昭和50年創業、新所沢きっての老舗大衆割烹「ぶんぶく」。西口徒歩5分の商店街にある巨大な個人店。地元の人が集う名物酒場です。炭火焼鳥と旬の魚介類でもてなしてくれます。カウンターの一人飲みから宴会まで対応。
目次
ベッドタウンに灯る赤ちょうちん
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東京のベッドタウンとして栄えてきた埼玉県所沢。近年は、球場や遊園地、所沢駅舎など、西武グループによる集中的なテコ入れで街の雰囲気は様変わりしています。
そんな所沢からさらに西武新宿線で2駅西へ向かった新所沢。団地と戸建てがならぶ閑静な住宅街ですが、ここに素敵な老舗酒場があることはご存知でしょうか。
新所沢自体、実は結構飲食店が多く、賑わいの中心には商業施設のパルコもあります。西へ5分ほど進むと、提灯で照らされた「はっぴーろーど商店街」というレトロなムードの通りがあり、目指す「ぶんぶく」もここにあります。
ベッドタウンで老舗の大箱という奇跡
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地方の観光地にある休憩処のような、民芸調で大きな店構え。道路に面して焼鳥台があり、炭火のいい香りが漂っています。店名「ぶんぶく」だけに店先には狸の置物が店番中。
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外観のイメージ同様に、店内も地方の飲食店のようなぬくもりある雰囲気です。調理場と冷蔵ショーケースを眺めるカウンター席は常連さんが集います。小上がりは掘りごたつ式になっていて、食事がてら飲みに来る家族連れの姿があります。「ファミリー割烹」と冠している通り、子供連れOKとのこと。
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店は非常に大きく、合計で150席。ちょっとした宴会場のような存在です。チェーン店も進出しているこの街で、駅からやや離れているにも関わらず半世紀近くご商売をされているのは、街と人に愛されている証拠ではないでしょうか。
家族経営、フレンドリーな接客で一見でも馴染めます
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家族経営の酒場はあったかい。お店の皆さんの距離感に改めてそう感じさせられます。二代目が中心となって、次々と料理を準備しています。
乾杯は生ビールで
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老舗の大衆割烹にサッポロ率高し。ご多分に漏れず、やはり樽生はサッポロ生ビール黒ラベルが登場です。
老舗ならではのポピュラーなサッポロジョッキで大きな中ジョッキ。星の肩の位置に液種と泡の境界が来る黄金比が美しいです。それでは乾杯!
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お通しの小鉢(300円)をつまみつつ、料理を考えます。
品書き
飲み物
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生ビールはサッポロ黒ラベル(中ジョッキ630円、大ジョッキ900円※取材時は税別表記/以下税別)。瓶でサッポロ黒ラベルのほかサッポロラガー(各700円)とキリンのハートランド(580円)があります。日本酒は定番ら白河銘醸の関の司(1合420円)。
着目したいのは焼酎割りの項目。とくに狭山茶割り(400円)はせっかくだからぜひ飲んでおきたい一杯です。
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サワー類、カクテルが充実。常連さんは皆さんボトルキープ(3ヶ月)をされているご様子。
看板料理は焼鳥と刺身
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二代目が川越市場などから仕入れるお刺身は、旬のものが中心です。各種SNSで今日の魚を発信しています。取材時は白子ポン酢(580円)、かんぱち刺し(780円)、真鯛刺し(780円)など。刺身三点盛(1,200円)は自分で選べます。冬は鍋料理も加わります。
時節柄宴会がなく仕入れは控えめかと思いますが、日替わりメニューはとても魅力的です。
名物は自家製のジャンボ肉シュウマイ(3コ360円)。
定番メニューは一人飲み向けのお得なセットも
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看板料理のやきとりは、鶏と豚の両方があります。鶏(もも150円、せせり160円、鶏レバ130円ほか)は国産鶏で、フレッシュなものを準備。豚は角煮の串焼き(300円)なんていう個性派も。昔から炭火焼きにこだわっているそう。
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単品料理は自家製もつ煮(650円)や特製タレで下味をつけた唐揚げ(550円)など。
ただ、一人だとボリュームもあって2皿くらいで満腹になりそう。そこで嬉しいセットが「おつまみ晩酌セット」(1,000円)です。お酒はつきませんが、刺身またはもつ煮、唐揚げまたはシュウマイ他、焼鳥2本が選べます。
晩酌セットは一人飲みなら十分に満喫できる
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一品目、お刺身はお得なセット用とは思えない、美しい盛り付けの二点盛り。かんぱちと真鯛。板前修業をされたと思われる包丁さばきです。
風味づけ程度に刺身醤油をちょんとつけていただきます。
砂肝、つくね
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特製辛味噌が味の決め手。塩の砂肝もタレのつくねにも合う、コクと旨味とピリリとした刺激がクセになります。
ジャンボ肉シュウマイ
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なんと蒸し蒸籠で供される本格的なシュウマイ。人気料理で、シュウマイをつめたお弁当は今の時代のテイクアウト需要の中で好評のようです。
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海老がちょこんとのっています。ふかふかとしていて肉汁たっぷり、酒場のシュウマイに目がない筆者ですが、これは次回も必ず食べたい!
狭山茶割り(400円)
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品書きにわざわざ所沢産と表記されたお茶割り。ご当地お茶割りは楽しいですし、酒場の料理ともよくあいます。静岡に限らず、もっと広まるといいですね。甘く旨味があって、刺身にもシュウマイにもあいます。
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場所柄、西武ファンが集まるお店です。球場までは電車をつかって約30分。16時に営業を始めるぶんぶくは、観戦前の一杯にも使えます。
街に根付いた老舗大箱のお店、ふらっと覗いてみませんか。酒場好きの方はきっと楽しめます。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 炭火やきとり ぶんぶく |
住所 | 埼玉県所沢市緑町4-8-21 |
営業時間 | 月・水~日 17:00~24:00 (L.O.23:00、ドリンクL.O.23:00) |
開業年 | 1975年 |
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