大宮「いづみや第二支店」あなたはどっち?東口のランドマーク的存在

大宮「いづみや第二支店」あなたはどっち?東口のランドマーク的存在

2021年9月24日

1947年に酒販店系列の店として開業した大宮駅東口「いづみや」。駅前の大箱酒場であることや、土日も休まずお昼から営業していることから、埼玉の酒場好きの間では超有名店。今回は本店隣の支店をご紹介します。

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あなたは本店派?支店派?

居酒屋の数だけでも400軒。大宮は首都圏有数の巨大繁華街を抱える街です。そんな大宮の東口正面で70年以上前からドンと構える関所のような酒場が「いづみや本店」です。

営業時間は、夜勤明けの人にも嬉しい朝10時から夜10時過ぎまで。まるまる12時間の営業を、土日も休まず年中無休でまわし続けてきました。それだけでも、相当パワフルなことがおわかり頂けると思いますが、さらに驚くことに本店の隣、わずか数歩の場所に「いづみや第二支店」(こちらは9時30分開店)という別店舗を構えています。

品書きは似ていますが、それぞれに常連さんがついています。天井く採光窓から差し込む光に照らされて飲む本店派か、比較的落ち着いた雰囲気でじっくり酒に向き合える支店派か…。

接客担当のベテランのお姉さま方の、まるでお母さんのような接し方もいづみやの魅力であり、本店・支店を選ぶ理由になるという人もいるくらいです。お客さんも注文を急かすことなく、お姉さまたちと冗談や世間話を交えつつ、楽しく過ごしています。チェーン居酒屋ではありませんから、騒げば「うるさい!」とビシっと注意されます。

ここはみんなでつくる、パブリックな酒飲み場。

今回は本店と比べ幾分空いていた「いづみや第二支店」で飲むことにしました。こちらへ入るのは3年ぶりくらい。

乗降客数50万人を誇る大宮駅の駅前一等地、時代が変わっても、ここだけは昭和の酒場の残り香で満ちています。

色付き酎ハイで乾杯!

こういうご時世になる前は、この細長いカウンター席が醍醐味でした。相席はあたりまえ。一人客同士、幅の狭いカウンターで向かい合って飲んでいれば、会話はなくとも一体感がありました。ベテランのお父さんたちからは、ここで飲み友達を作ったなんて話も聞きます。

なにはともあれ、乾杯しましょうか。いづみやは埼玉では珍しい、酎ハイ(350円)は黄色いエキスを垂らした色付きの焼酎ハイボールを提供しています。揃えたもう一杯はサッポロの玉露割り(350円)。

それでは乾杯!

品書き

眺めるだけで1杯飲み干す、染まった短冊に惹かれる

支店も天井が高い。というよりは、テーブルと椅子が一般的な居酒屋よりも低いのだと思います。

さて、料理を選ぶために壁面に目を向けます。壁に並ぶ短冊を眺めて、料理を悩む瞬間が最高です。人気は、お値段据え置きいづみや名物のもつ煮込み(170円)や、刺身は〆鯖(350円)、昔ながらの薄いハムカツ(300円 )も評判の逸品。支店限定のホルモン炒め(330円)を目指してくるお客さんもいます。

ホワイトボード

もちろんホワイトボードも要チェック。季節食材が加わることもあります。

さて、ホワイトボードの左上に貼られた「サッポロ生ビール年間取扱い店」という見慣れないシールについて。

長く酒場に通う方はご存知だと思いますが、その昔、生ビールは通年商品ではありませんでした。消費量が増える夏季になるとビールメーカーからサーバーを借りた店舗が、「夏だけの生」として提供していました。それは多店舗展開するチェーン居酒屋でも同様でした。俳句では「生ビール」は夏の季語。

もっとも、いづみやは酒販店の系列ですし、駅前で大箱ということもあり一年を通じて樽生ビールの提供が行われていたのでしょう。そんな生ビールが一般的ではない時代の面影を残す、貴重なシールです。

飲み物メニュー

生ビールが少し高いと思いますか。実は、ここのジョッキは昔ながらの大きいサイズ。”中”で今どきの居酒屋の大サイズ、”大”は1L入るいわゆるメガジョッキ・筋トレジョッキと呼ばれるもの。

大瓶(サッポロラガー)は550円、ヱビスは小瓶(390円)です。日本酒は嬉しいお値段、花の友(合同酒精の合成清酒)が250円。日本酒や焼酎はお代わりするなら大コップがお得です。黒糖焼酎(470円)は支店だけのお酒。

よく飲まれているは、焼酎(250円)。これは他店では「梅割り」と言われているものです。杯数制限はありませんが、飲み過ぎにご用心。

合板のテーブルに素朴な料理、いづみやは最高です

ニラ玉子とじ(300円)

ニラ玉にはいろんな姿がありますね。いづみやのニラ玉は丼にたぷたぷにお出汁を満たしたお雑煮スタイルです。唐辛子を気持ち多めふりかけ、するするとすすりながら梅割りを一杯。お昼飲みはこういうのが楽しいです。

串かつフライ(370円)

衣のパン粉が荒く、中から脂付きの大きなブロック肉がごろっと出てくる、無骨だけど食べごたえ十分な串かつフライです。

とんかつ(500円)を頼むほどではないけれど、揚げたてホヤホヤが美味しいから注文したい。そんなときにいつも頼む一皿です。

サッポロラガー(550円)

改修して明るくなった入り口から差し込む午後の日差し。明るい店内で瓶ビール「赤星」を傾けながら、ゆったりと過ごす土曜のお昼間。日常のストレスが洗い落とされていく気分です。

サウナや銭湯でリフレッシュ、だけじゃない。昔ながらの大衆酒場にしかない癒やしもあります。落ち着いたら、ふらりと立ち寄ってみませんか。今日は本店?それとも第ニ支店?

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名いづみや第二支店
住所埼玉県さいたま市大宮区大門町1丁目28
営業時間9:30~22:00(無休)
開業年1960年頃(本店は1947年創業)