鶴橋「よあけ食堂」夜明けとともに、聞こえる乾杯。昭和食堂の魅力。

鶴橋「よあけ食堂」夜明けとともに、聞こえる乾杯。昭和食堂の魅力。

鶴橋駅前のアーケードに構える「よあけ食堂」。戦後すぐ、まだ界隈が闇市だった頃に創業した老舗です。「よあけ」という珍しい店名に、食堂飲み好きの心が踊ります。

焼肉料理店が密集する鶴橋ですが、昔懐かしい大衆酒場や食堂も多く、何度通っても飽きることがありません。いつもの天満や京橋へ繰り出すのも良いですが、たまには寄り道してみませんか。

 

鶴橋商店街は細い路地が複雑に入り組んでいます。JR鶴橋駅を降りてから、まっすぐ目的のお店にたどり着けないくらい。そんな迷路のような街並みも楽しく、いろんな商店を覗いた末にたどり着く白い行灯にほっとします。

 

お店はさらに細い路地裏にはいった先。路地を抜ける空気で暖簾が静かに揺れています。カウンターのみの横に長いお店で、何枚もある扉はどこからでも出入りができます。

 

営業時間は朝8時から。まさに「よあけ」のお店です。食堂とありますが、メニューや雰囲気は飲み屋そのもの。インフラや医療で働く人など、夜勤明けの人々で賑わっています。

 

ビールはアサヒスーパードライと、キリンレギュラーラガーの2種類を用意。今日はキリンビール神戸工場仕込の瓶ビール(中ビン550円)をそっとビアタンに注いで、では乾杯!

 

それにしても、メニューが豊富です。和食、洋食なんでもござれ。ホワイトボードをみてみれば、なんと松茸土瓶蒸しまであります。現在お店に立つのは3代目の大将と女将。トーク上手で一見さんをあっという間に溶け込ませる女将と、メニューになくても食材があればなんでもつくるよ、というこの道20余年になる大将の名コンビです。

「こんなのできるか?と聞いてください。がんばりまっせ!!!」という一文が壁に貼られていて、人柄が伝わってきます。

そうしたなか、常連さんが考案した料理もメニュー入り。「宮城さん」など、料理名には考案された方の名前がついています。

 

樽詰めチューハイ(400円)を飲みつつ、寝ぼけ眼をこすりながらのよあけ酒。

 

熱々が嬉しい湯豆腐(500円)。常連さんがつまみにされている様子があまりにも美味しそうで、こちらもひとつ。とろろ昆布から広がる旨味がじんわり美味しい一品。汁ものでは、いわし汁(600円)もおすすめだそう。

 

チョジャン冷奴や、チゲなど、鶴橋らしい料理がいくつかあり、この「キムチポッカ」(600円)は、特にビールや酎ハイのお供にちょうどいい一皿です。キムチと豚、そしてたっぷりのナスやピーマンが入り、味付けはかなり本格的。

 

すだちチューハイ(450円)。生すだちのちょっぴり苦くてしっかり酸っぱい味がクセになります。

カウンターだけのコンパクトなお店は、なんとも言えない居心地の良さ。よあけ食堂で、古き時代の横丁飲みを体験してみませんか。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

よあけ食堂
06-6972-0992
大阪府大阪市東成区東小橋3-17-22
8:00~19:00頃(日は18:00まで・水定休)
予算2,000円