上大岡発、横浜を代表する立ち飲みチェーンのひとつ「国民酒場じぃえんとるまん」。戦後復興期の横浜で設立された酒場組合「市民酒場」がありますが、それをオマージュして「じぃえんとるまん」は国民酒場を店名に関しています。
そんな「じぃえんとるまん」が2019年12月15日、多摩川をこえて東京都内へ初進出。場所はJR蒲田駅西口。大手手芸店近くの飲み屋街の一画にオープンしました。毎日正午開店と力強い1軒です。
特長はなんといってもぴおシティ内の店舗と同様に、赤星ことサッポロラガーの大瓶をなんと税込み410円という破格の値段で提供しているところ。加えて上大岡からの人気メニューのピザや鉄板料理、姉妹店の立ち飲み中華「風来坊」のエッセンスが入る中華、蒲田店ではじぃえんとるまん初の取り組み、注文を受けてから切り盛りする鮮魚も特長です。
じぃえんとるまんファンの方も、初めてじぃえんとるまんを知った方にも読んで頂きたい、魅力や他店との違いをご紹介いたします。
※本記事はレセプション時の様子です。通常営業に近いかたちで運営されていますが、営業時と内容が異なる場合があります。
椅子席なしの立ち飲みオンリーのつくり。厨房に向いたL字のカウンターは約12名分。壁よりは6~7名が立てる島(テーブル)が5つ。
通路の幅が広くて、満卓になっても空間に多少の余裕が残る配置で、飲んでいて落ち着く印象があります。
条例の関係で、店内は禁煙。店の奥に扉で仕切られた喫煙室が用意されています。じぃえんとるまんでフロア内禁煙は初めてのこと。
刺身が今回の看板メニュー。冷蔵ショーケースにはサクの状態で今日の分が用意されています。一尾買いをしているとのことで、売り切り次第、次の魚が並ぶようです。
お刺身(380円~・以下税込)は、短冊で掲げられています。この日は、小笠原のまぐろ(メバチマグロ)、ビンチョウマグロ、長崎のブダイと赤イサキ、高知のカンパチ、福島のスズキ、青森のクロソイという顔ぶれ。
カンパチ(460円)、ばちまぐろ(380円)。なかなか上質な身と一人前なら十分な量の厚切りの盛りは、立ち飲みとはいえ、お値打ち感たっぷり。刺身数品をあわせると桶盛りで提供されます。
オーダーしてから一人分を切り分けてくれるお店は、どこも魅力的です。
なにはともあれ、まずは乾杯!
提供品質のよいサッポロ黒ラベル(中ジョッキ400ml・400円)です。
赤星は冷蔵ケースで大量に準備中。どんなにオーダーが続いても適切な冷え具合のビールを提供するために、厨房奥の複数台並ぶ冷蔵庫には、赤星が満タンに寝かされています。
樽生はサッポロ黒ラベル。瓶では赤星とヱビス。その他、マルチディスペンサーからは樽スパークリングのポールスター(310円)、強い炭酸のデュワーズハイボール(270円)が提供されます。
バカルディのラムハイや人気のモヒートも310円とリーズナブル。酒場の価格の指数にされている方も多いホッピーセットは、税込みで400円。ソフトドリンクはコカ・コーラ社です。
酎ハイ類は260円と相変わらず、とってもリーズナブル。バリエーションも豊富です。酎ハイ類を大ジョッキ(ビッグサイズ)で飲めるのも素敵です。紹興酒は宝酒造の塔牌(トウハイ)。通常の甲類はサッポロ焼酎ですが、キンミヤ焼酎を選ぶことも可能。久留米市田主丸町でつくる本格麦焼酎の和ら麦は210円ととってもリーズナブル。
手元の定番メニューは、おなじみの鉄板料理など。横浜のブランド豚「はまぽーく」(伊勢佐木町 立呑み みんなのいばしょ推薦)や、大根の老酒漬けなどに、横浜感があって楽しいです。
黒板には定番に加え、おすすめ品やイレギュラーの献立が並びます。
そんな黒板メニューから、ポテトサラダとマカロニの合盛り、「ポテロニサラダ」(300円)。なめらかマッシュでねっとりしたポテトサラダと、具だくさんの店で和えた濃厚マカロニサラダが混ざったら、予想通り美味しいに決まっています。
中華系メニューその1。ボリューム満点の油淋鶏(400円)。
外はカリカリ、やけど注意の熱々の肉汁が溢れてきます。
その2は、おっぱい角煮。数量限定。中華風の甘い風味と軽くスパイスが効いた本格的な角煮と、鉄板でささっと焼いた目玉焼きの組み合わせ。半熟の黄身といっしょに頬張ります。
お刺身から鉄板系、中華系と何でもあり、食べたいものをお好きなようにというスタンス。立ち飲みの自由さにテンションがあがります。
あわせるお酒は、バリキング。通常のサッポロ社のバリキングにすりおろした生姜を加え、味をより引き立てた濁りのある一杯。
店長さんに注いでもらった、新名物間違いなしの「味噌牛すじ煮込み」(400円)。
季節によって味を変える予定とのことで、冬季は味噌味です。次期は塩煮込みなどを検討中とのこと。根菜たっぷり、牛すじも大きくサイコロ状なのですが、口に入れた途端にほろほろと溶けていく、実によいもの。例えるならば具だくさんで濃厚な豚汁。塩気ではなくコクでお酒を進ませてくれる、非常に美味しい一品です。
レバースタミナ焼き(350円)。立ち飲みでも料理は妥協せず、と以前から伺っていますが、蒲田店もまさにそれ。
〆におすすめは、やっぱりMIXピザ(450円)。鉄板で焼くじぃえんとるまん式のピザで、生地からお店でてづくりされています。昔ながらのバーで供されるような、薄くお腹にたまりにくく、チーズたっぷりでお酒を誘うピザです。
お店の皆さんのフレンドリーな接客も昔からじぃえんとるまんの魅力ですが、蒲田も同様です。グループで飲みに行くのももちろんよいですが、カウンターでお店の雰囲気に身をおいて、のんびり過ごす(お酒や料理はしっかり注文)のもおすすめです。
蒲田駅徒歩2分の「じぃえんとるまん」。蒲田での梯子酒がますます魅力的になりました。今度の休日は、明るいうちから立ち飲みめぐりをしてみませんか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
国民酒場 じぃえんとるまん 蒲田店
東京都大田区西蒲田8-2-1 1階
12:00~22:00(日祝は21:00まで・基本無休)
予算1,700円