北海道の郷土料理といえば、ジンギスカンは外せません。一言にジンギスカンといっても、広い北海道では地域によって様々な食べ方があります。また、それぞれ皆さんが贔屓にしているジンギスカンレストランがあり、世間一般が思っているよりも遥かに奥が深い食べ物です。
日本有数の酪農地帯・十勝の中心地、帯広にも当然、街を代表する人気のレストランが存在します。1959年(昭和34年)創業の平和園です。ジンギスカンといえば、ファミリーなイメージがありますが、実は平和園は居酒屋利用としてもとても魅力的で、帯広滞在の際にはぜひ梯子酒の一軒におすすめしたいお店です。
帯広駅前は、駅の高架化と再開発によってまるで新幹線駅のような近代的な佇まい。JR系や有名チェーンまでホテルも駅周辺に集中していて、旅の拠点となる場所です。
駅から北に伸びるメインストリートを歩くと、数分で日本で最も東にある百貨店・藤丸がみえてきます。また、帯広の代表する銘菓、バターサンドで知られる六花亭もこの界隈にあります。
街のいたるところに蝦夷鹿などの銅像があり、カラッとした気候もあってどこか異国のような雰囲気すら感じるものです。このあたり、夜になれば多数のお酒好きがほろ酔いで闊歩する飲み屋街にもなります。
平和園本店はそんな帯広駅前にあります。十勝管内に6店舗、札幌に3店舗の支店がありますが、本店は創業時から建物を増築しつつ、今も変わらず使われています。老舗酒場にも似た渋い店構えは、肉好きならずともノンベエの心をくすぐります。
喫茶店のような、居酒屋のような、独特なつくりの店内。仕切りや椅子のシックな色合いと対照的な壁面のメタル感は、不思議の世界に迷い込んだかのよう。
ジンギスカンにはまずビールでしょう。平和園の羊マークですが、状態抜群のサッポロ樽生です。ジンギスカンはお酒が高め…なんてことはありません、昔サイズの生中で税込460円(以下税込み)です。
では乾杯!
定番のサッポロ樽生のほか、地元帯広市内にある株式会社帯広ビールが醸造する地ビール(ビールテイスト)の「ほろ」や「クロウト」、ナショナルメーカーで瓶のアサヒとキリンも用意されています。
濃いめできゅっとやりたい人におすすめ、甲類焼酎は宝の純で一杯280円とお手頃価格。なんと甲類用に梅シロップ(160円)も用意されています。酎ハイ類は320円、日本酒は280円。まさに大衆酒場価格そのものです。
焼肉平和園と、”焼肉”の冠がついていますので、ジンギスカンの他、黒毛和牛や豚、ホルモンなどひと通り揃っています。小鉢やごはん類のバラエティは焼肉屋のそれと同じです。
でも、見てください。看板料理の手切りジンギスカン。なんと350円からなんです。
限定の差し込みメニューにも気にも気合がはいっています。お手頃ですし、気になるものばかり。
“手切り”と”一丁付け”が味のポイント。昔ながらの手作業によるラムの切りわけ、そして注文ごとにタレにつけ込む方式は、昭和の頃から変えることなく守っているこだわりとのこと。一頭から手作業で切り分けているという手間を考えれば、ますます良心価格で嬉しくなります。写真の特上ジンギスカン一人前わずか530円。
ジンギスカン鍋を使用しない、焼肉スタイルで食べるようにした草分け的な存在として知られ、地元の人だけでなく全国的にも名のしれた存在です。
左手にサッポロ生ビール、右手にジンギスカン。本場まで来た甲斐を感じる瞬間です。ではいただきます。クセはなく、旨味は濃厚。じっゅと広がる脂とタレの甘みが広がり、その余韻にすかさず冷えたビールをぐっと。
せっかくなので、差し込みから黒ハラミをオーダー。程よい噛みごたえと強すぎない脂。肉汁がたぷたぷしていてます。サンチュとサニーレタスの包み菜(360円)で巻いて食べれば後味すっきりです。
酎ハイレモン(320円)は、甘くない酸味しっかりタイプ。可愛いイラスト付きでレトロな雰囲気のグラスも素敵です。
平和園は家族揃って食べに行くお店…なのですが、夜は宴会を楽しむ人達も多く、さらには私のように一人ジンギスカンでお酒を楽しむ人の姿も多々みかけます。そんな一人でも嬉しい食事系にはハーフサイズが用意されていました。
ビビン麺ハーフを〆にして、楽しい帯広の夜は更けていきます。だって、深夜0時まで営業しているんですよ(笑)
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
平和園 本店
0155-22-6151
北海道帯広市大通南12-1
17:00~25:00(木定休・2018.10更新)
予算2,200円