチギ(ポルトギューソーセージ)を発見。

ポルトガルのソーセージを原点にもつ沖縄人のソウルフード。東京ではまずお目にかかれない定番おつまみソーセージです。戦後、ハワイから入ってきたそうですが、食べ物に沖縄の歴史が刻まれています。

 

まずは定番の島もずく。実は私はもずくが大好物。もずくがあればビールは何杯でも飲めるのです。

 

ヒゲモジャで笑顔が素敵な板長。ご出身は沖縄ではないそうですが、漂うムードはまさにうちなんちゅう。

 

沖縄は島国ですので当然海産物が地元では食べられていますが、東京の人には沖縄=豚料理かもしれません。オーナー(隣で飲んでいる)は沖縄で食品関係を手がけており、向こうの定番を東京にも持ち込みたいという想いで店を開いたのだそう。だから、お刺身も現地から直送です。

一般的な真蛸と違う、現地では「わもんだこ」と呼ばれるシマダコや夜光貝が食べられます。

 

夜光貝の刺身はかなり珍しい。アクセサリーの素材として使われる夜光貝ですが、人の顔ほどある巨大なアワビのようなもので、新鮮な刺身は甘くねっとり、こりこりとした独特な食感で大変美味。

 

沖縄は近海マグロの水揚げが日本で3番目。美ら海まぐろは向こうでは当たり前に食べられており、それを現地と同じように出してくれるのも嬉しい。

 

脳天やなめろうもありますが、普通の赤身も生鮮だからねっとりとおいしい。

 

島らっきょを軽く炒めたものなど、オリオンから泡盛まで飲みたくなるものばかり。調味料の違いや、そもそもの味付けの考え方の違いがあるので、それがなによりおもしろい。

 

なにか、おいしいサワーをとお願いしたところ、 池原酒造所の赤馬にシークワーサー、そして炭酸でビルドする現地仕様の酎ハイが登場。泡盛の香りでシークワーサーの酸味が実はとってもよく合うのです。家庭でも真似したくなる味。

 

大皿に置かれた山盛りのスパムおにぎりが誘惑する…卵がないものもありますが、やはり定番の形はこの俵型ですね。

 

沖縄諸島につながるかたちである鹿児島奄美諸島。泡盛だけでなく、そんな奄美の黒糖焼酎も知らない顔ぶれが色々並ぶ。

 

左がオーナー。右は常連さん。兄弟みたいだよねと泡盛で酔った勢いて大盛り上がり。ナイスポーズです!

 

東京に居ながらして、うちなんちゅうの空気感に浸れる現地感全開の酒場「海ほたる」。お近くで沖縄の酒場が好きな方はぜひ覗いてみてください。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

海ほたる
042-421-6887
東京都西東京市東町4-14-17
17:00~24:00(金土祝前日は26:00まで・日定休)
予算3,000円