琴似『焼鳥 古里』酒場好き必見!串1本70円から。住宅街の老舗炭焼酒場

琴似『焼鳥 古里』酒場好き必見!串1本70円から。住宅街の老舗炭焼酒場

2022年8月22日

住宅街に灯るポツンと赤提灯。札幌市琴似の焼鳥『古里』は、しびれるほど素敵ないぶし銀の酒場です。酒場好きを魅了するのは、使い込んだ店舗の空気感だけではありません。北海道らしい食材を揃えた炭火の串焼きが1本70円、酎ハイ類が200円前後と、その安さにも驚きます。

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すすきのから地下鉄で往復して飲みに行きたい店

首都圏以北で最大の都市で、都市圏人口230万人を超す「札幌」は、なにも「すすきの」だけが飲み屋街ではありません。少し外周に目を向けてみるのも良さそうです。

首都圏であれば、主にJR線の駅前を中心に繁華街が形成されていますが、札幌はどうやら、麻生、澄川、新さっぽろなど、市営地下鉄周辺に飲み屋街がある模様。厳冬期の移動手段や、都市間連絡に主軸を置いたJRの運行形態を考えれば、地下鉄駅前のほうが街の中心になるのも納得します。

今回、取材してまわった「琴似」もそうした地下鉄が街の発展を牽引したエリアです。

高層マンションの建設が続いた琴似は、いまでこそニュータウンのような街並みですが、町の基礎が整ったのは1976年の札幌市営地下鉄東西線の開通の頃。その当時に建てられたレトロな小規模ビルが、再開発に取り残されたように今も残っています。街は新しくすればいいというものではない――。そう教えてくれるような赤提灯の酒場が、街に奥行きを作り出しています。

焼鳥の古里もそうした一軒。こうした店が現存していることに、まず驚きます。まるで映画のワンシーンを観ているような気分です。それでは暖簾をくぐりましょう。

「あれ、満席かな」

「奥、空いてますよ」とカウンターの一番奥へ通してもらいました。

焼台を中央に配置し、L字にカウンターで囲んだつくり。厨房を見渡せる割烹型の配置で、つぎつぎ焼かれる肉や野菜、魚介類の香りが店内に充満しています。30年以上続けてきたそうで、味のある雰囲気にうっとりします。

常連さん率がとても高いですが、飛び込みのお客さんも同じように適度な距離感で接してくれます。

品書き

お酒

樽生ビール(サッポロ):450円、瓶ビール中瓶(サッポロ生ビール黒ラベル):450円。日本酒は秋田県醗酵工業(秋田湯沢)の東北見聞録:250円、笹の川酒造(福島郡山)笹の川:280円、麒麟山酒造(新潟阿賀町)麒麟山:400円など。

酎ハイ類はなんと180円~。酎ハイ:250円、レモンサワー:250円、酎番茶:180円、焼酎の緑茶割り:250円など。サワー類のベースはサッポロ氷彩サワーです。

料理

一品料理は、にしん切り込み:180円、いか塩辛:180円、にんにく醤油漬け:150円など。

メイン料理は炭焼で、とり串3本:210円、豚串3本:210円、とりハツ3本:210円、ホルモン2本:260円、かしら2本:220円、つくね1本:190円、アスパラ塩焼:350円、ほっけ開き:480円、さんま:350円、身欠きにしん:250円、つぶ串:350円、帆立串:400円、いか焼:600円など。

お刺身は、まぐろ:390円、たこ:350円、かつおたたき:390円など。

一品料理はもじゃがいもバター:200円、いかゴロホイル焼:200円、串カツ2本:300円、とんかつ:500円、もつ煮込み鍋:380円など。

ごはん類

のしもち磯辺揚げ:300円、鮭茶漬け:400円、すじこ:170円など。

もはやろばた焼き!焼鳥以外の串も楽しみです

サッポロビール生ビール黒ラベル中瓶(450円)

北海道の老舗でおいているビールの銘柄は案外サッポロクラシックではなく、黒ラベル(旧サッポロびん生)という場合があります。古里もそうです。クラシックが誕生した1985年以前からやっている店はその傾向が強いように思います。

筆者はどちらも大好物なので、目に星を映すように掲げて頂きます。それでは乾杯!

にしん切り込み(180円)

小鉢が100円台と、昨今の低価格チェーンよりも安い価格設定にびっくりしました。にしん切り込みは北海道の郷土料理。生の鰊を切り込むことから「切り込み」という名前になったのだそう。発酵系が好きな人にはたまらない酒の肴です。

レモンサワー(250円)

ビールをすっと飲み干したら、二杯目はレモンサワーを。30年以上続く歴史ある樽詰めチューハイ、サッポロ氷彩サワーをベースにしています。ほんのり甘く、酒場料理と相性ぴったり。ホワイトブランデーベースでフルーティーな香りにスイスイと飲めてしまいますが、度数が8%なのでほどほどで。※お酒は自分のペースで適量を。

ニラの玉子とじ(280円)

手際よくささっと作ってくれたニラの玉子とじは、ニラ特有の旨味や玉子のコクが濃厚で、鮮度の良さがわかります。

にごり酒(280円)

あわせるお酒は、北海道産米を使用した北海道ならではのにごり酒。

とり串3本(210円)

さて、お手頃価格なのは看板料理の焼鳥も同様です。小ぶりではあるものの、串は3本で210円。きゅっと引き締まった鶏肉の旨味と、鶏の脂を吸ったネギのコクがあわさり実に良い味です。

つぶ串(350円)

つぶ貝や帆立、エビの炭焼き串があるなんて、実質、ここはろばた焼きではありませんか。もちっとした食感と、濃厚な旨味、気持ち濃いめの塩味がお酒を進ませます。

ごちそうさま

大将を中心にした息の合った調理風景を眺めつつ、カウンター酒場ならではの一体感に浸ります。なんて心地が良いのでしょう。隣の常連さんもキープのボトルを静かに飲んでいて、いかにも黒帯飲兵衛という風格です。

地下鉄に乗ってすすきのから10分。飲みに行く価値ある一軒です。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名焼鳥 古里
住所北海道札幌市西区二十四軒4条6丁目5-20
営業時間17:30~22:30(日祝定休)
開業年30年以上前