こんにちは。
神保町から神田にかけては飲み屋さんもお蕎麦屋さんも名店揃い。
さすが、歴史がある神田という街は違いますね。かなりのお店を飲み歩いていますが、いまだ新たに素敵なお店を毎回見つけています。
神保町は歴史のあるお店が多くて、ビヤホールの「ランチョン」や喫茶店の「さぼうる」なとが有名です。そして、酒場といったら兵六ですね。
神保町駅から徒歩3分。三省堂書店の裏路地にある落ち着いた「昔の酒場」の雰囲気が漂うお店です。創業は昭和23年。もう60年以上つづくお店ですが、店内はもっと古く大正時代のよう。それもそう、このお店は開業時は「大将レトロ」のコンセプトをもったお店だったから。月日が経って、ますます良いムードになっています。
いまのご主人はお若い方で三代目になります。
いらっしゃいませ。
コの字のカウンターと4人テーブル2つという大きさなので、ご主人ひとりで接客をされるのがこのお店。
厨房は女性陣が仕切り接客は大将がやるというのは、神楽坂の伊勢藤と同じです。
とても丁寧な対応のご主人。落ち着いたところで「何になさいますか?」と声をかけてくれますので、キリンラガー瓶ビール・二級酒・焼酎3種から選びましょう。
ここは初代のポリシーとして、「焼酎を大いに広めること」とありまして、ここでは焼酎を飲むのが定番。日本酒も美少年なので、熊本で飲んでいるような気分になります。
球磨焼酎(680円)は冷凍庫から取り出してトロンとした状態で注いでくれます。ストレートで飲むこの味がたまりません。
おつまみは兵六揚げ、厚揚げ、納豆、さつま揚げ、漬物、珍味類が定番で、季節ものが入れ替わります。
品書きの雰囲気は大塚の「江戸一」や根岸の「鍵屋」のようですが、不思議なことに餃子と炒麺(やきそば)があり、これが人気メニューになっています。
焼酎をぐ゛いぐい飲むのですから味が濃いものが合いますし、ここの餃子はなんだか特別な味に思います。
私の父は若かれし頃、神保町の出版社に勤め編集者をしていました。
父はこのお店にもよく来ていたそうで、ランチに「ランチョン」、お茶の時間に「さぼうる」、夜は「兵六」と飲み歩いていたのでしょう。
兵六のお客さんは今も出版社・書店など本に関わる人が多いようで、空間を支配するお客さんたちの会話の中にもそのような単語が混ざっています。
酒場は街を写す鏡。ここに神保町の要素がぎゅっと凝縮されています。神田神保町という独特な街の空気を味わってみませんか?
席数が少ないので、入れなかったらごめんなさい。お酒を飲み慣れた紳士がサクっと飲んでいくことが多く回転は良いです。始めて行った方も長っ尻はするべからず、でね♪
カウンターに置かれた大きな焼酎の瓶は、ニ升五合はいっています。益々繁盛、いつまでもずっとこの雰囲気を残してほしいです。私が父の歳になったとき、昔の想い出にひたれるように。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
兵六
東京都千代田区神田神保町1-3
17:00~22:30
予算2,500円
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