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2012年6月に水道橋から始まったもつ焼き「でん」は、中目黒、西小山、蒲田、戸越銀座と店を展開し、いか専門店「いかのでん」を含め、都内で6店舗になりました。
特長は、ライブ感のある昭和テイストの焼鳥台とそれを囲むコの字カウンター、そして串打ちしたて、売り切れ御免の新鮮な豚もつ焼きです。お客さんはもつ焼き好き、酒場好きの若い世代が多く、スタッフの皆さんも若い方が中心で、非常に熱気のある空間です。
おしゃれ系の居酒屋が多いイメージの中目黒。ですが、ここは「でん」だけでなく、中目黒発祥の老舗もつ焼き屋をはじめ、新旧様々な店がしのぎを削るやきとり・もつ焼き激戦区になっています。
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カウンターだけの24席。次々とお客さんが入れ代わり立ち代わりでやってきては、豪快にジョッキを傾け、もつ焼きを頬張っていきます。ビールはサッポロ黒ラベル(取材時450円・以下税別)。でんのカウンターにはシャイニングスターのジョッキが似合います。では乾杯!
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瓶ビールは赤星の大瓶(650円)。酎ハイ、割りもの系が充実していて、昔の女のハイホールなど、独特なネーミングセンスが気になるところ。ちなみに、昔の女のハイホールは梅酒の炭酸割りです。甲類焼酎を使うホッピーやバイスなどのベースは、三重県・楠の老舗酒蔵、宮崎本店がつくる鈴鹿水系を使用したキンミヤ焼酎が使われています。
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飲み物同様、食事の品書きも個性豊か。シンプルな文字だけのメニューにも、内容次第でとてもワクワクしてきます。もつ焼きは1本140円(一部除く)。ぶれんずや、びーとろなど、他店ではあまり見かけない部位もあります。ご興味あればお試しあれ。
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スピードメニューのイチオシはマカロニサラダ(300円)。マヨネーズたっぷりのねっとりタイプで、たっぷりかかった粗挽き胡椒が味のアクセント。お通しがないお店なので、串が焼ける前のつなぎ役にぴったり。いえ、むしろマカロニサラダ目的で飲みに行きたくなってしまうかも。
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短冊状になるよう整えて串打ちされている「でん」のもつ焼き。炭火でガンガン焼かれていて、外はサクッとした食感があり、中は非常にジューシーです。部位によってはこちらも胡椒がたっぷり振られています。
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でんのもつ焼きの特長を一言で説明するならば、この独特な薬味でしょう。おろした紅生姜をベースにしていて、酸味、塩気、旨味のエッジがたった味。豚モツの脂と絡むとなかなかどうして、次々と串を口に運んでしまいます。懐かしい駄菓子のような味でもあり、これがビールと相性抜群です。
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駄菓子繋がりで、これもまた懐かしい味。大田区・羽田の老舗清涼飲料メーカー「コダマ」がつくるバイス。キンミヤ焼酎を冷凍庫に入れてシャーベット状にした「シャリキン」をベースにして、氷なしで提供されます。
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甘酸っぱい味に、豚モツの濃厚な味。お互い個性が強く、ともに負けない味を重ねていくと、次第に「わぁ、いいね!」となるから不思議です。
東京の酒場らしい酎ハイ類と豚モツの組み合わせ。中目黒散策のあとは、若い酒場でパワフルな味を楽しみませんか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | もつ焼 でん 中目黒店 |
住所 | 東京都目黒区青葉台1-30-14 山口ビル 1F |
営業時間 | 営業時間 [月~金] 16:00~23:30(L.O.22:30) [土・日] 14:00~売切次第終了 日曜営業 定休日 祝日:不定休 |
開業時期 | 2015年 |