札幌すすきの「金富士酒場」すすきのの隠れ家、3本240円が魅力の焼鳥酒場

札幌すすきの「金富士酒場」すすきのの隠れ家、3本240円が魅力の焼鳥酒場

2017年8月1日

東京の串焼きは豚もつが多いですが、札幌では鳥がほとんど。最近は東京・中野のもつ焼屋がすすきの交差点に出店し、ますます札幌は串焼き酒場がブームとなっています。

そんな北日本最大の繁華街すすきのの中心部にありながら、知る人ぞ知る隠れ家「金富士」をご紹介します。といっても、札幌で飲み歩く人には当たり前の有名店なのですが、なにせ立地がすごいので、初めての人は躊躇してしまうでしょう。

すすきのの中心街、スナックだけでなくキャバクラなども入る水っぽい飲食店ビルの中にあり、正面はそれっぽいお兄さん・お姉さんが多く、裏路地から目指そうとすると、これはこれで大泉洋主演映画「探偵はBARにいる」にでてきそうなアングラな雰囲気です。とはいえ、見た目はそうでも街の雰囲気はのんびりしていて、点在する赤ちょうちんを目指して歩いている分には女性でも心配はないでしょう。

新宿ゴールデン街と新橋駅前ビル、それに歌舞伎町の風鈴会館を足して割ったようなビル。薄暗い階段ですが、大丈夫。大丈夫。

札幌の飲食店はこういうビルにまとまっていることが一般的で、北海道出身者には懐かしい雰囲気を感じるはず。

ガラガラと引き戸をあけると、40席近くある店内は奥までびっしり。カウンターに数席の余裕があるほかは、常連さんで満員御礼の人気店です。創業は1953年(昭和28年)。親子三代で暖簾を守る老舗です。

「いらっしゃい!どうぞ」と笑顔で迎えてくれる暖かさ。北海道の飲み屋さんは他県にもましてぬくもりを感じます。

ビールは生樽がサッポロ黒ラベル(生430円)、瓶では赤星(中びん500円)。サッポロビールが道内限定サッポロクラシックを発売する以前から変わらないこだわり。鮮度よし、洗浄ばっちり、冷えもヨシの極上の生で乾杯。

メニューは昔からずっと変わらないものばかり。ドリンクにサワーやハイボールが増えましたが、古き良きすすきのの日常使いの酒場を感じられます。

メインの焼鳥は3本縛りで240円から。1本80円とリーズナブルながら、生肉を毎日家族総出で串打ちしている昔ながらのもの。串には肉の間に玉ねぎをはさむ美唄焼鳥などでも定番の「北海道型」。自家製のつくねが筆者の好物。ちなみにタレは甘さすくなく、とろっとしていても醤油味に近い独特なもの。それでいてコクがあり、味に困ったらタレを選んでみてください。

一品料理は身欠にしん、たこ刺し、もずくとやはり北海道らしい。隣の常連さんは「ここは塩辛が絶品で、毎日でも食べたくなる」そうです。

自家製のつくねは、団子ではなく棒状にしたもの。もちもちとしていつつ、肉汁も滲み出る美味しい一品。黒ラベルの吸い込みを高める素敵な逸品。

北海道旭川市の歴史ある蔵「日本酒男山」が店の看板酒。すっきりしていて北海道らしい味。

余韻が爽やかで、焼鳥の燻す煙や肉汁と合わさって、思わず「ぷはー」って言いたくなります。難しく考えるお酒が多い今ですが、大衆酒場の「ぷはー」も無くてはならない味でしょう。

注文毎にひとつずつ焼いてくれるたまご焼(250円)もおすすめ。絶妙な火の通し具合でとろとろに仕上がっています。箸をいれるととろーっと玉子がとろけだし、たっぷりはいる長ネギの青味と塩味はクセになります。

酎ハイは岡山ワイナリー生まれのブランデーをベースにしたサッポロチューハイ「氷彩サワー」。そこまで甘すぎず、果実感のあるすっきりとした味わい。甘くない系では宝焼酎もはいっていますので、お好きなほうを。ビール後に酎ハイをだらだらと飲む時間っていいですよね。

カウンターだと目の前で次々仕上げられる料理を眺め、家族経営の阿吽の呼吸を肴に過ごせるので特等席です。そんなにとんがったお店ではありませんが、だからこそほっとする時間がここにはあります。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/サッポログループ)

やき鳥 金富士
011-531-7740
北海道札幌市中央区南5条西3丁目 NC北専プラザB1F
17:00~翌0:30(日祝定休)
予算1,700円