新津『ふじ』この道20年以上。カウンター割烹でハチメ刺に根知男山を

新津『ふじ』この道20年以上。カウンター割烹でハチメ刺に根知男山を

2022年3月3日

ベテラン大将が地酒と地元食材でもてなしてくれる店、新津の『ふじ』をご紹介します。20年以上続く地元密着の人気店で、近隣飲食店や酒造会社の人も贔屓にするカウンター割烹です。新津駅前で一人、二人で利用するような小箱の居酒屋を探すならば、ここがおすすめ。

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グルメサイトにでない、駅前の地元密着人気店。

JR新潟駅から信越本線で20分。旧新津市(現新潟市秋葉区)の中心に位置するJR新津駅にやってきました。新津は新潟駅方面に加え、長岡、会津若松、新発田方面にも路線が伸びる鉄道の要衝で、新津駅前の飲食店街や商店街は国鉄とともに栄えてきた歴史があります。

交通の主役が道路に変わっても、磐越自動車道、国道403号、国道460号が交わる交通の結節点であることに変わりはありません。

そんな新津は、駅前にかなり立派な飲食店街が広がっています。お隣、新潟の中心街とはまた違った雰囲気があり、地方都市特有の味わい深い店々が営業中です。

外観

そのひとつ、カウンター割烹の『ふじ』をご紹介します。グルメサイトではほとんど紹介されていませんが、創業から20年以上、地元の飲食店関係者も通う地元の人気店です。

JR新津駅から徒歩1分。新潟の人気駅弁をつくる駅弁会社・三新軒の事務所1階にあります。

駅からすぐとはいえ、寒いなかを急ぎ足で向かいます。暖簾をくぐると下駄箱があり、靴を脱いで店内に上がるととっても暖かい。大将一人で切り盛りするカウンター中心のつくりで、カウンター席は脚を下ろすような構造。ベテランのご夫婦や近隣企業で働く人で賑わっており、外の静まり返った雰囲気とは対照的です。

乾杯はサッポロ生ビール黒ラベルで

大将がサッポロ好きということで、樽生、瓶ともにサッポロを扱っています。なんでも、昔はサッポロの営業さんもよく飲みに来ていたそう。提供品質ばっちりの樽生が嬉しいです。それでは乾杯!

お通しは、取材時は新潟名産の枝豆です。実は新潟、日本有数の枝豆産地で、品種を変えながら5月から11月ごろまで「えだまめリレー」が続くのだとか。勉強になります。

品書き

定番のメニューはなく、日々の仕入れ次第で献立は変わるそう。価格は500円前後と良心的です。

取材時はハチメ(ハツメ・メバルに近い)刺身:700円、あじたたき:700円、真いか刺身:500円、しまほっけ:550円、つるむらさき:300円など。もずく:400円は柏崎の名産として知られてています。

その他、カレイの塩焼きカワハギの煮付けなども。

料理は大将との会話から決めるのが楽しい

刺身盛り合わせ1人前

品書きになくても、こんな感じでと相談するといろいろ用意してくれます。こだわりのある職人気質な大将で、仕入れ次第で期待に応えてくれるのだと常連さんが教えてくれます。

はちめ刺しはぷりっぷりで脂ののり方はアカムツに近い印象です。

刺盛りを軽く摘む程度でまずはいただきます。取材時期の関係で、はちめ刺身以外はありふれた顔ぶれになっていますが、季節で大きく変わるからまた来てね、とご主人。

とはいえ、サーモンも近年は新潟産が盛んですし、真いか(スルメイカ)も新潟の特産品。こう美味しいものが揃うと、欲しくなるのが日本酒です。

相談すると、出るわ出るわ、新潟の酒

大将は昨今の状況下になる以前は、酒造メーカーの杜氏や蔵元を呼んで、試飲会イベントなども開催してきたほどの日本酒好き。日本酒通の常連さんが贔屓にする理由がわかります。

根知男山純米酒

糸魚川市の酒蔵・渡辺酒造店がつくる「根知男山」。同蔵は2003年から原料となる米の自社栽培を糸魚川の根知谷ではじめ、五百万石や越淡麗といった新潟が生んだ酒造好適米を育てています。そんな原料の生産から醸造までを自社でおこなったお酒が、この根知男山純米酒だそう。

余韻がありつつもシャープな印象。甘さがほんのり香る美味しいお酒です。

他にもあるよ、と次々でてきます

飲み比べも楽しめます。魚沼の酒蔵・青木酒造がつくるご存知「鶴齢」。特別純米だけでなく、飲み飽きない本醸造の鶴齢も用意。高千代酒造のお酒も数種類あり、コンパクトな店内にどこにそれだけ一升瓶があるのかと不思議に思うくらいです。価格はどれも手頃で、予算にあわせて頼めばよいかと思います。

金時草(330円)

加賀野菜として知られている金時草は、実は新潟でも栽培が盛んなのだそう。

ゆでるとぬめりがでるのが特長で、ぬるっとした舌触りとクキュクキュとした歯ごたえが特徴です。軽く出汁とあわせて味を整えるだけで、金時草そのものの甘味とコクは日本酒を誘う味になります。魚介や肉類のような派手さはないものの、こういうおつまみに出会えるのが嬉しいです。

サッポロラガー中びん

〆の瓶ビールを。

10人も入れないくらいのコンパクトな店内。料理とお酒にこだわる大将と、そこに集う常連さんたちの人柄もお酒を美味しくします。こういう酒場を知ると、東京から新潟へは新幹線で直行しずらくなるものです。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名ふじ
住所新潟県新潟市秋葉区新津本町1-2-43三新軒ビル1階
営業時間17:00~23:00(日定休)