京成小岩『三平』50年続くモツ焼と鮮魚の名酒場。色付き酎ハイあり!

京成小岩『三平』50年続くモツ焼と鮮魚の名酒場。色付き酎ハイあり!

2022年5月18日

京成小岩で昭和42年に創業した『大衆酒場 三平』。昔ながらの家族経営の酒場ながら、店は大きく宴会にも対応しています。料理は創業時から続くもつ焼きをはじめ、刺身や洋食までバラエティ豊富。都心の酒場より一回り割安に感じる値段も嬉しいです。

スポンサーリンク

逆さ”高”がキャッチフレーズ。城東エリアの力強い酒場

江戸川区小岩と言えばJR小岩駅周辺のイメージが強いですが、約1.3キロメートル離れた場所にもうひとつの小岩(北小岩)があります。京成小岩駅を中心とした、私鉄沿線らしい小さな商店街にレトロな商店が立ち並ぶエリアです。歴史は相当長く、京成小岩駅近くの「上小岩遺跡」では、弥生時代から室町時代にかけての土器や陶器片が多数発掘されています。

いまはまだ昭和の面影が色濃く残る京成小岩駅周辺は、昔ながらの飲食店も多数あります。今後、京成線の立体交差事業により街の姿は大きく変わることでしょう。

そんな京成小岩で開店前に列ができる酒場が『大衆酒場 三平』です。家族経営の酒場で、創業は1967年(昭和42年)。創業から40年を前にして2006年、現在の鉄筋4階建ての店舗に建て替えられました。

建て替えても店の雰囲気はキラキラとせず、下町・城東エリアに多いどっしりと構えた安定感と包容力を感じる佇まいのまま。看板には「高い店」と書かれていますが、よく見ると「高」の文字が逆さになっています。高いの反対、安い店という意味。

17時の開店から数分後に店へ入ると、店内はすでに満卓に近い賑わいです。カウンターには長年通っている常連さんたちが一足早い晩酌を楽しまれています。テーブル席では、家族3世代で食事に来ている家族連れや、年配の夫婦、若いカップルの姿もあり、まさしく「老若男女に親しまれている」という店です。今どき、これほど活気のある個人店は珍しくなったかもしれません。

気立ての良い女将さんが注文を取りに来てくれました。お客さんの多くが注文している焼酎ハイボールを注文し、漂う”美味しい空気”を楽しみます。

焼台では炭火を巧みに操り、大ぶりのもつ焼きを次々と焼き上げています。創業当初はもつ焼き店だったそうです。いまで大衆割烹も顔負けなくらいに鮮魚刺身も充実しています。

品書き

昔ながらの黒い品書き札がかかるカウンター。ぱっと目についたものを頼む楽しさがあります。

お酒

大樽(生ビール)は、キリン一番搾り 小:470円、中:630円、大:780円。瓶ビール大瓶:750円。名物ドリンクは焼酎ハイボール:380円。緑茶割り:380円も常連さんたちに人気の様子。その他、レモンハイ:450円、梅割り:450円。日本酒上撰:450円、大雪の蔵冷酒:750円など。

焼き物・モツ料理

カシラタンハツキンツルレバガツシロアブラとり皮など:各110円、ナンコツ:120円、バラ串:170円。煮込み:300円、キンツル揚げ:550円など。

黒板日替わりメニュー

赤貝刺:650円、カツオ刺:600円、ブリ刺:550円、生タコ刺:600円、ぶり大根:550円、三陸広田湾産生かき:350円など。

おすすめ差込めメニュー

もつカレー:350円、鰯梅肉揚げ:380円、カツ煮:830円、かさご唐揚げ:850円、ガツ生:450円、赤鶏たたき:450円など。

定番メニュー

レバカツ:380円、自家製コロッケ:400円、自家製餃子:450円、自家製グラタン:720円、特製ハンバーグ:720円、チーズオムレツ:500円、くじら焼き:550円、とんかつ:600円、三平炒め:650円、エビチリ:650円、馬刺し霜降り:830円など。

定番メニューは洋食や中華まであり、どれも食べたくなってしまいます。

刺身ともつ焼きと一品料理、それぞれに感動あり

キリン一番搾り生ビール中(630円)、焼酎ハイボール(380円)

焼酎ハイボールを楽しみたいところですが、やっぱり一杯目はビールでしょう!昔ながらの寸胴型でオリジナルゴの入ったジョッキに、状態抜群のビールがたっぷり。一番搾り生ビールで乾杯!

焼酎ハイボールは、通常では写真のように氷入りですが、常連さんは氷なしで注文している方も多いです。

三平では、一杯目のお酒にサービスの湯豆腐がついてきます。大豆の旨味の強いかための豆腐。実に美味。

刺身盛り合わせ(680円)

お刺身の種類が豊富で、あれもこれも食べたくなったら、お刺身盛り合わせを。一人でも食べられるちょうどいい量と価格なのが嬉しいですね。

この日は、まぐろ、ブリ、生タコ、ホタルイカという盛り付け。

焼酎ハイボール氷なし

見てください、この美しい見た目。これぞ隅田川以西に多い、正統派の焼酎ハイボール。氷なしで並々に注がれ、スライスレモンが浮かびます。甘さはほとんどなく、ほんのり香る果実のような風味とガス圧強め舌触り、爽快感のある一杯です。

もつ焼きシロ、アブラ(各110円)

もつ焼きはキンツル(食道)やアブラ(小腸)が人気。アブラといえば、カシラに近い文字通り脂のカタマリをイメージしますが、ここでは小腸のことをこう呼んでいます。脂がぷるんとついていますが、テッポウ(直腸)とはまた違った味で、意外なほど上品な甘さが感じられます。

左がシロ(大腸)で右がアブラ(小腸)。長年継ぎ足してきたタレをくぐらせた、濃厚でこってりとしたもつ焼き。刺身が美味しいと喜んだあとは、もつ焼きで再び感動します。滴る脂が炭に当たり、煙となってモツへ帰ってくる…燻したような薫りも特長です。

もつカレー(350円)

もつカレーといえば、静岡・清水発祥の豚の腸をカレー味で煮込んた料理。ここ、小岩でも食べられるなんて。しかも、本場と比べても遜色ない美味しさです。

緑茶割り(380円)

店内の様子を眺めていると、焼酎ハイボールに次いで注文されている飲み物はどうやら緑茶割りのようです。粉末茶葉をつかった濁りタイプです。もつカレーと緑茶割りで、なんだか静岡で飲んでいるみたいに。ですが、しっかり感じる焼酎の濃さは、やはり東京・江戸川区です。

いわし焼き

ほかにも、自家製のコロッケや餃子など気になるものばかり。店名を冠した「三平炒め」は、あんかけカタヤキソバのような料理で、麺の代わりにカリカリに揚げた餃子の皮が敷かれた料理です。

リーズナブルな鰯料理でちびりと飲むもよし、お腹いっぱい一品料理を頼むもよし。何度でも通って、すべての料理を試してみたくなるような酒場です。数人で行くなら予約がおすすめ。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名大衆酒場 三平
住所東京都江戸川区西小岩5-18-10
営業時間17:00~24:00(木及び第三水定休)
開業年1967年