老舗の大衆中華で味わうビールは、同じ銘柄でも酒場とはまた違った価値を感じます。改めてそう感じた店が学芸大学駅前の『二葉』です。モチモチとした皮の餃子が看板料理。これにキリンクラシックラガーをあわせれば、とってもいい気分。〆にハーフサイズの炒飯をいただきます。
「学芸大学駅」の駅名とともに約70年
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山の手にありながら下町的な雰囲気漂う、目黒区・碑文谷(ひもんや)の学芸大学駅周辺。若い世代が多く活気のある街です。東急東横線を使えば渋谷まで8分というアクセスの良さが人気の理由でしょう。
鎌倉街道沿いの小さな村だった碑文谷がこれだけ発展したのは、実は昭和になってからのことです。
今年(2022年)、創業100年を迎えた東急(創設時は目黒蒲田電鉄株式会社)が、1927年に東横線を建設・開業させ、同時に「碑文谷駅」を設置しました。成長を続ける東京は住宅不足で、郊外への宅地開発が求められていた時代です。不動産と交通インフラの一体的な開発が進められ、現在の碑文谷の骨格がつくられたのでした。
碑文谷駅は数回の駅名変更があり、1952年(昭和27年)に学芸大学駅となり、現在に至ります。
外観
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駅名が学芸大学駅となった翌年、駅前に一軒の大衆的な中華が開店しました。それが『中華料理 二葉』です。
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創業当時から大きく姿を変えずに営業している、貴重な一軒です。学芸大学駅の正面出入口から一本入った高架脇の場所で営業しています。1970年の高架化以前は駅のホームに美味しい香りを漂わせていたことでしょう。
内観
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赤いテントに赤い暖簾。外観だけでなく、店内も絵に描いたような大衆中華の雰囲気です。
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合板のテーブルに重たい椅子。一部はパイプ椅子も使用されています。古いキリンビールの販促品が無造作に飾られていたりと、かなり使い込まれた店です。ですが、座ってみるとその居心地の良さに驚きます。空間を広く見せている高い天井の効果もありそう。
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壁に大きく張り出された品書きと、地元の鉄道会社のカレンダー。駅前の店はこうでなくちゃ。
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古くても、大切なところは衛生的です。例えば調味料入れ。ピカピカです。
品書き
お酒
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大樽ビールは、キリン一番搾り:中ジョッキ630円。瓶ビールは、キリン一番搾り中瓶:580円、キリンラガー大瓶:680円、キリンクラシックラガー:小瓶460円・中瓶:580円。
日本酒:450円。
料理
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餃子:600円、目玉焼き:350円、オムレツ:550円、野菜うま煮:700円、ニラレバ炒め:900円、酢豚:1,100円、五目かた焼きそば:1,100円、エビ炒飯:800円、半チャーハン:350円など。
軽く飲んでお腹を満たしたいときに、中華飲みは最高の選択肢
キリンクラシックラガー中瓶(580円)
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中華ですからお酒のバリエーションはほとんどありません。日本酒とビールだけ。なのに、なぜかビールは、大樽(樽詰)のキリン生ビールに、瓶ビールでキリン一番搾り、キリンラガー、キリンクラシックラガーと、キリンビールの社員さんもびっくりしそうなほど、キリン推しです。長く続く店ですから、それぞれファンがいらっしゃるのでしょう。
私はクラシックラガーをチョイス。それでは乾杯!
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ビールを頼むとお通し(サービス)のおしんこがもらえます。注文した料理に期待を高めつつ、ちびちびと。
餃子(600円)
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ショーウインドウの最上段を飾る料理は、人気のオムライスと定番の焼餃子。ビールのつまみに餃子をお願いしました。
大きめで皮はもちもち、それでいて、きつね色の焼き目はしっかりパリパリです。油キレがよく、ドライな仕上がり。
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噛むと中から肉汁とともに豚肉の比率高めの餡が顔を出します。キャベツは大きめにカットされていて、ザクザクとした食感がまざり、これが心地よいです。醤油は酢を強めにすると一層ビールに合うと思います。
半チャーハン(350円)
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中華飲みをするとき、餃子だけでなく麺飯類を頼むとお腹いっぱいになり過ぎてしまう問題があります。そんなときに嬉しいのが半チャーハンですね。
硬めに炊いたご飯にひと粒ずつ油が纏うことで、パラパラの仕上がりになっています。塩味は優しく、それでいてコクを感じる味付けです。半分と言わず、フルサイズでもらいたいくらい。
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餃子と炒飯、そしてキリンクラシックラガー。中華飲みの基本セットです。
シンプルだけど王道の大衆中華(街中華)の魅力がつまった『二葉』へぜひ!
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 二葉 |
住所 | 東京都目黒区鷹番3-3-17 |
営業時間 | 12:15~14:45・17:00〜19:45(土は12:00~15:00・火定休) |
開業年 | 1953年 |