1983年頃、南越谷駅前の屋台として創業した『もつ焼き やまちゃん本店』。つぶしたての新鮮な豚モツを食べさせてくれる、地元で評判の酒場です。人気の理由は縁日の出店のようなライブ感にあり。毎日午後2時から営業しており、界隈では貴重な昼酒スポットでもあります。
目次
“なんこし”の歴史は50年
半世紀前となる1973年(昭和48年)、国鉄武蔵野線・南越谷駅の開業からはじまる、南越谷発展の歴史。交差する東武伊勢崎線も翌年の1974年に、乗換駅として新越谷駅を開業。利便性の高さから発展を続け、旧来の中心街である越谷市役所最寄りの越谷駅よりも、新越谷駅(南越谷側)のほうが乗降客数は上回るようになりました。
人が集まる場所に飲み屋街あり。新興住宅街だった南越谷にも繁華街が形成され、50年の歴史の中で立派に味のある飲み屋街となりました。地元の人はこの街のことを親しみを込めて「なんこし」と呼んでいます。
公団や行政主導で整備された公園とビル、マンションだけの「ザ・ニュータウン」的なお上品な駅前よりも、飲み屋街があるほうが街に人間味が感じられます。南越谷は人が集まることで自由に発展してきた印象が強いです。
JR南越谷駅すぐにある「南越谷ゴールデン街」は、まさに”なんこし”の表情に奥行きを生む場所です。100mほどの路地に、老舗の大衆割烹や居酒屋など14軒が立ち並び、夜になると飲兵衛さんたちが闊歩します。
やまちゃんは南越谷の元気印
前途のように南越谷は街の歴史は50年ほどですが、街には飲食店が豊富で、個人店も元気です。毎日縁日のような賑わいになる店もあります。それが、今回ご紹介する『もつ焼 やまちゃん本店』です。
先代が駅前広場でもつ焼きの屋台として創業。鮮度抜群の豚モツを仕入れたその日のうちに串打ちし、毎日通える価格で提供したことでたいそう評判となったそうです。(写真は屋台時代のやまちゃん)
90年代に入り屋台を卒業することになり、現在の場所へ移転することになります。といっても戸建ての飲食店ではなく、広い敷地の中央に屋台風の小屋を建てるという独特なスタイルだったようです。
この当時の屋台風の構造物は現在も店の厨房として使われており、コの字カウンターを配した砂かぶりの立ち飲み場所して使われています。
屋台小屋周辺のスペースにも覆いが建てられ、こうして現在の平屋の戸建て店舗風の店構えとなりました。
といっても、床は地面にコンクリートを敷いただけ。天井を見上げてみれば、骨組みを組み合わせた上にトタンを張った簡素な作りであることがわかります。そこに業務用の大型クーラーにプロジェクターという、なんともチグハグで、そしてめちゃくちゃ楽しい空間が出来上がっています。
立ち飲みだけでなく、椅子席もあります。この椅子やテーブルも手作り感たっぷり。
時刻は午後2時。店の元気なお兄さんは、仕込みを終え、営業の準備をいまさっき完了させたところのようです。大鍋いっぱいに仕込まれた煮込みからはいい香りが漂っています。
品書き
お酒
大樽(生ビール)はキリン一番搾り生ビール 特大:1,100円、大ジョッキ:930円、中ジョッキ:500円。瓶ビールは大瓶で、アサヒスーパードライ、キリンラガー、サッポロラガー:各710円。
サワー・割材類は、チューハイ、ウーロンハイ:各330円、コダマレモンサワー、バイスサワー、玉露ハイなど:各450円、ホッピーセット(ホッピー・黒ホッピー):450円、ホワイトホースハイボール:330円など。
日本酒は小西酒造(伊丹)の白雪 丹波伝承仕込:380円。
本日のおすすめ
スタミナホルモン:110円、あつあげ(かきしょうゆ):150円、ぼんじり:150円、ガツ串:100円、ゲソガーリック:250円など。
おしょくじ(定番メニュー)
朝〆肉刺はガツ刺・レバテキ:各500円。
串焼きは、豚がかしら、しろもつ、レバー、なんこつ、つくねなど:各130円、数量限定で、タンモト、とんすじ、のどもと、はつもとなど:各180円。鳥串は、わかどり、ささみ、とりかわなど:各130円。
一品料理は、もつ煮込み:380円、とり皮ポン酢:220円、ガツポン:330円、手作りポテトサラダ:330円など。
開放感に浸りながら、ジューシーなもつ焼きを頬張る
サッポロラガービール大瓶(710円)
なにせ屋台発祥の店ですから、開放感は圧倒的。半分屋外で飲んでいるような雰囲気に、とても愉快な気分になります。しかも取材は開店したての14時過ぎ。明るい日差しと、高架を走る武蔵野線の音、街の喧騒…。ほんのりお昼飲みの背徳感があり、これがお酒を美味しくしてくれます。
ビールは選択肢が多いですが、今日はサッポロラガーの気分。それでは乾杯!
マカロニサラダ(220円)
日替わりメニューからマカロニサラダをチョイス。黒胡椒がアクセントです。お通しのないお店ですし、串が焼けるまでの間につまむ一品は大切です。
串焼き しろもつ・かしら(130円/本)
マカロニの絶妙なかたさを楽しんでいると、串が焼き始められました。
ガス式の焼鳥台を使用し、安定した火力でスムーズに焼き上げていきます。串は鮮度にこだわり、朝仕入れたモツを下ごしらえし、その日のうちに概ね売り切るスタイルです。とくに数量限定品は、スタートダッシュ組がこぞって注文する人気メニュー。
まずは「しろもつ」から。継ぎ足してきたとろみのあるタレを潜らせたもの。しっかりとした甘さのあるタレが、薄めになるまで下ごしらえしたシロと相性ぴったりです。
味付けはおまかせしています。カシラは塩で焼いてくれました。表面はパリっとしているものの、噛むとじゅわっと肉汁が染み出してくる、美味しいカシラです。
チューハイ(330円)
しっかり焼酎を感じるチューハイ。ピュアな味ですが、店員さんや酒場の常連さんたちの一期一会の会話の中で飲むと、これが特別美味しく感じるから不思議ですね。
ゲソガーリック(250円)
常連さんのおすすめ、イカゲソガーリック。
にんにくが入った甘いタレに漬け込まれたイカゲソを焼いていきます。漂うニンニクと磯の香りは、匂いだけでお酒が進みそう。マヨネーズをたっぷりつけていただきます。
トマトハイ(450円)
もつ焼きの脂をリセットしてくれる、さわやかなトマトハイ。常連さんがお代わりしていたので、こちらもそれにあわせて注文してみました。トマトも焼酎も濃いめです。
屋台を囲む楽しさ。一度味わえばハマります
チェーン店と比較すると、なかなかディープな雰囲気に思われるかもしれませんが、若いお客さんも多くて幅広い世代に親しまれているようです。早い時間から飲み始めている人も多く、街の賑わいを感じます。
中央の屋台を囲んでみんなでワイワイと飲む。この一体感が人気の秘訣ですね!店員さんもフレンドリーで、はじめての人でもきっと一度行けばきっとハマります。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | もつ焼きやまちゃん本店 |
住所 | 埼玉県越谷市南越谷1-26-11 |
営業時間 | 14:00~22:30(基本無休) |
開業年 | 1983年 |