首都圏にはいくつか「聖地」と呼ばれるような飲み屋街があります。そのどれもが個性的で、唯一無二の楽しさで満ち溢れています。”山の手の下町”、武蔵小山もそのひとつです。JR山手線の目黒駅から東急目黒線で2駅という都心に近い場所にありながら、人情味あふれるあったかい雰囲気の町が広がっています。
元気な個人店が立ち並び活気ある武蔵小山商店街パルムを軸にして、周囲には無数の飲食店がのれんを掲げています。早い時間からやっている酒場・立ち飲みも多く、少しでも時間があればとりあえず「ムサコ(目黒区・品川区)」に行けば間違いなし。
「長平」は、そんなムサコを愛する人が集う人気店です。創業は2014年。実はこの店舗は2店舗目で、以前は東口にあった飲み屋街「武蔵小山飲食店街りゅえる」に店を構えていました。
再開発による整理のため、2017年8月に現在の店舗に移転。駅の西側に移っても、ご主人の人柄や美味しい魚料理、安くて美味しいおつまみを求めて、変わることなく多くの常連さんで賑わっています。
開店が15時と早いのがまた嬉しいでしょ。駆けつけからの一杯に、キンキンに冷えたジョッキでいただくサッポロ黒ラベル(500円)。では乾杯!
生ビールにサッポロ黒ラベル。瓶では赤星ことサッポロラガーとアサヒスーパードライ。チューハイ類は300円からで、甲類焼酎はマイルドな味に定評があるキンミヤを使用しています。
飲み物でおえておきたい銘柄は「ハイサワー」。「わるならハイサワー♪・お客さん終点だよ」のCMでお馴染みの割り材メーカー・博水社は武蔵小山の会社です。ご当地割材のハイサワーは、定番のレモンや青りんごに加え、パクチーサワーやビールテイストの「ハイサワーハイッピー」なども揃っています。瓶で提供され、自分で濃さを調整しながらいただきましょう。
下町の色付き焼酎ハイボール(400円)や、サッポロが出す不思議な味でクセになる「バリキング」(450円)もあります。
日本酒は仕入れ次第で日々変わります。新政(秋田市大町)や、屋守(東村山)など、スペシャルな日本酒が並びます。北雪、田酒に〆張鶴など、400円ほどから楽しめます。
以前の店舗は横丁の小箱でしたが、現在の店舗は広々していて、明るい雰囲気。カウンターから4人席、立ち飲みまで様々なスタイルが用意されています。
魚好きとおっしゃっていたご主人。しっかりした刺身、焼き魚、煮魚が揃っています。ウマズラハギ(500円)で、ちびりと日本酒を楽しみたい!
焼きそばナポリタンや激辛春雨など、バラエティに富んだ料理は常連さんを飽きさせません。
お通し感覚で頼みたい、すぐでる料理3点盛り(500円)は、ものすごく種類があるので悩ましい限りです。皆さんならば、どんな3点を選びますか。
左から、自家製松前漬、シャキシャキポテトサラダ、肉団子。これでますますビールが進むというものです。
※飲酒は自分のペースでゆっくりと。
じゃがいもの千切りを湯通しし、サラッとしたマヨネーズで和えたオリジナルなポテトサラダ。クセになる食感でおすすめ。自家製の松前漬けも日本酒を誘う濃厚な味がたまりません。
レトロな瓶がかわいいでしょ。「ハイサワー」の文字も、一周回ってむしろ今風という印象です。
定番のレモン味。しっかり果汁入りでシチリア産のレモンが使われているそうです。
ガス圧強めでシュワシュワ。ビールからの二杯目、三杯目でも負けない主役感です。
のどぐろサツマ揚げ(300円)。好物の鯛煮付け(450円)は一人だと多すぎる…、そうして選んださつま揚げ。フカフカしていて、甘みが心地いい一品です。
開店と同時はまだ静かな店内も、夕暮れに近づくと次々常連さんが集まってきて次第に賑やかに。50人ほど入れる店内は、近隣にお住まいの方や酒場好きの常連さんたち、老若男女の笑顔でいっぱいになります。
ちょいと一杯から、しっかり腰を据えた乾杯まで、いろんな用途でぜひ覗いてみてください。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
長平
03-6759-1181
東京都目黒区目黒本町3-4-10
15:00~24:00(基本無休)
予算2,000円