新潟県の直江津駅前で遅くまで賑わう老舗の酒場がある。そんな噂を聞いてしまったら飲みに行かずにはいられません。
創業から半世紀、餃子を看板料理に掲げて半世紀になる「ひろ坊」です。現在のれんを守るのは3代目。家族経営のアットホームな雰囲気に癒やされます。
ボリューム満点なホルモン炒め(470円)や牛すじ煮込み(550円)も人気で、飲んだ後の〆に立ち寄る人も多いです。餃子は”おみや”にもできます。
越後国の国府があったと言われている直江津。北陸街道の宿場町であり、高田城下の外港として古くから交通の結節点として栄えてきました。現代においても、北陸新幹線の開業以前は、北陸と東京を繋ぐ鉄道の要衝でした。
現在は、上越新幹線の越後湯沢駅から北越急行ほくほく線が繋いでいる他、北陸新幹線の開業によって、新たにできた上越妙高駅からも20分ほど。東京から約2時間30分ほどで直江津に着きます。
現在も地域交通の中心として、列車が発着する度にたくさんのお客さんが乗り降りします。駅舎脇の立ち食い蕎麦「直江津庵」はファンが多いと聞きます。※お酒あります。
直江津の飲み屋街はこの駅からすぐです。
ひろ坊も駅からすぐという立地から、近隣だけではなく列車で通勤している人も、終列車前の一献で立ち寄られています。この日も妙高から来ているという常連さんと一期一会で盛り上がりました。
中華鍋を中心に16席のL字のカウンターで囲み、奥には宴会用の個室もあるつくり。夜9時過ぎにもかかわらず、まだ新たなお客さんもやってきて、常に賑やかです。工業地帯・直江津で働くお父さんたちや若い男女の姿もあって、幅広い層に慕われているのがよくわかります。
生ビールは新潟限定のサッポロビール、風味爽快ニシテ(中590円)。麦芽100%の旨味が特長です。では乾杯!
看板料理の餃子(480円)。主に県内産キャベツを使用したあんを薄皮で包んでいます。カウンターに置かれた丼ぶりには餃子タレが作り置きされていて、注文と同時に小皿にすくって供されます。
ジューシーかつシャキシャキとした食感に、酸味ある餃子タレが実にマッチしています。
包み方も独特です。皮を頂点で軽く綴じただけで、両側は隙間が空いています。3代にわたり受け継がれてきた手法とのこと。キャベツ中心で軽いため、ぺろりと食べてしまいます。その余韻はビールを強烈に誘います。
ひろ坊に来たらぜひ食べるべきと常連さん太鼓判の焼きそば(600円)も忘れてはいけません。火力の強い中華鍋で野菜と中太中華麺を丁寧に混ぜながら炒めて、最後にソースやうま味調味料を加えて完成。もやし、キャベツ、千切りのにんじんに地元産のしめじも入る具だくさんな一品。
〆として考えるだけでなく、お酒のおつまみとしても最適な逸品。ごわごわの中華麺に絡む脂のこってりとした味は、もちろんビールもよいですが、酎ハイウーロン茶(430円)も好相性。聞き慣れないネーミングですが、これはウーロンハイ。焼酎がしっかり濃いので、寝過ごしにご用心です。
焼鳥片手に地酒・越の夕凪(小360円)のお燗をきゅっと飲む常連さんの姿も素敵でした。
一人から数人まで、利用シーンはいろいろ。街の息遣いを感じる素敵なカウンターです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
ひろ坊
025-543-4251
新潟県上越市中央1-1-29
16:00~22:30頃まで(日定休)
予算2,000円