イカの丸焼き好きなら一度は訪ねてほしい月島の『江戸家』。ワタを溶いた熱々のタレと一緒にでてきます。漁師料理の店で、鮮度の良い刺身やさんが焼きなども評判。瓦屋根の木造古民家を酒場として使っているため情緒たっぷり。
江戸前漁の町「佃島」で味わう漁師料理
造船所などが集中した東京湾岸部で働く人が集まった東京月島。戦後、子どもたちが通った駄菓子屋はもんじゃ焼店に姿を変え、月島はもんじゃ焼の町へ変わっていきました。
さて、月島はもんじゃだけが名物ではありません。お隣の佃島は、徳川家康の庇護のもと、摂州佃村(現在の大阪市西淀川区佃)から移住した漁師たちが暮らした町で、江戸前漁の拠点となりました。佃煮発祥の地として知られており、いまも佃島にはいくつもの佃煮の老舗があります。
魚介類を看板料理に掲げる居酒屋もいくつかある中で、今回ご紹介する店は『酒処 江戸家』です。
木造二階建ての年季のある建物を改装した店舗で、店の創業自体は2000年頃です。入れ替わりが多い東京都心部で二周り続いているのですからすごいこと。
道に面した窓際でさんが焼きを焼く香りに誘われ縄のれんを潜ると、一枚板のカウンターと3卓の4人用テーブル席が並んでいました。昔ながらのコンパクトな居酒屋です。二階にも客間があるため、宴会利用も可能で、この日もベテランの飲兵衛さんたちがぞろぞろと上がっていきました。
近隣のオフィス帰りの会社員や、近隣のマンションに暮らす人など、月島・佃島が生活圏の人で賑わっています。
品書き
お酒
- 樽生ヱビスビール:730円
- サッポロ生ビール黒ラベル:560円~
- 瓶ビール サッポロ黒ラベル中瓶:750円
- 瓶ビール ヱビス プレミアムブラック 小瓶:630円
- 日本酒徳利:1合550円
- 生酒吟醸:1,030円
- 日本盛 惣花:880円
- グラスワイン:500円
黒板メニュー
- 大分スダチブリ刺:900円
- 富山コウイカ刺:930円
- 千葉スズキ刺:700円
- 千葉ホウボウ刺:750円
- 長崎イトヨリ刺:780円
- 兵庫アジ刺:700円
- ごまブリ:950円
- 豚ヒレ肉チーズパン粉焼:830円
料理
- 名物イカ丸焼き(肝タレ付):1,380円
- さんが焼き:830円
- まぐろステーキ・ほっぺステーキ:各980円
- 串盛(手羽先・つくね・砂肝・なんこつ):880円
- 牛すじ:630円
- 角煮:600円
- 自家製コリコリ塩辛:650円
- ポテトサラダ:500円
- イナリコロッケ:580円
- ロシアン春巻4本:750円
- まぐろほっぺ鍋・ねぎま鍋:2人前~各2,500円(冬季のみ)
- ねばねばスペシャル丼:1,050円
まずは刺身で一杯
魚好き、酒場料理好きの心をくすぐる献立に、なにを注文しようか迷ってしまいます。まずは瓶ビールをもらって落ち着きましょうか。それでは乾杯!
名物は網焼きの焼き魚やイカ焼きですが、焼けるまでに時間もかかるでしょうからまずはお刺身を。黒板メニューの刺身のラインナップは8種類ほどと店の規模に比べ充実しています。しかも、大分のスダチブリ、長崎のイトヨリなど「おっ」と思わせる内容です。
選んだのは、千葉のホウボウ。冬のホウボウは脂がのっています。
絶対おすすめ「名物イカの丸焼き」
イカ丸焼き(粉ものではない)は居酒屋の定番で、チェーン店でもおなじみのメニューです。ただ、イカ焼きを名物と掲げているお店は意外と珍しいのではないでしょうか。店の名物で、注文が入ると店主さんが焼き台でじっくりと焼き始めます。
どうですか、このインパクトある盛り付け。ここのイカはかなり大きい。
一番の違いはイカワタを溶かした特製の肝タレがついてくることです。タレの容器ごとイカと一緒に熱せられており、提供されてすぐはグツグツとしています。
肉厚でプリップリのイカを、たっぷりとタレにくぐらせてからいただきます。甘くコク深い味とイカ本来の旨味が合わさり、最高です。今後、肝タレなしではイカ焼きが物足りなく感じるくらい。
これほどまで日本酒を誘うつまみは滅多にありません。お燗の酒をお猪口へさっと注ぎ、肝の余韻が消える前にすっと一口。あぁ、ホッとします。
ごちそうさま
イカ焼きは大きく食べごたえ十分。さんが焼きや一品料理が食べられなくなるかもしれません。それでも、やはり頼まずにはいられない「名物に美味いもの”あり”」なのです。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 江戸家 |
住所 | 東京都中央区佃2-16-12 |
営業時間 | 営業時間 [月~金] 17:00~23:00(L.O.22:00) 定休日 土曜・日曜・祝日 |
創業 | 2000年 |