ビールの名産地と言われたミルウォーキーから、ドイツ・ホフブロイハウスをイメージした大型のビアホールをご紹介します。店の名は「Old German Beer Hall」。アメリカに居ながら、気分はミュンヘンです。
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ミルウォーキーとミュンヘンをつなぐビアホール
アメリカでポピュラーなビール「ミラー(Miller)」のふるさと、ミルウォーキー。1880年頃は、市民の約3割がドイツ人という、ドイツ移民の文化・技術の影響を強く受けた都市です。
お酒好きの筆者は「ビールのまち」というレッテルを貼りますが、自動車産業等に興味がある方には「ハーレーダビッドソン」発祥の地でしょうし、アニメ・世界名作劇場好きには「あらいぐまラスカル」の舞台というイメージがあるのでしょう。
乾いた清々しい気候の中にあるヨーロッパ風の町並みが残る都市です。
「Old German Beer Hall」があるオールドワールドサードストリートは、ミルウォーキーのダウンタウン、ドイツ風の町並みが色濃く残る一画にあります。
目指すビアホールが近づいてくると、ドイツではお馴染みの青い看板とホフブロイのロゴがみえてきます。
ドイツで酒類関係の仕事についていたオーナーが、2005年に開業しました。ミルウォーキーは2度の大戦や禁酒法によってビアホールは衰退の一途を辿っていましたが、ドイツ人の魂でもあるビアホール文化を復興しようという強い思いから、ミルウォーキーで店を開いたそう。ホフブロイとの交渉を続け、理解があって開業に至ったと店内掲示物にあります。
ドイツ移民が暮らしていた地域にある伝統的な建物を改装しているだけあって、石とレンガでできた重厚な造りはドイツの歴史ある店のように感じられます。
カウンターマンが立つL字のカウンターが10m以上続く奥行きのある構造です。
さらに店は奥に続きます。ミュンヘンの国営ビアホール「ホフブロイハウス(Hofbräuhaus am Platzl)」を連想させるベンチシートのテーブルが並び、演奏用のステージも完備されています。
ホフブロイハウスよりはコンパクトですが、それでも100席以上ある立派なビアホールです。夏はミルウォーキー郡立公園でビアガーデンも開催しているのだそう。
ビールは当然ホフブロイ
トラディッショナル ミュンヘン スタイル!おなじみの1L($12.00)の公式ジョッキにスリキリまで注がれて登場、Dark Munich Lager。
時刻は口開けの11時。喉に通る最初の一杯が樽詰めのダークビール。最高です。それではプロージット(Prosit)!
品書き
ビールは、定番のLight Munich Lagerや、Hefe Weizen Unfiltered Wheatなど、ハーフ&ハーフも頼めます(各$12.00)。HofbräuDelikatorというアルコール度数8.5%の珍しい銘柄も用意されています。
ここでもハッピーアワーがあり、午後2時から6時までソーセージなどを山盛り載せたプレートなどが$15.00であります。一人飲みなのと、まだ午前中なので、黒ビールチリボール($6.00)でも頼みましょうか。
フレンチフライ($4.00)、プリッツェル($8.00)、ミルウォーキーを代表する加工肉メーカー「Usinger」のソーセージ($6.00)、チキンシュニッツェル($12.00)など。
ここでも発見、Currywurst / カリーヴルスト($9.00)。いつの間にか、ドイツはカレー味のソーセージが超人気!そして、ここでもお客さんがよく頼んでいます。ハンバーガーに負けない、王道のローカルファーストフードです。
ミルウォーキーでミュンヘン楽しむ、日本のビール好き
Sauerkraut(ザワークラウト $3.00)
「本場の味と同じだ!」と嬉しく食べていますが、ここはミルウォーキー。”ニューヨークで味噌汁を飲んで本場の味だと喜ぶドイツ人…”のような、あっちこっち飛んだ感想ですが、美味しいものは美味しいのです。濃い味でビールが進みます。
Brat Dark Beer Chili($6.00)
爽やか笑顔が素敵なドイツ系お兄さんのイチオシで、ドイツ版の煮込みであるチリボールのチーズ載せを注文。口笛とともに給餌されました。
パプリカ、ピーマン、玉ねぎをスパイスと一緒に煮込み、Usinger社の粗挽きソーセージ、スモークしたブラットソーセージ、ブラットミートを加えて、さらに煮込んだもの。ベーコンクリームクラウトとスイスチーズが味に輪郭を加えています。
こうなれば、ビールもおかわりするしかありません。スタンダードなホフブロイオリジナルを1Lジョッキで。
ブラットソーセージやブラットミートのクセが、逆にビール好きの心をくすぐります。これは実に個性的かつ、ビールのよくお供だと思います。食べ慣れた牛すじ煮込みもよいですが、こうした味は旅先の醍醐味ですね。
開店と同時にやってきて大きなカメラを持って取材している筆者に、地元の常連さんは不思議に思ってか、離れた席からお互いジョッキを持ち上げて乾杯の挨拶をしてくれました。これはもう一杯飲むしかありません。
旅行者も歓迎の楽しいビアホール。ミルウォーキーをハシゴ酒する際はおすすめしたい一軒です。酒場文化を大切に。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | Old German Beer Hall |
住所 | 1009 N Old World 3rd St, Milwaukee, WI 53203-1301 アメリカ |
営業時間 | 11:00~21:00(月定休) |
開業年 | 2005年 |