長野「千石食堂」 昭和の駅前食堂の佇まいをそのままに。

長野「千石食堂」 昭和の駅前食堂の佇まいをそのままに。

地方の都市は駅と街の中心が離れていることが多いですが、長野は駅前に賑わいがあり新幹線までの合間に軽く一杯というのが容易です。ただ、長野駅から長野電鉄で2駅の距離にある権堂の渋い繁華街も魅力的なので、時間があれば少し街の奥までまわるのもオススメ。

駅前で飲めるディープな空間といえば「千石食堂」でしょう。1949年創業、昭和の駅前食堂をそのままタイムリープさせてきたような、実に味のある佇まい。

 

長野オリンピックや北陸新幹線の開業で、近代的な雰囲気となった長野駅やその周辺。人通りも多く百貨店やホテル、商店街まで賑やかです。

 

その隙間を、お酒の匂いに誘われるかのように潜っていくと、そこは素敵な飲み屋小路。1間ちっょとの細い路地で、途中折れ曲がっているのがまたいい。暮れるにつれてぽつりぽつりと赤提灯が灯ります。千石食堂をはじめ、この界隈は老舗が多く、鰻屋や向かいの居酒屋も年輪を重ねています。

 

店構えの期待をこえる渋い店内。小上がり、カウンター、ちょっとしたテーブル席という配置。昔はこういう食堂、あちこちの駅前にありました。

 

2代目ご夫婦が切り盛りするお店。常連のお客さんが渋い表情でビールを飲んでいるのがとても似合います。

ビールは瓶がアサヒで生がサッポロ。日本酒やハイボールもあります。食堂というだけあって、料理は牛丼、カレー、支那そばと幅広い。刺身から炒め物、揚げ物もあるので、ノンベエも困りません。

 

それでは、生ビール黒ラベルで乾杯!昔のジョッキが現役で、液晶テレビがなければ20年前の写真と言っても通じそうです。

 

肉皿(400円)に七味を気持ち多めに振りかけて、ちびちびと。甘辛くしっかり煮込まれていて、ビールと相性ぴったり。

お客さんもお店の人も、のんびりぼーっと夕方の情報番組を眺めながらゆったりと過ごしています。

 

お酒をウーロン割りにして、焼き餃子(390円)。ウーロン割りが麦茶ハイのように薄茶色ということは、ご想像の通りしっかり濃いということ。

 

羽つきでぱりっと焼き上げたもの。きつね色の焼き目はみているだけでウーロン割りが進みます。

 

具だくさんでも、肉汁たっぷりでもない普通の餃子なのですが、これくらいがいいんです。ちゃんと美味しいですから。最近巷の名物餃子は派手すぎます。昭和な駅前食堂らしい餃子とウーロン割り。

さっきまで降っていた雨もやんで、外はじめっとしているけれど少し涼しくなったかな。長野の天気は変わりやすいから、と女将さん。

忙しない日々をおくっていると疲れちゃいますから、時々はこういう空間に浸りリラックスを。

シメの支那そばは今日もお預け。ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

千石食堂本店
026-228-6850
長野県長野市南長野北石堂町1373
11:30〜13:30 17:00〜22:00(基本無休)
予算1,800円