1974年創業、今年で創業50年を迎えた飯田橋の名酒場『鳥城酒蔵』。店名に「鳥」と入っていますが、もつ焼き・もつ煮込みが店の看板料理です。とくに数量限定の「ナンコツタタキ」は絶品。会社勤めの常連さんが多い、ビジネス街のオアシスです。
再開発で複合施設に入るも、名店の味は変わらない
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飯田橋駅南側(千代田区富士見町)の再開発地域「飯田橋プラーノ」にある『鳥城酒蔵』は、一見すると近年増加中の大手が運営する”個人店風”の店舗です。明るい店構えで入りやすい佇まいですが、実は今年で50年になる老舗。
長年、飯田橋駅と東京大神宮の間の飲み屋街で商売をされていましたが、店のある場所が再開発されたことで、現在のような立派なビルの一階へと移りました。
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典型的な老舗酒場のつくりで、焼台前のカウンター席4席ほどと4人テーブルを6卓並べたコンパクトな配置です。厨房に掲げられた短冊や、黒い札に白文字で書かれた品書きに旧店の名残が感じられます。
メニュー
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ビールはサッポロ。リキュールや和酒の一部は合同酒精、清酒は白鷹(飯田橋・神楽坂と白鷹は深い関係あり)と、東京で長く続く酒場らしいラインナップです。
- サッポロ生ビール黒ラベル:450円
- 瓶ビール サッポロラガー大瓶:630円
- ホッピーセット:420円
- 酎ハイ・レモンサワー:400円
- デンキブラン:450円
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もつ焼き、焼鳥は150円~
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サイドメニューは比較的シンプル。もつ煮込み、ガツ刺し、豚レバーフライなど。
ビール・煮込み・もつ焼、丁寧な仕事が嬉しい
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瓶ビールもありますが、サッポロビール認定のパーフェクト生ビール取扱店ということで、一杯目はサッポロ生ビール黒ラベルをいただきました。どうですか、この美しさ。星マークの肩の位置に泡のラインがくる黄金比です。
では乾杯!
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お通しは日替わりですが、取材時は鶏皮ポン酢でした。きっゅと引き締まっていて美味しい。お通し・突き出しが美味しいと、そのあとの注文も一品増えませんか。
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煮込みはシロをじっくり煮込み、豆腐とシロでまとめたもの。創業時から世代を超えて続くロングセラーです。豆腐はそこまでクタクタになっておらず、それがむしろ濃い味のシロとバランスが良くレンゲが進みます。
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モツはこの通り、プルプルです。それでいてしつこさは抑え気味で、ある程度冷めてきても美味しくいただけました。
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「白鷹」は今や全国区の銘柄ですが、知名度を高めたのは神楽坂にある酒問屋「升本」でした。明治時代、「升本」が神楽坂で広めたことで評判となり、大正時代には伊勢神宮の御料酒にまで選ばれましたが、神楽坂のほうが先だったわけです。
そんな背景を知って飲む一杯はまた違った美味しさです。ぬる燗の「白鷹」は、焼き鳥との相性抜群!
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串はじっくりと時間をかけて丁寧に焼いてくれます。今風のオシャレな店の雰囲気もあって、1本300円くらいしそうですが、そこは老舗の個人店。1本150円と嬉しいお値段。
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かなり濃厚で旨味が強いタレでぎゅっと引き締まった味になっています。みりんと醤油の味付けに白鷹が合わないはずがありません。
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こちらが店の名物「ナンコツタタキ」。豚のタンの付け根にあるナンコツまじりの硬い部位を細かく砕いたものです。タンの旨味、骨周りの脂、コリコリとした食感が混ざり合い、かなり特長的な食感と味。
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噛むほどに骨の周囲から肉汁が滲み出てきます。
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串焼きを楽しんだところで、一旦ビールに戻ってサイドメニューも食べてみようと思います。
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プリンとした大きな豚レバーに衣をつけて豪快に揚げたレバーフライ。
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大きくて食べごたえ十分!辛子をたっぷりつけていただきます。
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メニューからどんなものがでるか想像できないことって、大衆酒場では度々ありますよね。気になったので注文してみました。シャリ梅。
男梅のリキュールを凍らせたものでした。見た目も味も爽やかで、豚モツの脂をすっと流してくれるサワーです。
ごちそうさま
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18時頃には、グループ客、お一人様も増えて店内が8割ほどの入り具合になりました。移転しても、昔からの常連さんに親しまれているようで、そういう場所で飲むのは心地良いものです。
飯田橋で焼き鳥酒場をお探しでしたら、50周年の『鳥城酒蔵』も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
ごちそうさま。
店名 | 鳥城酒蔵 |
住所 | 東京都千代田区富士見2-7-2 飯田橋プラーノモール Cゾーン104 |
営業時間 | 月・火・水・木・金 17:00 – 21:00 土・日・祝日 定休日 |
創業 | 1974年頃 |