早稲田『志乃ぶ』昭和29年創業、白木のカウンターで樽酒とおでんを楽しむ

早稲田『志乃ぶ』昭和29年創業、白木のカウンターで樽酒とおでんを楽しむ

2024年5月28日

早稲田大学に囲まれた路地に、今年創業70年を迎えた老舗の大衆割烹があります。店の名は『志乃ぶ』。おでんが看板料理で夏も提供しています。刺身やめそこ(鰻焼き)も評判で、長年愛用する常連さんでいつも賑わっています。

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この道30年の3代目と、早大生のお燗番

企業城下町に産業に関わる人々が入り浸る”ご贔屓酒場”があるように、大学周辺にも学生、教授、OB・OGが集う聖地になっている飲み屋さんはあるものです。

新宿区にある早稲田大学ならば、1954年から続く『大衆割烹 志乃ぶ』が”ご贔屓酒場”と言えるでしょう。もっとも、「大衆」といっても割烹よりなので、お客さんに学生の姿はありません。もっぱら、教授やOB・OGなどが集う大人向けの居酒屋です。

そんな『志乃ぶ』ですが、意外と学生にも知られているようです。大隈通りの脇道にあるからというだけでなく、実は『志乃ぶ』は、早稲田祭にも出店しています。店の手伝いを代々、早稲田大学の学生が行っており、簡単な給仕だけでなく、樽酒の扱い、燗つけ、そしておでん鍋の番まで担当しています。

店内は老舗居酒屋特有のコンパクトで味わい深い空間が広がっています。おでん鍋を囲むL字のカウンター席と、その周囲に4人がけのテーブル席が数卓。カウンターもテーブルも無垢の一枚板が使われており、そっと触れたくなります。

お店を切り盛りされるのは、ここで30年という3代目。酒販の営業から『志乃ぶ』を手伝うようになり継承されたそうです。

品書き

お酒

  • 樽生ビール キリンブラウマイスター
  • 瓶ビール キリン一番搾り大瓶:750円
  • お酒:小500円・大1,000円
  • 白鶴 樽酒:1,000円
  • 緑茶ハイ:450円
  • レモンサワー:450円
  • ハイボール:500円

日替わりおすすめ

  • 刺身3点盛り:1,300円
  • 中トロ:1,400円
  • サザエ刺し:1,000円
  • ホタテ刺し:1,000円
  • 牛タン:1,200円
  • めそこ(鰻のくりから焼):1,200円
  • どじょう(丸焼き):1,000円
  • 鮭西京焼:800円

料理

  • おでん3品:600円
  • 豆腐:450円
  • 煮麺:450円
  • 焼とり:450円
  • まぐろぶつ刺:850円
  • いかさし:850円
  • しめさば:550円
  • たこさし:850円
  • ポテトサラダ:500円
  • さつま揚げ:650円
  • さざえつぼ焼き:850円
  • あさり酒蒸し:650円

醤油を使わない濃厚なおでん出汁に、白鶴が進む

キリン一番搾り生ビール

いぶし銀の酒場には瓶ビールが似合います。キリン一番搾りをもらって、それでは乾杯!

突き出しは濃い味のきんぴらごぼうと、名物のおでんから揚げボール。ネギとゆずをちらしてノーマルなおでんとは違った味わいに仕上げています。どちらも日本酒を誘う味付けです。

刺身盛り合わせ1人前

常連さんの前にあるかんぱち刺しが美味しそうでしたので、すぐでるおつまみとして刺身盛り合わせをお願いしました。中トロ、イカ、カンパチの盛り合わせです。

樽酒 白鶴

『志乃ぶ』にやってきた最大の目的は、実はおでんではなく、白鶴の樽酒です。白鶴の樽酒を置く店は都内では、浅草のおでん店など片手で数えるほどしかないと思います。

店に入ると、おでん鍋や大将よりも樽酒が先に目に入ります。だからでしょうか、しっかり菰樽(こもだる)が設置されています。

注文を受けると、お手伝いの学生さんが樽に打たれた「呑み口」の栓を抜き、片口へ一旦酒を注ぎ、そこからお客さんの前に置いた升へと注ぎ移します。

江戸時代から続くこの一連の所作を見られるだけでも、樽酒を注文する価値は十分にあるのではないでしょうか。

表面張力からやや溢れるくらいになった酒。水飲み鳥のように口を近づけきゅっと一口飲めば、杉の香がふわっと広がります。米の旨味が引き立ち、辛口の余韻に樽の風味が乗っかり、実にマイルドな後味です。

おでん 3品600円~

昔から、日本酒と出汁は切っても切れない関係です。カウンターに埋め込まれたおでん鍋から昇る湯気とその香りを前にして、おでんを食べずにいられるはずがありません。

はんぺん、ちくわぶ、玉子、餅巾着、つみれ、ごぼう天にしらたき、がんもどきや厚揚げも美味しそう。ロールキャベツや蛸が人気なのだそう。

まずは、ちくわぶ、がんもどき、そして飴色に染まった玉子を。

創業以来継ぎ足し続けてきたというおでん出汁は、醤油を使わないのが最大の特徴です。鰹節と具材にもなっている日高昆布の旨味が滲み出ており、塩、みりん、酒で味を整えているそうです。

お隣の早大OBの方のご推薦で、蛸も頂きました。半分浮かんだ状態だからか、固くなってはおらず適度な弾力とともに出汁の旨味がジュワッと滲み出てきました。これに白鶴の樽酒を一口。最高です。

豆腐も美味しいですよ、と教えてもらいました。平凡なおでんの豆腐は記憶に残るようなものではありませんが、ここの豆腐は別格です。まず、ぎゅっと詰まっており、大げさかもしれませんが、箸にちょっと力を入れて切るイメージ。

それでいて、中までよく味が染みており、この豆腐だけでもう1合飲みたくなります。※お酒は適量で。

ごちそうさま

創業から70年。早稲田大学関係者が贔屓にしてきた理由がよくわかります。ここのおでんは美味しい。シメサバや「うなぎのめそこ」など、夏に食べたいおつまみもいろいろありますから、老舗居酒屋好きな方はぜひ訪ねてみてください。

店名志乃ぶ
住所東京都新宿区西早稲田1丁目19−17
営業時間営業時間
17:00 – 22:00L.O. 21:30
定休日
水・日・祝日
創業1954年