県内有数の鯛の水揚げを誇る柏崎。駅前で約半世紀続く「おおはし」はそんな柏崎の鯛を満喫する最高の一軒です。お昼から営業しており、旅先の一杯にも最適。魚好きならば、訪ねる価値ある一軒です。
目次
旅情感じるレトロな駅と、いぶし銀の駅前食堂
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新潟県中越地方、日本海に面した人口約8万2千人の街・柏崎。日本海縦貫ルートにあり、道路・鉄道ともに古くから要衝として栄えてきました。
街の玄関口であるJR柏崎駅は、昔ながらの地方の大規模なつくりです。上越新幹線の長岡駅からは信越本線で約40分。さらに西へ海岸沿いを進めば直江津です。
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駅舎は日本海側(北側)に向いており、駅から中心街は、商店が並ぶアーケード付きの駅前通りを徒歩5分ほどの場所です。駅前はビジネスホテルが目立ちますが、なんといっても主役は全国区の大手菓子メーカーの本社の存在でしょう。
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日本中、大きな駅前には必ずといっていいほどあった駅前酒場、駅前食堂的なお店ですが、最近は少なくなりました。目指す「おおはし」は、いまも地元の人々や駅利用者に親しまれている歴史ある駅前飲食店です。
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なかなか渋い店構えですが、ご安心を。良いお店です。営業時間は11時から14時、17時から20時です。中休みがあるのでご注意を。ただ、昼営業も夜と同じメニューが提供可能です。これはお昼から本気飲みモードになるしかありません。
テーブル、小上がり、カウンター
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ベテランのお姉さんが数人で切り盛りされています。「いらっしゃい、お好きな席にどうぞ」
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11時の口開けに入りましたが、スーツ姿の出張者風の人や、ランチタイムでオフィスから出てきた人、作業服姿の二人組など、続々とお客さんがやってきました。
厨房が客間と同じほど大きく、お姉さんは忙しそうに調理中。そんな様子を眺めるカウンター席が4席と、テーブルが3卓。赤く薄い絨毯敷の小上がりと、ふすまの向こう側には、宴会にも使える畳敷きの小部屋があります。
壁にはたくさんの魚の写真が貼られていて、聞くと柏崎でとれる地魚だそうで、仕入れ次第で献立に入るそうです。
なにはともあれ、生ビール
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一杯目はビールがイイ!ちょうど生ビールの開栓をされていたので、そのまま一杯注いでもらいました。銘柄は新潟にゆかりがあるサッポロビールの黒ラベル。それでは乾杯。
品書き
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ビールは樽生黒ラベル(640円)と瓶ビール(アサヒスーパードライ中びん640円。酎ハイ・ハイボールもありますが、飲む人はだいたい日本酒を選ぶ様子。
食事メインの方はだいたい刺身定食。昼食で職場から抜けてきたような人々の中には、中華そば(550円)やかつ重(840円)をかきこむ人も。まさに、昔の駅前食堂の姿。
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さて、お酒飲み的には定食ではなく、気になる単品をつまみたいところ。今日の料理はカウンター上に短冊で掲げられます。
魚は、基本的には1尾単位で、これを刺身か焼くか煮るかを選ぶというもの。
魚種は、季節や港の水揚げ次第。たとえば鯛(980円)を筆頭に、黒むつ(3,500円)、甘鯛(1,260円)、きちじ(2,900円)、真鯵(1,200円)、にしん(980円)、かます(1,400円)、カレイ(980円)、かさご(950円)、ほうぼう(1,400円)、いしもち(1,400円)、つづのめ(キツネメバルのこと 980円)、甘海老(900円)、イカ(980円)など。高級魚も含むなかなかの顔ぶれです。もちろん、調理法が決まっているものもあります。ずわい蟹(2,980円)は惹かれますが、一人飲みではちょっと贅沢過ぎると躊躇。
サザエ壺焼(800円)、イカ塩辛(500円)、たこ酢漬け(800円)などをちょっとした肴として飲むのも良さそうです。
日本酒はボトルから選びます
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さすが酒どころ、新潟。近隣の銘柄から、柏崎の造り酒屋・原酒造の越の誉までずらり。ボトル売りで、越の誉生貯蔵酒1合瓶(500円)など。このほか、手頃な定番、越の誉の普通酒もあります。
魚好きにはたまらない、夢の昼飲み
看板料理は、地物の鯛をまるごと1尾つかった刺身(980円)
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看板料理はやはり柏崎名物の鯛。刺身を頼むと、いくつか付け合せの刺身とともに、そのままの姿で運ばれてきました。
リアス式海岸が続く柏崎は、鯛などの岩礁を好む魚が多く水揚げされています。鯛の中でも、これは小鯛(チダイ)です。春から夏にかけてがとくに美味と評判です。
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皮でとじられた珍しい盛り方です。めくると、キラキラ輝く刺身が顔を出します。
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目が覚めるほど鮮やかな桜色で、ひれはピンとしていて目が澄んでいます。鮮度のよさはいうまでもありません。
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もちもちとした食感、深い旨味とほんのりと感じる甘さ。これは日本酒を頼まないともったいないです。
定番酒のお燗
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時間はまだ12時前。ぴちぴちの鯛刺しとお燗酒。今日一日の飲みたい気分は、午前中のうちに満たされてしまいました。
冷酒・越の誉生貯蔵酒(500円)
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越の誉をつくる原酒造は、「おおはし」から目と鼻の先です。柏崎の料理屋で、柏崎のお酒と、柏崎の鯛。素直で無理のない組み合わせが素敵です。
ほうぼう煮付け(1,400円)
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柏崎の名物は、鯛だけではありません。ほうぼうも地元で親しまれている魚のひとつ。女将さんに煮魚でおすすめを尋ねたところ、ほうぼうはどうですか?とのことで、お願いしました。煮付け20分ほどかかりますが、でてきた魚を見れば待った甲斐はありました。
みてください、この大きさ。25cmほどあるかなり立派なものがでてきました。
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味付けはやや甘めで、お酒やみりんの旨味がしっかり効いています。ほうぼう特有のまるくぷっくりとした身と相性がとてもよく、箸が進み、お酒も進みます。
なかなかこれほどのほうぼうは食べる機会はなさそうです。大きいので食べきれるか心配でしたが、美味しくて隅々まで味わい尽くすほど夢中になりました。
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これからも出張で柏崎を通り過ぎる際は、毎回「おおはし」のことが頭に浮かびそうです。そして、きっと列車ならば途中下車してしまうはずです。
港町とはいえ、駅前でこれだけ魚とお酒が楽しめる食堂は貴重な存在だと思います。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 食事処 おおはし |
住所 | 新潟県柏崎市駅前1丁目2−29 |
営業時間 | 営業時間 [月~土] 11:00~14:00(L.O.13:30) 17:30~20:30(L.O.20:00) 定休日 日曜日 |
開業年 | 創業から半世紀以上 |