都内で最もディープかもしれません。ここは『家谷酒店』。昔はお向かいの銭湯利用者で賑わっていた角打ちです。80歳を過ぎた仙人のような大将はおしゃべり好き。初めてのお客さんも暖かくもてなしてくれます。
お父さんが元気なら、朝から深夜まで毎日営業
JR三河島駅から徒歩7分ほど。住宅街の路地にあるお酒屋さん『家谷酒店(いえたにさけてん)』。昔から角打ち営業をしており、地元の呑兵衛さんが集う集会所的な一軒です。
建物はかなり年季が入っており、酒屋であることを表す看板も隠れてしまっているので、角打ち好きでなければ素通りしてしまいそうな雰囲気です。
店内からこぼれる蛍光灯の明かりが営業中の合図。シャッターが完全に開いてないのはご愛嬌。店の入口は自販機の間にあります。
営業時間は朝8時から店主さんが寝るまで。基本的に無休で、日中はずっと営業しています。二代目である店主さんは80代。まだまだ現役だよ、と重たい酒瓶をひょいと持ち上げます。
お話好きの大将は、波乱万丈の生い立ちをニコニコしながら話してくれます。疎開先から三河島に来た話し、築地の学校に通った話。酒屋の過去と今。そんな話しを聞きながら飲むお酒は意外といいものです。
懐かしいお酒に囲まれて
店内にはかなりのデッドスックがありましたが、昨今の国産ウイスキーブームでだいぶ売り切ったそうです。
それでも、メーカーのカタログから消えて久しい洋酒も多く、幼い頃の酒屋さんの記憶が蘇ってきます。
可愛らしい黒猫がいる店として知られていましたが、現在は店主さんがひとりで切り盛りされています。
角打ちは缶ビールや缶チューハイで
キリンラガー缶
小売スペースの一部を大きなテーブルに置き換えており、ここが角打ちスペースです。
売り物の日本酒や焼酎はしっかり回転しており、缶ビールや酎ハイも新しい。そう、こんなディープな雰囲気ですが、それゆえお客さんも多く、商品も常に入れ替わっているのです。
キリンラガーの500mlで壁をつくる常連さんに習って、私もキリンラガービールをいただきました。値段は酒屋さんの小売価格そのまま。
それでは乾杯!
宝焼酎ハイボール
さすがベテランの店主さん。お客さんたちの会話を聞き出しながら、居合わせたお客さんたちが顔を合わせて盛り上がるムードをつくってくれます。まるでベテラン司会者のよう。
会話が弾めばお酒も進む。冷蔵庫から宝焼酎ハイボールレモンを取り出し、都度支払い。ついでに雪印6Pチーズもいただきます。
ひっくり返したP箱を椅子にして、令和5年とは思えない空間で楽しい角打ちタイム。
最近はネオ角打ちが増えましたが、硬派でレトロな角打ちこそ、酒屋飲みの原点。非日常の空間に心が躍ります。
おつまみは、チーズや乾き物、缶詰と角打ちの基本が揃っています。
ごちそうさま
こうしたディープな角打ちは、常連さんが多いことや地域性など様々な理由で敷居の高さを感じるかもしれません。ここ『家谷酒店』は外観こそハードですが、店主さんはウェルカムな方なので初めての人にもオススメです。朗らかに優しく迎えてくれますからご安心ください。マナーよく飲んで、楽しい角打ち時間を。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 家谷酒店 |
住所 | 東京都荒川区東日暮里3-12-13 |
営業時間 | 営業時間 8:00~翌2:00(だいたいの営業時間) 日曜営業 定休日 無休 |
開業年 | 1926年 |