工場直送、大型タンク詰めのフレッシュな生ビールが味わえるビール専門店は、全国でも数えるほどしかありません。そのひとつ『ニューミュンヘン曽根崎店』をご紹介。大阪駅前で極上の黒ラベルが飲めるビヤホールとして、サッポロビールファンの間では聖地となっています。
目次
昭和33年、お初天神でスタート!西日本初のサッポロビヤホール
関西の人にはお馴染みの老舗ビヤホール『ニューミュンヘン』。その歴史は、サッポロビールの関西進出と深い関係があります。
サッポロビールは、社名の通り北海道・札幌が創業の地です。1906年、東京で恵比寿ビールをつくる日本麦酒や大阪の大阪麦酒と合併し大日本麦酒として全国規模となりましたが、「サッポロビール」は全国区ではなく、東日本のビールでした。(西日本は朝日麦酒)
東京・銀座では1899年、日本麦酒が日本初となる常設型ビヤホールを開業し、現在も銀座ライオンとしてサッポログループの直営ビヤホールとして親しまれています。札幌でも1914年、狸小路に直営のビヤホールが開業。このように大日本麦酒(1936年からは外食部門分社化)は各地で、アサヒ、エビス、サッポロを看板に掲げたビヤホールを展開しました。
戦後、大日本麦酒は朝日麦酒と日本麦酒(現サッポロビール)の2社に分割されると、サッポロビールは本格的に関西進出をはじめます。札幌や銀座、名古屋には大日本麦酒から引き継いだビヤホールがありましたが、大阪にも旗艦店となるビヤホールが必要となったのです。
こうして1958年、大阪・梅田のお初天神通りにニューミュンヘンが誕生しました。
意外かもしれませんが、ニューミュンヘンは銀座ライオンやサッポロビール園のようなビールメーカー資本のビヤホールではありません。大戦中、戦地で知り合った佐野氏と東口氏が共同で創業した飲食企業です。
関西では珍しいサッポロビールのビヤホールは評判となり、創業当時名物だった鶏もも焼や胸肉の骨付き唐揚げの人気とともに、関西で店舗数を増やしていきました。
本店は本場ドイツのビヤホールを彷彿とされる重厚な建物でしたが、2017年に老朽化を理由に休業。
旗艦店の役割は、同じ曽根崎お初天神通り沿いに開店した『ニューミュンヘン曽根崎店』に襷(たすき)が渡されました。
さて、ここからが本題。
ニューミュンヘンで提供されている定番のビールは、創業時からサッポロ生ビール。いまでこそ、サッポロ黒ラベルはコンビニでも購入できますが、ニューミュンヘンには長年続けてきたこだわりがあります。
そのひとつが、この200Lタンクです。居酒屋などで使われているビール樽は一般的に10L樽。よく売れる店などでは20Lが使われていますが、ニューミュンヘンはなんとその10倍。サッポロビールの西日本エリアにある工場から直接届けられています。
届いたビールはガス圧・温度を管理して1日以上、店の専用コーナーで寝かせます。十分に落ち着かせてから太い回路でコックまで引いて、伝統のテクニックでジョッキに注がれ、私たちのもとへと運ばれます。
品書き
お酒
- サッポロ生ビール(黒ラベル):中ジョッキ650円・大ジョッキ1,120円、デラックスジョッキ1,350円
- ヱビスプレミアムブラック:中690円・大1,280円
- ハーフ&ハーフ:中690円・大1,280円
- 大使館ビール:750円
- 港神戸ヴァイツェン:750円
- デュワーズホワイトラベル シングル:490円
- 菊正宗本醸造:520円
- グランポレール エスプリ・ド・ヴァン・ジャポネ 絢‐AYA‐:750円
料理
- 阿波乙女鶏の唐揚げは半世紀以上続くロングセラー:スモール800円・レギュラー1,200円
- カニ爪のフリッター:1,350円
- 上海風焼きそば:1,100円
- ビーフカツサンド:1,500円
- 生ハム:950円
- フランクフルト:950円
- 成吉思汗(ジンギスカン):1,500円
- スペシャルセット(唐揚げ2個・海老フライ・粗挽きソーセージ・ミニサラダ・スープ・ライス):2,000円
- ビフカツセット(ビーフカツレツ・ミニサラダ・スープ・ライス):2,000円
- 国産ビーフ100%ハンバーグ:1,400円
- オムライス:900円
- ビーフカツレツ:1,500円
梅田で飲める、極上の黒ラベル!正統派のカツサンドも絶品
サッポロ生ビール デラックスジョッキ(1,350円)
樽生ビールが居酒屋で気軽に飲める時代になっても、やっぱりビヤホールは特別な場所。そして、ここで飲む生ビールは間違いなく極上です。
せっかくのニューミュンヘンなので、一番大きいデラックスジョッキでオーダー。中生2杯分はあり、ジョッキそのものの重さも合わせて2キロ近いでしょうか。
それでは乾杯!
ジョッキに書かれた鳥は、ニューミュンヘンのロゴ。ドイツの国章・アドラーがモチーフでしょうか。
ニューミュンヘンの注ぎ方は独特で、長年受け継がれてきたもの。
蓋の役割になる泡を意図的につくり、その泡の下へ潜らせるようにビールを注いでいきます。最後に蓋になっていた泡をビールナイフで切り落として出来上がり。工場から一度も空気に触れていない(ほとんど触れていない)ビールが手元に届きます。
飲むときも、泡の下から飲むように工夫すると、いつもの缶ビール・瓶ビールとはまた違った美味しさに出会えます。やわらかくてフレッシュな印象です。
ビーフカツサンド(1,500円)
名物は徳島の地鶏(メス)の胸肉でつくる唐揚げですが、ビーフカツサンドもオススメです。
関東ではカツサンドといえば豚肉が一般的ですが、関西はビーフカツです。
ニューミュンヘンは昔からカツレツも人気のメニューでした。老舗の洋食店らしい日本人好みの落ち着いた味で、まろやかなソースと辛子がアクセント。
噛むと肉汁が染み出し、垂れた汁はパンの表面に吸われていきます。
関西のビヤホールらしいおつまみはなにか?と聞かれたら、「ビーフカツレツのカツサンド」と答えると思います。
ごちそうさま
ビーフカツレツのカツサンドに、ニューミュンヘン式のサッポロ生ビール。大阪駅・梅田周辺で、遅い昼食がてらの大きな一杯を楽しみに立ち寄られてみてはいかがでしょう。
プロフェッショナルな店員さんが、大箱でもストレスなく応対してくれるのも嬉しいポイント。一人飲みからグループまで様々な用途でオススメです。
系列店
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | ニューミュンヘン 曽根崎店 |
住所 | 大阪府大阪市北区曽根崎2-13-17 曽根崎渡辺ビル 1F |
営業時間 | 営業時間 [月~金] 14:00~22:30(L.O.22:00) [土・日] 12:00~22:30(L.O.22:00) 日曜営業 定休日 無休 |
開業年 | 2018年3月20日 |
公式サイト | ホームページ |