【飲み鉄】特急かわせみやませみ/広がる絶景を肴に焼酎に舌鼓

【飲み鉄】特急かわせみやませみ/広がる絶景を肴に焼酎に舌鼓

球磨焼酎の産地として有名な人吉と熊本を結ぶ「特急かわせみ やませみ」は、JR九州が次々と生み出すD&S(デザイン&ストーリー)列車のひとつ。(写真では左)

美味しい山の幸と海の幸で満ちている豊かな九州はグルメ旅…というより飲旅好きに最高のエリアです。さらに里の幸・焼酎や日本酒も個性豊かで歴史ある名蔵揃い。そしてなにより、地産地消の乾杯文化が息づく土地。

この土地でしか味わえない肴とお酒と、地元の人情や風景を求めて九州に旅にでませんか。

 

四方を深い山々に囲まれた人吉盆地へは古くは球磨川の船旅で、現代では球磨川に沿うかたちで敷設された肥薩線がメインルート。人々の往来の苦労をよそ目に自由に飛び交っていた翡翠・山翠(かわせみ・やませみ)が列車愛称に使われています。

青の翡翠車両と緑の山翠車両を繋いだ2両編成で、人吉方が翡翠です。

※夏休み期間等で3両編成となる場合は、この専用車両とは別に「快速いさぶろう しんぺい」用車両が連結されます。

 

鉄道旅に興味がある方にはおなじみ、九州の観光特急は旅情や土地の風土を感じさせ乗車そのものが楽しくなりそうな工業デザイナー水戸岡 鋭治氏が手がけるデザイン。特急かわせみやませみも、旧型気動車を改造したとは思えない、木のぬくもりあふれるクラシックモダンなインテリアです。

 

八代市、球磨村、人吉地方の生産品や名物が飾られる2号車の一画は、もはや鉄道の車内とは思えない雰囲気。もちろんどんと構えるのは名産・球磨焼酎です。

 

 

2号車 「やませみ」の車内には軽食等を販売するサービスコーナー(ビュッフェ)があり、焼酎をはじめスイーツやお弁当などを販売。お土産のグッズ販売もありますが、鉄道好きのお子様向けというよりは大人の旅を盛り上げるような内容。なんといってもメインは球磨焼酎。ちなみに、ビールはアサヒスーパードライで280円。熊本駅、人吉駅の両駅にはキヨスクがあり、各社缶ビールや酎ハイも販売。

※車内販売を営業していない列車があります。詳しくはJR九州ホームページでご確認ください。

 

焼酎は減圧、常圧、樽熟成の製法の違いで1銘柄ずつ用意されています。入れ替わるようで、今日の焼酎はホームページで確認できます。鉄道会社のホームページで「今日の焼酎はこちら」があるなんて、さすがJR九州。

 

さっそく、ロックで一杯(400円)。

 

揺れても安心なキャップ付きのプラカップ。約1時間30分の列車旅。気兼ねなく車窓を眺めてのんびり飲める贅沢なひととき。お手洗いもあるし、おかわりもできるし(笑)

 

列車は日本の原風景ともいえる山と里、そして球磨川の渓流を縫うように走ります。間近に迫る雄大な景色でお酒が進みます。

 

土日祝日限定、車内販売の駅弁「球磨の四季彩弁当と郷土料理つぼん汁セット」(1,300円)
「地元で採れた旬の食材で作るおばちゃん達の愛情弁当」をテーマに、人吉の和食処「ひまわり亭」がつくるお弁当&つぼん汁。

つぼん汁は人吉球磨地方の郷土料理で、野菜や鶏肉が入る醤油味の汁。お祭りやお祝い事などのハレの日の食べ物だそうです。

 

ご飯としてはもちろん、お酒のおつまみにもぴったり。球磨地方でとれる鮎など、季節の食材がふんだんに使われています。

 

晴れた日はエメラルドグリーンに輝く水面。列車はそのすぐ脇をゆっくりとした速度で進みます。

 

新幹線の車内で、パソコンを開きつつプシュッとあける缶ビールもよいですが、こうして観光特急で時間に縛られずにゆったり飲むのはまた格別な美味しさ。青空と、川と山の緑、そして手元にお酒。列車が刻むジョイント音のリズムにのって、酔もゆっくりと進みます。

 

米焼酎が好きならば、一度は訪れたい焼酎の名産地「人吉」。のんびり列車に乗って、飲みに行きませんか。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/九州旅客鉄道株式会社)

 

肥薩線特急かわせみやませみ
詳しくはJR九州ホームページ 特急かわせみ やませみ