[旅とお酒]ニューヨーク・ペン駅、特急の時間までマンハッタンを

[旅とお酒]ニューヨーク・ペン駅、特急の時間までマンハッタンを

2021年7月4日

世界の中心とも呼ばれるメガロポリス「ニューヨーク」。この街の拠点駅であるペンシルバニア駅から、駅ナカにあるバーの様子をご紹介します。飲むカクテルはもちろん「マンハッタン」です。

世界が激変する少し前、私は世界の飲食店事情を学ぶために1ヶ月ほどアメリカに滞在していました。シカゴとニューヨークのピザの競い合い、ボストンとニューヨークのクラムチャウダーの違いなど、アメリカ料理の個性を満喫。世界最大規模の都市と呼ばれるニューヨークにも庶民的な食堂やバーが多いことには感動しました。

当たり前ですが、数日の滞在では有名店ですら回り切ることは到底不可能。世界経済の中心地は、同時に世界中の食文化が集まる街でもありました。

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公共エリアでは飲酒厳禁

写真は宿泊したマンハッタンのホテルからの眺め。日本ではありえないくらい、高層ビル群が密集していて、道路よりもとなりのオフィスビルで働く人の姿のほうが近くにみえます。

出発の日、ホテルから10分ほど歩いてセントラルパークへ。雲に突き刺さる高層ビル群に囲まれながら、ここは別世界。出勤前にジョギングする人や、コーヒー飲みながらタイムスを読む老人など、映画でみた世界そのもの。

景色のいい都市公園にくれば、きまって飲みたくなるのが缶ビール。ただし、ここでおもむろに缶ビールでもあけようものならばすぐに捕まってしまうことでしょう。公共エリアでの飲酒に厳しいアメリカ合衆国。しばしの我慢。

ペンシルバニア駅

今日はニューヨークから映画ロッキーでおなじみのフィラデルフィアへ向かいます。

航空機とハイウェイ網が異様に発達したアメリカですが、東海岸だけは鉄道が移動手段の主力として活躍しています。ボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア、ボルチモア、ワシントンD.C.と、大都市が程よい距離で連なっているからです。

だからターミナル駅の利用者数もアメリカの他の都市と桁違い。

ニューヨークのターミナル駅といえば、グランドセントラル駅が圧倒的に知名度があるものの、実は長距離列車は同駅を経由しておらず、広域ネットワークの中心はペンシルバニア駅、通称ペン駅がその役割を果たしています。

グランドセントラル駅は地下鉄や近距離通勤路線用のターミナルです。対するペン駅は日本のJR的な、全米鉄道旅客公社アムトラック (Amtrak)が使用しており、アメリカ版高速列車「アセラエクスプレス」や、全米へ伸びる長距離列車の起点駅になっています。日本で例えるならば、天神駅と博多駅のような関係でしょうか。

ペン駅は遠距離旅客向けということで、旅行者向けの店舗やレストランが充実しています。驚いたのは駅弁屋の存在。日本の駅弁とそっくりな寿司やチキン弁当も売っています。

アメリカも鉄道駅の雰囲気は案外変わらないなぁ、と思っていると、TGIフライデーズの前には小銃をもった警察官たちの姿が。

駅ナカにある本格的なバー

さて、目的は駅ナカのバーです。ペン駅には本格的なバーがいくつかあります。昨今の感染症拡大で閉鎖された店舗もあるようですが、変わらずこの雰囲気が楽しめることを願いたいです。

バックバーに並ぶお酒の数々。ホテルバーにも引けを取らない品揃えです。

ミズーリ発の全世界ブランド「バドワイザー」のバドライトを1パイントもらって、まずは乾杯。

日本でも駅ナカ商業施設でお酒が飲める場所は近年増加傾向ですが、こんなに駅を感じさせない空間は滅多にありません。店を出ればすぐにホームへ降りる階段があるような立地。列車の15分くらい前までのんびり過ごさせてもらいましょう。

ベタですが、やってみたかったのはマンハッタンでマンハッタンを飲むということ。このカクテルの由来は、もちろんニューヨークのマンハッタンからきています。

カナディアンウイスキー「カナディアンクラブ(CC)」、スイートベルモット、アンゴスチュラ・ビターズを数滴。

アメリカのバーって、日本のオーセンティックバーと比較にならないほど大雑把につくるイメージがありましたが、こちらでは丁寧なステアできれいに作ってくれました。

沈む太陽をモチーフにしたマラスキーノチェリーが美しい!

日中から街中で堂々とやっているバーは多くないと思われるニューヨーク。駅ナカで午前中からこういうひとときが過ごせるのは、ただただ幸せでしかありません。

なんでも、結構日本人が乗車前に飲みに来るらしく、バーテンダーさんから「日本人は飲んでからでないと新幹線には乗れないのか?」と冗談を言われました。だいたい間違いではない…(笑)

列車内も座席での飲酒は不可。飲んでからの乗るのが大事

もう一杯飲みたかったのですが、そろそろ列車が入ってくる時刻。後ろ髪を引かれる思いで店をあとには、プラットホームへ。

これがアセラエクスプレス。ずいぶんと硬そうです。

アセラエクスプレスと一部の長距離列車にはカフェカーが連結されていてビールを飲むことができますが、座席では、ここでもまた飲酒禁止。さっき、飲んでおいて本当に良かったです。

「乗る前に飲む」がアメリカの鉄道旅の必須条件です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)