ほくほく線は北越急行株式会社が運行している、新潟県南魚沼市、六日町(むいかまち)駅から上越市、犀潟(さいがた)駅までを結ぶ鉄道です。
そのほくほく線の開業20周年を記念して、ほくほく線沿線地域振興連絡協議会様が主催、Niigata SAKE Lovers様がプロデュースのモニターツアーに参加してきました。
このモニターツアー、通常ほくほく線では走行していない車両、えちごトキめき鉄道のイベント車両「3市の花号」(ET122)に乗車し、日本酒と料理のマリアージュが楽しめるというもの。
多くの鉄道ファンに迎えられ、出発地点の六日町にイベント車両が到着。
Niigata SAKE Lovers様は、国内外に新潟のお酒の素晴らしさを発信している国際交流プロジェクトということもあり、今回の運営スタッフとしてマシューさんという外国人の方もいらっしゃいました。
テーブル、トイレ付きというお酒飲みには嬉しい車両です。
乗車後車窓から、この日は曇がかかっておりましたが、八海山と南魚沼の田園を臨みながら六日町を出発します。
まずは、Niigata SAKE Loversの代表、デュケット智美さんから日本酒についてのお話などをしていただきます。
程なくして、十日町駅に到着。ここで、ほくほく沿線の酒蔵さんが登場。
竹田酒造さん、松乃井酒造さん、青木酒造さん、石塚酒造さん、みらい酒店さん。皆さん乗り込んだところで次の駅へと出発。
十日町雪まつりのゆるキャラ、ネージュ君がお見送りしてくれました。癒されます。
各酒蔵さんの自己紹介を聞きながら、まつだい駅に向かいます。
ほくほく線はトンネルが多い路線ですが、だからこそ変化があり、道中の田園風景や、トンネルへ向かう光景も映えます。この日は天気も良く、信濃川も大変綺麗に見えました。
まつだい駅では、皆さんお待ちかね、お酒と料理のマリアージュのコーナー。
まずは、Niigata SAKE Loversさんセレクトのお酒を楽しみます。
薫酒、爽酒、醇酒、熟酒と大きく特徴のある4種類のタイプお酒を味わいます。
薫酒は大吟醸といった果物系の薫り高いタイプのお酒。爽酒は本醸造などに代表される香り控えめで軽やかなお酒。醇酒は、純米酒で良くあるタイプで落ち着いた香りと味わい。熟酒は、その名の通り熟成された古酒などに当たり、ナッツのような濃厚な風味になります。
熟酒である、越の誉純米大吟醸8年熟成1本5400円もする大盤振る舞いです。
同じ日本酒でも、全く香りも味も違うことに驚かれているお客さんもいらっしゃいました。丁寧に解説して頂きながら味わうことで、それぞれ上手く食べ合わせるとお酒もお料理もより一層美味しくなるということを、より明確に体験できました。
薫酒はドレッシングと合うといった目から鱗のペアリングも。
さて、次は各酒蔵さんのお酒と玉城屋旅館さんのお弁当を楽しみます。
竹田酒造さんからは「かたふね」、松乃井酒造さんからは「松乃井」、青木酒造さんからは「鶴齢」、石塚酒造さんからは「姫の井」、みらい酒店さんからはどぶろくの伝楽が振る舞われます。なんとみらい酒店さんのどぶろくは、どぶろく特区認定全国第一号だそうです。
お弁当を出された玉城屋旅館さんは、お酒とお食事のマリアージュに力をいれてらっしゃる旅館。なんと、100種類以上のワインと日本酒を揃えているとのこと。
四代目社長の山岸さんはソムリエ、酒匠(利き酒師の上位資格)を持たれており、板前の経験もあるプロ中のプロでらっしゃいます。
これは期待も膨らむというもの。
十日町のそうめんカボチャや岩魚のコンフィなど地産地消の材料で、今回のお酒に合ったお弁当が提供されました。
お弁当とほくほく沿線の地酒を楽しみつつ、大迫力の十日町大太鼓を聴きながらまつだい駅を後にします。
道中も各蔵元さんより、お酒がふるまわれます。お客さんも電車に乗りながら、蔵元さんからお酒を注いで頂けるなんて人生でもうないかも…と感動されていました。そして、電車はくびき駅で下車します。酒造さんに見送られながら、バスに乗り換えて坂口記念館へ。
坂口謹一郎博士は上越市出身で、「応用微生物学」の世界的権威として知られています。坂口博士は微生物を研究することで発酵の工程を科学的に解明し、その研究成果から、調味料の大量生産等、今日の醗酵工業発展の扉を開いたといわれています。
風情のある建物の中で素晴らしいお庭を見ながら、こちらでもお酒のマリアージュを頂きます。といいましても、食事をした後ですから、今回は和菓子とのマリアージュ。締めの甘味までいただけて、至れり尽くせりです。
今回のお酒は、Niigata Sake Loversさんが作られたお酒2種類と、和菓子2種類で合わせます。
片方は「越の誉」の原酒造さんで造られた純米大吟醸雪中熟成2年半の繋ぐ(祝)という銘柄。もう一方は「かたふね」の武田酒造さんで造られた純米大吟醸冷蔵熟成の1年半の繋ぐ(華)を頂きます。
酵母は同じながら、酒蔵さんとお米や熟成方法を変えたこの2種類は全く違う香りと味、合わせる和菓子もまた違うことを料理同様わかりました。日本酒と和菓子が合うというのも新しい発見だと、皆さん大変喜ばれていました。
最後に皆さん全体とそれぞれで記念写真をとり、今回のほくほく沿線の酒電車は終了となりました。
今回はモニターということで、次回の企画は未定とのこと。ツアーが好評で、Niigata SAKE Loversの代表デュケット智美さんのスケジュールの調整がつけばまた行われるかも、とのことでした。
是非第二回目のツアーが行われることを期待したいですね。
また、ツアーなしにしても、雄大な自然に囲まれながら美味しい水と食べ物、そしてお酒の揃ったほくほく沿線ゆっくり旅行するのも楽しいと思います。
ごちそうさまでした。
(取材・文・撮影/もとじい Special Thanks/北越急行株式会社)
もとじいさんは、塩見なゆの飲み友達のライターです。