聖蹟桜ヶ丘では貴重な大衆的な居酒屋『まんだら屋』をご紹介します。創業から30年以上、近隣で働く人々の癒やしの場として賑わってきました。新潟出身の名物女将は親しみやすい人柄で、一見さんでも安心してお酒が楽しめます。また、まんだら屋の看板料理「オムレツ」は卵料理好きを唸らせる絶品です。
目次
ニュータウン・聖蹟桜ヶ丘
新宿から京王線の特急で約30分。聖蹟桜ヶ丘は多摩川と多摩丘陵の間に広がる街で、1937年に京王が旧・関戸駅を多摩聖蹟桜ヶ丘駅と改称したことが、名称としての「聖蹟桜ヶ丘」のはじまり。京王による開発が継続的に行われ、京王グループの本社もこの街にあります。
駅前は京王百貨店や高層マンション、オフィスビルなど大型施設が密集しており、私鉄沿線に多い細く入り組んだ商店街はほとんどありません。飲み屋街も同様です。そのため、チェーン店以外の飲食店は多くはなく、とりわけ昭和の大衆酒場というと貴重な存在です。
そんな聖蹟桜ヶ丘にも、長年親しまれてきた酒場があります。店名は『まんだら屋』。駅徒歩3分の場所にある2階建て飲食ビルの2階に店を構えています。
黄色い看板にシンプルな暖簾。いかにも酒場らしい店構え。暖簾越しに、店内からのんべえさんたちの笑い声が聞こえてきます。
店内は意外と広く、テーブル席、厨房に向いたカウンター席、奥には入れ込みの座敷もあり、これがなんとピーク時は満席状態になります。客層も様々で近所に暮らすお酒好きの方が、ボトルキープの焼酎を傾けながら晩酌を楽しんでいたり、会社員グループが少人数の飲み会を開いていたり。家族連れの姿もあります。
使い込んだ雰囲気の店ですが、手入れはしっかりされています。
品書き
お酒
生ビールはアサヒスーパードライ:528円、瓶ビールはキリン一番搾り中瓶:528円。
チューハイ・割材系は、チューハイ:440円、青りんごサワー:495円、レモンサワー:495円、ホッピーセット:495円、角ウイスキーハイボール:440円など。
日本酒は福徳長酒類(オエノン系列)の富久娘2合:550円、八海山冷酒300ml瓶:825円など。
料理
看板料理は、まんだらオムレツ:715円、若鶏から揚げ6個:630円、焼きとり2本:280円など。
ほかにも、さばかんとスライス玉ねぎ:528円、粗挽きソーセージ:583円、カキフライ(大きめ5個):715円、ミニメンチカツ(3個):385円、ポテトサラダ:440円など。
黒板メニュー(日替わり)では、マグロぶつ:583円、大たこ刺し:550円、トロ〆鯖:528円など。
ニュータウンだからと侮るなかれ!パワフル大衆酒場
キリン一番搾り中瓶(528円)
串焼き、刺身、フライパン料理までマルチにこなす大将。その目の前のカウンター席に通してもらいました。ここは調理風景が楽しめる特等席です。
それでは一杯目。水冷式の冷蔵庫で芯まで冷やされた瓶ビール・キリン一番搾りをもらって、まずは乾杯!
お通し
バットに山盛りになったマカロニサラダを、女将さんがささっと取り分けてくれて、これがお通し。ツナや玉ねぎの入った、工夫のある一品です。
おしんこ(473円)
メインの料理がでてくるまでの、つなぎ役にと頼んだおしんこは、たっぷり食べごたえのある量です。つかり具合がちょうど良く、ビールや日本酒のお供として最後まで存在感がありました。
まんだらオムレツ(715円)
店名を冠したまんだらオムレツは、どのテーブルでも注文している人気料理です。
まず驚くのがその大きさ。注文が入ると卵を何個も解きほぐし、慣れた手つきで使い込んだフライパンでトントンとつくっていきます。そこに、予め用意していた挽肉をどっさりと流し込みました。
スプーンを入れると、薄い卵の中は挽肉が隅まで目いっぱい詰まっていることがわかります。甘さとコク、そしてケチャップと胡椒の風味が混ざり、万人受けする美味しさです。
開いたところから、さっきまでなかった肉汁がお皿の底を満たすくらいに染み出してきした。この肉汁にキャベツを浸ししんなりさせて食べるのが、また美味しい。ちょっぴり濃い味で、お酒が進むこと間違いありません。
富久娘(2合500円)
お燗酒をもらって、ちびりと飲みながらオムレツを大きく一口。この組み合わせ、大衆酒場ならば正解かもしれません。
チューハイ(440円)
昔ながらのたっぷり入る形状のジョッキでつくるチューハイ。炭酸が強く、焼酎もしっかり感じられます。
ラビオリ(385円)
こういう賑やかな雰囲気の酒場だと、なぜか食べたくなるのがラビオリやパリパリチーズのような、スナック的な料理。一口摘んでは、会話を楽しみ、チューハイをぐっと飲む。これのくり返しが平和でとてもくつろげます。
シークァーサーサワー(495円)
気配り上手の大将と、まじめなお手伝いさんたち、そして、フロアを仕切るあったかい接客の女将さん。皆さんの人柄がお酒を進ませます。大人数の飲み会から二人飲み、一人飲みまで迎えてくれる包容力の高さを感じる酒場です。
聖蹟桜ヶ丘で地元密着の人気店、『まんだら屋』。チェーン店以外の選択肢として、ぜひ一度訪ねてみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | ザ・まんだらや |
住所 | 東京都多摩市関戸2-24-23 |
営業時間 | 17:00~24:00(日祝定休) |
開業年 | 1980年代 |